MacでInternet Explorerを実行する方法と、あえて使う理由を徹底解説
インターネットブラウザの選択は軽視されがちですが、実は日々の快適さやセキュリティに直結する重要な決断です。かつてAppleのSafariやMicrosoftのInternet Explorerが「遅くて不安定」と言われていた時代から、ブラウザは大きく進化しました。現在では、メーカー純正のブラウザ――MacならSafari、WindowsならMicrosoft Edge――を標準搭載のまま使う人が多数派になっています。
Windowsは現在Microsoft Edgeを標準搭載していますが、懐かしのInternet Explorer(IE)の時代を覚えている人の中には、「同じ体験をMacでも再現できないのか」と考える方もいるでしょう。この記事では、MacへのInternet Explorerのインストールが可能かどうか、そして現実的な代替手段について詳しく解説します。
MacにInternet Explorerはインストールできる?
結論から言えば、公式には不可能です。MicrosoftがMac向けにInternet Explorerをリリースしたのはバージョン5.2.3(2003年)が最後で、それ以降macOS向けの公式サポートは行われていません。IEはもともとWindows専用として開発されたブラウザであり、近年のMicrosoftは後継であるMicrosoft Edgeへと完全に移行しています。
さらに問題なのは、最終バージョンのIEが動作したのはOS X 10.6以前の古いOS上だけだという点です。現在のインターネット環境において、サポート切れのOSを使い続けることは重大なセキュリティリスクを伴うため、強くお勧めしません。
ユーザーエージェントを偽装してIE専用サイトにアクセスする
驚くことに、長年更新されておらずInternet Explorerでしか閲覧できないウェブサイトが今もごく一部存在します。今日ではまず遭遇することはありませんが、そうしたサイトはIE以外のブラウザからのアクセスを拒否する場合があります。
もしアクセスが必要になった場合は、「ユーザーエージェント」を変更するという小技が役立ちます。ユーザーエージェントとは、訪問者がどのブラウザ・どのOSを使っているかをサイト側に伝える文字列のことです。例えば「macOS上のGoogle Chrome」といった情報を送信し、サイトはそれに応じて表示を調整します。
この仕組みを利用すれば、ChromeやSafariなどの別ブラウザから「Internet Explorerでアクセスしている」と偽装でき、IE専用サイトを開けるようになります。多くの場合はこれで十分機能しますが、プライバシーの観点では必ずしも安全とは言えません。あくまで小規模なタスク向けの応急処置と考えましょう。
代わりにMicrosoft Edgeを使う
そもそもMacにIEを入れたい理由が「WindowsとMacで統一された体験をしたい」ということであれば、Microsoft Edgeのインストールをお勧めします。WindowsからMacへ移行したばかりのユーザーにとって、macOSの操作に戸惑うのは珍しいことではありません。慣れ親しんだブラウザ環境があるだけで、移行のストレスは大幅に減ります。

Mac版Microsoft EdgeはMicrosoftが公式にサポートしており、Windows版とほぼ同等の操作性を提供します。Windows PCから設定やブックマークなどを取り込めるため、スムーズに環境を移行できます。まずはEdgeで落ち着いてから、他のブラウザを検討するのも良いでしょう。
MacでEdgeを使う最大のメリットは、複数デバイス間での同期です。職場ではEdgeの使用を義務付けられ、夜は自宅のMacに帰る――そんな毎日を送る人にとって、よく使うすべてのマシンで同じブラウザを揃えておくことは、データ移行の手間という頭痛の種を取り除いてくれるはずです。
仮想アプリでInternet Explorerを動かす
仮想化ソフトを使えば、macOS上の仮想環境でInternet Explorerを実際に動かすことも可能です。ただし手順はやや長いため、まずは前述のユーザーエージェント偽装を試し、それで不十分だった場合の選択肢とするとよいでしょう。
各種仮想環境やBoot Campを使う方法もありますが、最も手軽なのはWineBottlerというアプリです。以下では、代表的な2つの方法――WineBottlerとVirtualBox――を紹介します。
WineBottler
Linux向けのWineと同様に、WineBottlerはWindows用アプリケーションをMac上で直接実行できるソフトウェアです。複数OSの切り替えや高価なWindowsライセンス購入なしに、Windowsベースのプログラムを動かせます。
開発元の公式サイトからダウンロードし、通常通りインストールしてください。その際、「Wine」と「WineBottler」の両ファイルをアプリケーションフォルダへ移動するのを忘れないようにしましょう。

