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Chromeの「広告プライバシー」機能の正体――私がオフにした理由

2023年半ば、Googleは「Privacy Sandbox(プライバシー サンドボックス)」構想の一環として、Chromeに「広告プライバシー(Ad Privacy)」機能を展開しました。これは、サードパーティCookieによるウェブ横断的な追跡を防ぐための機能だとされています。

説明だけ聞くと素晴らしい話です。より高いプライバシーを望まない人がいるでしょうか?しかし、実際にこの機能を詳しく調べてみると、想像していたものとは大きく異なり、結局すべてオフにすることにしました。

著者のギャビンは、テクノロジー解説・セキュリティ・インターネット・ストリーミング・エンターテインメント分野のセグメントリーダーで、「Really Useful Podcast」の元共同ホストでもあります。10年以上の執筆経験を持ち、CES、IFA、MWCなどのテック見本市にも取材で訪れ、数え切れないほどのヘッドホンやメカニカルキーボードをレビューしてきました。

思っていたものと違った

Googleは長年、ウェブ上のトラッキングとCookieを改善すると約束してきました。2020年に発表されたPrivacy Sandbox構想は、最終的にサードパーティCookieを廃止し、オンラインプライバシーを取り戻すはずのものでした。

本格的な展開は2023年頃から始まり、Googleは2025年までにサードパーティCookieを段階的に廃止する予定でした。ところが2026年になった今も、サードパーティCookieは健在です。一体何が起きたのでしょうか?

答えは「Google自身」です。EFF(Electronic Frontier Foundation)によれば、2024年にGoogleはサードパーティCookieと広告トラッキングに関する自らの方針を撤回しました。ほぼ同時期に登場したのが「広告プライバシー」で、有害なサードパーティCookieからChromeユーザーを守る新たな仕組みとされました。

しかし、それはサードパーティCookieの代替にはなりませんでした。既存の問題と並存するもう一つのトラッキングシステムとなり、しかもGoogleがユーザーデータを収集する度合いはむしろ強まっています。

なお、広告プライバシーの基盤だったPrivacy Sandbox構想自体は、2025年10月に正式に終了しました。それでもChromeの広告プライバシー設定はデフォルトでオンのまま残っています。自分の設定を確認しておく価値は十分にあります。

広告プライバシーは主に3つの要素で構成されています。

  • 広告トピック:Chromeが閲覧履歴を分析し、「フィットネス」「旅行」「テクノロジー」といった興味カテゴリを割り当てます。
  • サイト提案の広告:ウェブサイトが、ユーザーの行動に基づいてどんな広告が関連しそうかをChromeに問い合わせできます。
  • 広告測定:広告主が(建前上は)個人を特定することなく、広告の効果を追跡できるようにします。

理論上は悪くない話に聞こえます。データは端末内にとどまり、サードパーティCookieもつきまとわない。しかしGoogleが演出するほど、広告トラッキングの負担は軽減されていません。

トラッキングは単にパッケージし直されただけで、ウェブサイトがプロファイリングしていたものが、今度はブラウザ自身が行うようになったのです。

美化された広告トラッキング

この機能の問題は、一見して何が起きているのか分かりにくい点にあります。「広告プライバシー」という名称だけを見れば、トラッキングから守ってくれる機能のように思えます。

しかし実際に行っているのは、トラッキング方法の変更だけです。この機能は、Chromeをオンライン追跡のさらに積極的な参加者へと変えてしまいます。以前はウェブサイトや広告ネットワークが追跡を行い、ブラウザはその間の仲介者でした。広告プライバシーはこれを変え、Chromeが自らユーザーの行動を分析し、カテゴリに分類し、そのデータを共有してターゲット広告を配信するようになります。Googleが追跡方法への関与を強めるだけで、意味のある形でトラッキングを阻止してはいないのです。

同様に、「ローカル処理」という表現も誤解を招きます。データが端末内に保持されるかのように聞こえますが、実際はデータは依然として広告主と共有されており、Googleのコントロールが強くなっているだけです。

そして、これこそが私にとって受け入れられなかった点でした。

オフにしてもプライバシーは向上しない

どこまで掘っても出てくるのはトラッキング

トラッキング手法内容無効化で防止できる?
広告トピック(Chrome)ブラウザが興味を分類し、サイトと共有する✅ はい
サイト提案の広告サイトがあなたに関する広告候補をChromeに保存する✅ はい
サードパーティCookie広告ネットワークがサイト横断で追跡する❌ いいえ
ファーストパーティCookieGoogle、Amazon、Metaなどが直接追跡する❌ いいえ
ブラウザフィンガープリンティングデバイス・ブラウザの特性から個人を識別する❌ いいえ
アカウントベースの追跡ログイン中のプラットフォームが行動を記録する❌ いいえ

もう一つの問題は、広告プライバシーをオフにしてもプライバシーが向上しないことです。単にトラッキング方法を別のものと交換しているにすぎません。

ファーストパーティトラッキング(Google、Amazon、Meta、各サイトのCookieなど)、ブラウザフィンガープリンティング、オンラインアカウントに紐付いた追跡の影響は引き続き受けます。

残念ながら、現代のインターネットでこれらすべてから解放されるのは極めて困難です。例えば、Cookieの削除は追跡対策の定番としてよく挙げられますが、ブラウザフィンガープリンティングを防ぐことはできません。それを防ぐには、フィンガープリンティング専用のChrome拡張機能が必要になります。

インターネットの現実として、トラッキングはあらゆる形で存在します。一つの問題を解決できたと思っても、すぐに別の問題が待ち受けているのです。

無効化の手順

広告プライバシーをオフにするのに必要な時間は1分ほどです。

  1. Chromeの設定を開く
  2. プライバシーとセキュリティへ移動
  3. 広告プライバシーを選択

次の3つのオプションが表示されます。

  • 広告トピック
  • サイト提案の広告
  • 広告測定

3つすべてをオフに切り替えましょう。また、Chromeの大型アップデート後には設定が維持されているか、再度確認することをおすすめします。

対応OS:Windows / macOS / Linux / Android / iOS
価格モデル:無料

どの広告トラッキングを受け入れるかは自分で選ぶ

「広告プライバシー」という名前は、ユーザーを守るために設計された機能のように聞こえます。しかし現実には、ターゲット広告を維持しながら、プライバシーに配慮しているように見せるためのシステムの一部なのです。

もちろん、旧来のモデルと比べれば改善点もあります。しかし、その名前が示唆するような「トラッキングからの完全な決別」ではありません。

私にとっては、それがオフに切り替える十分な理由になりました。

ブラウザが表示される広告の形成に関わることに抵抗がないなら、オンのままでもよいでしょう。しかし、バックグラウンドで静かにそんなことが行われるのは避けたいというなら、ぜひ一度設定を確認して、ご自身で判断してください。

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