【Ruby】プレフィックスツリー(トライ)の実装方法と活用例を徹底解説
プレフィックスツリー(別名:トライ/Trie)は、単語のリストを効率的に整理し、特定の接頭辞(プレフィックス)で始まる単語を高速に検索できるデータ構造です。
例えば、「ca」という2文字で始まる単語をすべて探したい場合、「cat」や「cape」といった候補を瞬時に見つけることができます。
まずは下の図をご覧ください。

これがプレフィックスツリーです。
ルート(*)から、単語の終端を示すマーク済みノード(e や t など)へと枝を辿っていくことで、1つずつ単語を読み取ることができます。
この記事では、Rubyで独自のプレフィックスツリーを実装する方法と、それを活用して問題を解く方法を詳しく解説します。
プレフィックスツリーの実装
Rubyでの実装には、いくつかの属性を持つ Node クラスを使用します。
- value:1文字分の値
- word:そのノードが有効な単語の終端かどうかを示す true / false のフラグ
- next:ツリー上でこのノードの後に続く文字(
Nodeオブジェクト)を格納する配列
コードは以下の通りです:
class Node
attr_reader :value, :next
attr_accessor :word
def initialize(value)
@value = value
@word = false
@next = []
end
end
次に、ルートノードを保持し、ノードを操作するためのメソッドを持つ Trie クラスを定義します。
class Trie
def initialize
@root = Node.new("*")
end
end
このクラスの中に、以下のメソッドを実装していきます。
def add_word(word)
letters = word.chars
base = @root
letters.each { |letter| base = add_character(letter, base.next) }
base.word = true
end
def find_word(word)
letters = word.chars
base = @root
word_found =
letters.all? { |letter| base = find_character(letter, base.next) }
yield word_found, base if block_given?
base
end
どちらのメソッドも、引数として渡された単語を chars メソッドで文字の配列に分解します。
その後、ルートからツリーを辿りながら、各文字を「検索」または「追加」していきます。
続いて、これらを支えるヘルパーメソッドです(こちらも Trie クラス内に定義します)。
def add_character(character, trie)
trie.find { |n| n.value == character } || add_node(character, trie)
end
def find_character(character, trie)
trie.find { |n| n.value == character }
end
def add_node(character, trie)
Node.new(character).tap { |new_node| trie << new_node }
end
文字を追加する際は、まず find メソッドでその文字が既に存在するかどうかを確認します。存在すれば該当ノードをそのまま返します。
存在しない場合は新しくノードを作成して返します。
さらに、指定した単語がツリーに含まれるかどうかを判定する include? メソッドも用意しましょう。
def include?(word)
find_word(word) { |found, base| return found && base.word }
end
これで、新しいデータ構造を使う準備が整いました。早速何ができるのか見てみましょう。
トライの活用例
まずはツリーにいくつか単語を登録してみます。
trie = Trie.new
trie.add_word("cat")
trie.add_word("cap")
trie.add_word("cape")
trie.add_word("camp")
単語がツリーに含まれているかどうかは、次のように確認できます。
p trie.include?("cape")
# => true
p trie.include?("ca")
# => false
では、このデータ構造にはどのような用途があるのでしょうか?
- 単語ゲームの解答支援
- スペルチェッカー
- オートコンプリート(入力補完)機能
これらを実現するには、ツリーに読み込むための質の良い辞書データが必要です。
以下の辞書データは役立つでしょう。
- https://raw.githubusercontent.com/first20hours/google-10000-english/master/20k.txt
- https://raw.githubusercontent.com/dwyl/english-words/master/words_alpha.txt
前方一致で単語を検索する
ここまでのコード例では、単語の「追加(add)」と「検索(find)」の操作を実装しました。
しかし、実用面では find_words_starting_with のような「指定した接頭辞で始まる単語を一括取得する」メソッドもあると便利です。
これには「深さ優先探索(DFS:Depth First Search)」アルゴリズムを使用します。あわせて、現在走査中の単語を追跡する仕組みも必要です。
各ノードが保持しているのは1文字だけなので、ツリーを辿りながら文字をつなぎ合わせ、元の文字列を復元する必要があります。
その処理を行うメソッドがこちらです:
def find_words_starting_with(prefix)
stack = []
words = []
prefix_stack = []
stack << find_word(prefix)
prefix_stack << prefix.chars.take(prefix.size-1)
return [] unless stack.first
until stack.empty?
node = stack.pop
prefix_stack.pop and next if node == :guard_node
prefix_stack << node.value
stack << :guard_node
words << prefix_stack.join if node.word
node.next.each { |n| stack << n }
end
words
end
ここでは2つのスタックを使用しています。1つは未訪問のノードを管理する stack、もう1つは現在組み立て中的な文字列を保持する prefix_stack です。
すべてのノードを訪問し終えるまでループを回しながら、ノードの値を prefix_stack に追加していきます。各ノードは1文字しか持たないため、これらの文字を集めて単語を形成する必要があるのです。
:guard_node というシンボルは、バックトラック(探索の巻き戻し)のタイミングを検知するためにスタックに挿入されます。これにより、文字列バッファ(prefix_stack)から文字を適切なタイミングで取り除けるようになります。
そして、node.word が true であれば完全な単語が見つかったことになるので、結果リストに追加します。
このメソッドの使用例:
t.find_words_starting_with("cap")
# => ["cap", "cape"]
該当する単語が見つからない場合は、空の配列が返ります。
t.find_words_starting_with("b")
# => []
このメソッドを応用すれば、オートコンプリート機能を実装することも可能です。
まとめ
この記事では、単語のリストを木構造として整理するデータ構造「プレフィックスツリー(トライ)」について学びました。このツリーを使えば、ある単語が有効かどうかの高速な判定や、同じ接頭辞を持つ単語の一括検索が実現できます。
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