Wineを使ってAndroidでWindowsアプリを実行する方法

Wine(お酒のワインではなく、Linux向けのあのWine)は、Unix系OS上でWindowsプログラムを実行するための無料かつオープンソースの互換レイヤーです。1993年に開発が始まり、LinuxやmacOS上でさまざまなWindowsプログラムを動かせるようになってきました。そして現在、WineプロジェクトはAndroidデバイスに対応したバージョン3.0をリリースしています。
この記事では、Wineを使ってAndroidデバイスでWindowsアプリを実行する方法を詳しくご紹介します。
Wineで何が実行できる?
Wineは本格的なエミュレーターではなく互換レイヤーであるため、その性能を最大限に引き出すにはx86アーキテクチャのAndroidデバイスが必要です。しかし、一般ユーザーが実際に使っているAndroid端末のほとんどはARMベースです。
ARMベースのAndroidデバイスの場合、Wineで実行できるのはWindows RT向けに移植されたアプリに限られます。ARMデバイス向けソフトウェアの数はまだ限られていますが、着実に増え続けています。XDA Developersフォーラムのスレッドで、互換性のあるアプリの一覧を確認できます。
ARMデバイスで実行できるアプリの例としては、以下のようなものがあります。
- Keepass Portable:パスワード管理ツール
- Paint.NET:画像編集ソフト
- SumatraPDF:PDFなど各種ドキュメントのリーダー
- Audacity:デジタル音声の録音・編集ソフト
さらに、「Doom」や「Quake 2」といったオープンソースのレトロゲームや、交通シミュレーションゲーム「Transport Tycoon」のオープンソースクローンである「OpenTTD」も楽しむことができます。
WineがAndroid上で実行できるプログラムのリストは、Android版Wineの普及とともに拡大していくでしょう。Wineプロジェクトでは、QEMUを利用してARM上でx86 CPU命令をエミュレートする開発も進められており、これが完成すればAndroidで実行可能なアプリの数は一気に増えるはずです。
Wineのインストール手順
Wineをインストールする前に、まずデバイスの設定でPlayストア以外からのAPKのダウンロードとインストールが許可されていることを確認しましょう。具体的には、「提供元不明のアプリ」のダウンロードを許可する必要があります。
1. スマホの「設定」を開き、「セキュリティ」の項目を選択します。

2. 下へスクロールし、「提供元不明のアプリ」の横にあるスイッチをオンにします。

3. 警告画面に表示されるリスクを確認して承認します。

4. Wineの配布サイトを開き、リストの最初のチェックボックスをタップします。ダウンロードが自動的に始まります。

5. ダウンロードが完了したら、「ダウンロード」フォルダからファイルを開くか、通知バーを下ろして完了済みのダウンロードをタップします。
6. プログラムをインストールします。音声の録音、およびSDカード内のコンテンツの変更・削除・読み取りへのアクセス権限が必要である旨の通知が表示されます。使用するアプリによっては、録音機能へのアクセス許可も別途求められる場合があります。

7. インストールが完了したら、アイコンをタップしてプログラムを起動します。

Wineの基本的な使い方
Wineを起動すると、デスクトップはWindows 7風の外観で表示されます。

Wineの弱点のひとつは、文字入力に外部キーボードが必要な点です。また、小さな画面では小さなボタンをタップしづらいこともあるため、外部マウスがあると操作性が大きく向上します。
スタートボタンをタップすると、「コントロールパネル」と「Run(ファイル名を指定して実行)」の2つのメニューが開きます。

「コントロールパネル」をタップすると、「プログラムの追加と削除」「ゲームコントローラー」「インターネット設定」の3つの項目が表示されます。
「Run」ではコマンドを入力するダイアログボックスを開けます。たとえば「iexplore」と入力すれば、Internet Explorerを起動できます。

Wineへのプログラムのインストール方法
1. アプリケーション(EXEファイル)をAndroidデバイスにダウンロードするか、クラウド経由で同期します。保存先の場所をメモしておきましょう。
2. Wineのコマンドプロンプトウィンドウを開きます。
3. プログラムが保存されている場所へのパスを入力します。SDカードのDownloadフォルダに保存した場合は、次のように入力します。
cd sdcard/Download/[filename.exe]
4. EXEファイル名を入力するだけで、Android版Wine上でファイルが実行されます。
ARM対応のファイルに互換性があれば正常に動作するはずですが、対応していない場合は大量のエラーメッセージが表示されます。現段階では、Wineを使ったAndroidへのWindowsソフトウェア導入は、成功するかどうか試してみるしかないというのが正直なところです。
Android版Wineの新バージョンには、まだ多くの課題が残されています。すべてのAndroidデバイスで動作するわけではなく、筆者の環境ではGalaxy S6 Edgeでは動作しましたが、Galaxy Tab 4では動作しませんでした。また、グラフィックドライバーがDirect3Dに未対応のため、多くのゲームがプレイできません。タッチ操作もまだ十分に洗練されていないため、快適に使うには外部キーボードとマウスがほぼ必須です。
リリース初期段階ではこうした制約があるものの、この技術が持つ可能性は非常に興味深いものがあります。Wineを使ってAndroidスマートフォンでWindowsプログラムをストレスなく起動できるようになるには、もう少し時間が必要でしょう。
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