ハードウェアアクセラレーションとは?仕組みとメリット・デメリットをわかりやすく解説
ハードウェアアクセラレーションとは、汎用CPU(中央処理装置)よりも高速に特定のタスクを処理するために、専用に設計されたコンピュータハードウェア(シリコンマイクロチップ)を活用する技術のことです。
ユーザーにとってこれは何を意味するのでしょうか?実は、多くのアプリケーションではハードウェアアクセラレーションのオン/オフを切り替える設定が用意されています。では、ハードウェアアクセラレーションにはどれほどの効果があり、実際に何をしてくれるのでしょうか?
ハードウェアアクセラレーションとは?(シンプルに解説)
まずはハードウェアアクセラレーションをシンプルに説明します。より詳しい仕組みを知りたい方は、次のセクションへ進んでください。
コンピュータのCPUは、ほぼあらゆる種類の計算問題を解くことができます。しかし、その反面、CPUの回路は多種多様なタスクに対応するために多くの部品を使用しており、その分スペースを占有し、多くの熱を発生させ、単一の仕事に特化した回路ほど洗練された設計にはなりません。
ハードウェアアクセラレーションでは、特殊な集積回路やマイクロプロセッサが、一つの特定のタスク、あるいは関連性の高い限られたタスクだけを担当します。回路の設計能力が他の用途に浪費されることがなく、これが大幅なパフォーマンス向上につながるのです。
場合によっては、そのハードウェアがCPU自体に組み込まれていることもあります。最新のCPUの多くには、動画エンコードや暗号化などのタスクで使われる特定の計算を高速化する専用の内部ユニットが搭載されています。
つまり、ハードウェアアクセラレーションとは、「一つの専門分野に特化し、それを極めて高いレベルでこなす」専用ハードウェアに特定の仕事を任せることなのです。
ハードウェアアクセラレーションのメリット
ハードウェアアクセラレーションは、使用中のアプリケーションにどのようなメリットをもたらすのでしょうか?その効果はハードウェアの種類やアクセラレーションの方式によって異なりますが、ほとんどの状況で共通するメリットがあります。
- パフォーマンスが大幅に向上します。アプリケーションの動作がより滑らかになったり、タスクの完了までの時間が大幅に短縮されたりします。
- CPUが他の作業に集中できるようになり、システム全体のパフォーマンスが向上します。CPUは専門ハードウェアへ処理をオフロードできるため、例えば動画をストリーミングしながらゲームを遊んだり、Discordなどのアプリを快適に使ったりできます。
- バッテリー駆動のデバイスにとって、ハードウェアアクセラレーションは非常に重要です。スマートフォンやタブレットがバッテリーを大きく消費することなく長時間動画を再生できるのは、このおかげです。小型の専用チップは、大型で複雑なCPUよりもはるかに省電力だからです。
ハードウェアアクセラレーションのデメリットはある?
一般的には、ハードウェアアクセラレーションは有効のままにしておくべきものですが、場合によってはデメリットになることもあります。
- ハードウェアアクセラレーションは、しばしば不安定さの原因になります。CPUは速度こそ劣るものの、非常に高い信頼性を誇ります。例えば、動画の書き出しを高速化できても、完了前にプロセスがクラッシュしては意味がありません。
- 新しい技術への対応が柔軟ではありません。例えば、特定の動画エンコード方式に対応したハードウェアアクセラレーションを搭載していても、より優れた方式が登場した場合、対応するには新しいハードウェアを購入する必要があります。
- システムが対応するハードウェアアクセラレーションの種類によっては、最良の結果が得られないことがあります。速度よりも品質を重視するなら、場合によってはCPUに処理を任せるほうが良いでしょう。例えば、HEVCエンコードのハードウェアサポートがなく、H.264コーデックより優れた画質を求めるなら、CPUベースのエンコードに頼るしかありません。
ハードウェアアクセラレーションはどこで使われている?
ハードウェアアクセラレーションには非常に多くの形態があり、すべてをここで紹介することはできませんが、一般的なコンピュータユーザーが遭遇する代表的な例をいくつか紹介します。
ブラウザのハードウェアアクセラレーション
Webブラウザは、意外にもCPUへの負荷が大きいアプリケーションです。現代のWebサイトには洗練されたグラフィック効果や高品質な映像・音声がふんだんに使われており、3Dグラフィックスを使用するWebアプリケーションは、GPUによるハードウェアアクセラレーションの恩恵を受けます。
これらのアプリケーションでは通常、ハードウェアアクセラレーションがデフォルトで有効になっており、無効にするのはトラブルシューティングの時だけにしましょう。
動画エンコードのアクセラレーション
- 現在のほとんどのCPUは、一般的なH.264動画規格のアクセラレーションに対応しており、H.265への対応も拡大しています。
- 最近のNVIDIA GPUには「NVENC」と呼ばれる専用エンコーダーチップが搭載されており、ゲーム映像の録画やストリーミングの処理を引き受けるため、ゲームのパフォーマンスに影響を与えません。
- Adobe Premiere Proなどのアプリケーションは、GPUベースのハードウェアアクセラレーションを提供しており、編集や書き出しのパフォーマンスが向上します。
GPGPU(汎用GPU)アクセラレーション
GPU(グラフィックスプロセッサ)はもともと3Dグラフィックスアクセラレータとして誕生しましたが、現代のGPUは比較的シンプルな演算を非常に高速に、しかも幅広い用途で実行できます。これらのプロセッサは、数百から数千のシンプルな小型コアがすべて並列に動作する構造をしています。
この特性により、アルゴリズムを大量のデータに適用するような特定のデータ処理に最適です。GPUがこのように設計されているのは、グラフィックスの描画がピクセル値の並列処理を伴うためです。つまり、GPUは画面上の何百万ものピクセルそれぞれの色を同時に計算しているのです。そして、ディープラーニングやデータマイニングのアプリケーションも、この計算方式の恩恵を受けることがわかっています。
レイトレーシングと機械学習アクセラレーション
GPU開発メーカーは現在、GPUコアよりもさらに特殊化された処理を行う専用コプロセッサを搭載しています。
- 最新世代のNVIDIA GPUには、レイトレーシングの数学的処理を高速化する専用ユニットが搭載されています。レイトレーシングとは、光がシーン内をどのように伝播するかをシミュレートして3Dグラフィックスを描画する手法です。
- さらに、これらのGPUには「テンソル演算」と呼ばれる計算を得意とする追加プロセッサが搭載されています。これはニューラルネットワークによる機械学習を使用するアプリケーションで活用されており、日常のコンピューティングタスクにおいてもその利用がますます一般的になっています。
アクセラレーションはどこにでもある
今日では、ほぼすべてのコンピューティングデバイスにハードウェアアクセラレーションが搭載されています。そして、特定のコンピューティング処理が普及するにつれ、コンピュータ科学者たちは、それらをより速く、より効率的に処理するための専用システムをさらに開発していくでしょう。
さあ、ゆったりと構えて、この高速化の恩恵を楽しんでください!
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