WineBottlerは非常に多機能で、複数のプレフィックスを読み込んでさまざまなソフトウェアをインストールできます。幸い、Internet Explorerは初期状態の選択肢に含まれており、初回起動時の画面からダウンロードできます。

入手できる最新版はInternet Explorer 8です。選択してInstallをクリックし、保存先(通常はアプリケーションフォルダ)を指定すれば、あとはWineBottlerが自動で処理します。
完了したら、指定した場所から新しくインストールされたアプリを起動するだけで準備完了です。

VirtualBox
Oracleが開発し無料で利用できるVirtualBoxは、Mac上の仮想環境でさまざまなOSを動かせる定番ツールです。
まず、VirtualBox本体とExtension Packの両方をダウンロードします(Softpediaなどから入手可能)。まずDMGファイルの方をインストールしてください。

インストール後、VirtualBoxマネージャーを一度起動してすぐに終了します。これによりシステムが必要な情報を記録します。次に、ターミナル(FinderまたはLaunchpadの「ユーティリティ」フォルダ内)を開き、インストールしたいIEのバージョンに対応するコマンドを貼り付けて実行します。

Internet Explorer 11のみ(Windows 7イメージ):
curl -s https://raw.githubusercontent.com/xdissent/ievms/master/ievms.sh | IEVMS_VERSIONS="11" bash
Internet Explorer 10のみ:
curl -s https://raw.githubusercontent.com/xdissent/ievms/master/ievms.sh | IEVMS_VERSIONS="10" bash
Internet Explorer 9のみ:
curl -s https://raw.githubusercontent.com/xdissent/ievms/master/ievms.sh | IEVMS_VERSIONS="9" bash
Internet Explorer 8のみ(Windows XP・小型イメージ):
curl -s https://raw.githubusercontent.com/xdissent/ievms/master/ievms.sh | IEVMS_VERSIONS="8" bash
Internet Explorer 7のみ(Windows XP・小型イメージ):
curl -s https://raw.githubusercontent.com/xdissent/ievms/master/ievms.sh | IEVMS_VERSIONS="7" bash

古いMacを使用している場合は、Windows XPベースのイメージを選ぶのがおすすめです。XPは古くサポートも終了していますが、軽微な用途には十分で、システムリソースへの負担も格段に少なくなります。
あとはファイルのダウンロードを待つだけです(最大2時間ほどかかることもあります)。完了したら仮想マシンを起動しましょう。アップデートのインストールや自動アップデートの有効化を求められますが、どちらも必須ではありません。その後、選択したバージョンのInternet Explorerが入ったWindowsデスクトップが表示されます。
そもそもなぜMacでInternet Explorerを使うのか?
インストール方法は分かったものの、わざわざIEを使うメリットはあるのでしょうか?
2010年頃――Chromeが急成長を始める前――に公開されたウェブサイトの多くは、Internet Explorerを前提として設計されていました。こうした旧式のサイトは、IEの方が競合ブラウザよりも安定して正しく表示されることが少なくありません。また、ActiveX技術を採用しているため、Webexのようなビジネス向けサイトやKaseyaのようなHTML ITコンソールとの相性も良好でした。
ただし、Internet ExplorerはMicrosoftによって正式に廃止されています。例外的な状況を除き、使用すべきではありません。
「最低でも2つのブラウザを入れておくべき」という考え方もあります。メインをSafari、Chrome、Firefoxのいずれにするにせよ、バックアップ用としてはIEも選択肢の一つになり得ます。
Microsoft Edgeは現代版Internet Explorer?
Microsoftは2020年にInternet Explorerの廃止を決定し、2022年6月にブラウザとしての提供を正式に終了しました。これは妥当な判断だったと言えます。後継のMicrosoft Edgeは、より高速で安定した信頼性の高いブラウザへと進化しています。MacにもEdgeをインストールすれば、WindowsとMacの横断で統一された体験が得られます。もちろんChrome、Firefox、Safariなどもクロスプラットフォーム対応しているため、同様の運用が可能です。
いずれにせよ、現時点でMac上でInternet Explorerを使うことは推奨されません。ただし、どうしても必要な例外ケースに備えて、本記事で紹介した方法が役立つはずです。
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