IP(インターネットプロトコル)とは?意味と仕組みをわかりやすく解説
インターネット・プロトコル(Internet Protocol、IP)とは、ネットワーク上でデータパケットがどのように送受信されるかを定める一連のルールのことです。実は、私たちはIPの技術的な詳細を知らなくても、日常的にその恩恵を受けています。たとえば、ノートパソコンやスマートフォンはすべてIPアドレスを使用していますが、ユーザーが特別な設定や知識を意識する必要はありません。
しかし、IPの意味や、それがなぜネットワーク通信に不可欠なのかを理解しておくと、デジタル技術への理解がぐっと深まります。この記事では、IPの基本から応用までをわかりやすく解説します。
インターネット・プロトコル(IP)の基本
IPは、インターネットに接続される機器同士の動作を標準化するための規格集です。ネットワーク通信の文脈では、データパケットがネットワーク内をどのように移動するかを定義します。
プロトコルが果たす最大の役割は、ネットワーク上のすべての機器——インターネット全体でいえば世界中の機器——が、どんなに異なるメーカーや種類のものであっても、同じ「言語」で会話できるようにすることです。これにより、異なる機器同士でもシームレスにつながり、ひとつのフレームワークの中で協調動作できます。
具体的には、IPはインターネットや任意のIPネットワーク上で、機器が自分のIPアドレスに基づいてパケットを転送(ルーティング)する方法を標準化しています。
IPルーティングとは
IPプロトコルの主な機能は「アドレッシング」と「ルーティング」の2つです。ルーティングとは、送信元のマシンから宛先のマシンへ、IPアドレスをもとにパケットをネットワーク経由で届ける処理のことです。
この伝送には通常、ルーターが使われます。ルーターは宛先のIPアドレスを確認し、一連のルーターの中で次にどちらへパケットを渡すべきかを判断しながら、データを目的地へと運んでいきます。
TCP/IP:信頼性を支える名コンビ
伝送制御プロトコル(TCP)がIPと組み合わさると、いわば「インターネットという高速道路の交通整理役」が完成します。TCPとIPはどちらもインターネット上でのデータ伝送に関わりますが、それぞれ担当する階層が異なります。
IP単体では、パケットが確実に相手に届くことは保証されません。そこで、接続の信頼性を担保する役割をTCPが担います。具体的にTCPは以下のことを保証してくれます。
- パケットが失われないこと
- パケットが正しい順序で並んでいること
- 遅延が許容範囲内であること
- パケットの重複がないこと
これらすべては、受け取ったデータが一貫性を保ち、順序どおりで、完全で、途切れのない状態(音声通話であれば、声が途切れないこと)であるために必要です。
データ送信時、TCPはIPの直前で動作します。まずTCPがデータをTCPパケットにまとめ、それをIPに渡すと、IPがさらにIPパケットとしてカプセル化して送り出します。
IPアドレスの役割
多くのユーザーにとって、IPアドレスはIPの中でも最も身近でありながら、謎めいた部分かもしれません。IPアドレスとは、パソコン、サーバー、電子機器、ルーター、スマートフォンなど、ネットワーク上の各マシンを一意に識別する番号の集合です。
IPアドレスは、送信元から宛先へパケットを正しく届けるための出発点です。IPアドレスがなければ、インターネットはあなたのメールやデータをどこへ届ければよいのか分かりません。
端的にまとめるなら、「TCPがデータを扱い、IPが場所を扱う」ということになります。
IPv4とIPv6の違い
最も一般的なIPアドレスはIPv4(IP技術のバージョン4)によるものです。32ビットのアドレッシングにより約43億個のIPアドレスを提供できますが、モバイル機器やIoTデバイスの爆発的な普及により、アドレス不足が深刻になりました。
そこで登場したのがIPv6です。128ビットのアドレッシングを採用しており、その数は理論上、今後も枯渇することがないほど膨大です。
豆知識:IPv5は実際には展開されませんでした。主な理由は、IPv4と同じ32ビット方式のアドレッシングを採用していたためです。
IPパケットの構造
IPパケットは情報の基本単位です。本体となるデータと、IPヘッダーと呼ばれる制御情報で構成されます。TCP/IPネットワーク上のTCPパケットも含め、あらゆるデータはビット列に分解され、パケットに格納されてネットワーク上を送信されます。
パケットが目的地に到着すると、分解された断片は再び組み立てられ、元のデータが復元されます。
音声とIPの出会い:VoIP
Voice over Internet Protocol(VoIP)は、この普及した伝送技術を活かし、Skypeなどのサービスを通じて音声データのパケットを双方向にやり取りする技術です。
VoIPの強みは、すでに存在するデータ通信網を利用することで、サービスをより安価かつ柔軟に提供できる点にあります。従来の固定電話回線に比べ、大幅なコスト削減が可能になったのは、IPという土台があったからこそと言えるでしょう。
豆知識:最初のVoIP通話は、現在私たちが知るインターネットの誕生よりも前に行われています。1973年にARPANETで行われた実験の一環だったのです。
-
Googleクラウドプリントとは?仕組みと設定・共有方法をわかりやすく解説
Googleクラウドプリントとは? Googleクラウドプリント(Google Cloud Print)は、Googleが開発したクラウド印刷サービスです。クラウド経由でプリンターと接続するため、離れた場所にいても、スマートフォンやタブレットなど任意のデバイスから印刷指示を出せるのが大きな特徴です。オフィスの資料や、お子様の課題に使う画像などを、外出先から自宅のプリンターへ直接印刷できます。 利用には以下のいずれかの環境が必要です。 インターネットに接続されたパソコンにプリンターが接続されている 「Cloud Print対応」プリンターを使用している(パソコン不要) さらに、複数のユーザー
-
攻撃対象領域(アタックサーフェス)とは?サイバー攻撃のリスクを最小限に抑える方法
ハッカーがあなたのネットワークに侵入してデータを盗むために使えるすべての経路や手法の総数を「攻撃対象領域(アタックサーフェス)」と呼びます。この領域は可能な限り小さく保つことが極めて重要です。ハッカーにとって攻略すべき侵入経路が少なければ、彼らは早々に諦めて、より脆弱な標的へと移っていくからです。一般的な攻撃対象領域は「デジタル」と「物理」の2種類に分けられます。 攻撃対象領域とは何か デジタル攻撃対象領域:ソフトウェア、ウェブサイト、サーバーなど、企業や組織のシステムにデジタル的に接続できるあらゆるものに関わる脅威を指します。例えば、フィッシングメールによるインターネット経由の潜在的なリス