PulseEffectsでLinux PCのサウンドを劇的に改善する方法

高価な専用サウンドカードを購入しなくても、Linux PCの音質を向上できるとしたらどうでしょう?その答えとなるのが「PulseEffects」です。
PulseEffectsを使えば、音量を大きくしたり、オートゲインで周波数を自動的に「ノーマライズ」して、映画のささやき声もはっきり聞こえ、爆発音がスピーカーを痛める心配もなくなります。音楽の低音を強化したり、Creativeの「Crystalizer」相当のエフェクトを適用して、MP3をまるでライブコンサートのような臨場感あふれるサウンドに変えることも可能です。
PulseEffectsのインストール
Debian、Ubuntuおよび互換ディストリビューションでは、以下のコマンドでインストールできます。
sudo apt install pulseeffects

Arch系ディストリビューションの場合は、次のコマンドを使用します。
sudo pacman -S pulseeffects
Fedoraユーザーは、PulseEffectsが公式リポジトリに収録されているため、以下のコマンドで簡単に導入できます。
sudo dnf install pulseeffects
インストール後は、アプリケーションメニューからPulseEffectsを探して起動しましょう。

リミッター(Limiter)
リミッターはその名の通り、許容される最大音量レベルに上限を設ける機能です。すべてのオーディオ機器には限界があり、それを超えると本来の性能を発揮できません。機器が出力できる音量を超えた音はクリッピングされ、不快なノイズになってしまいます。
リミッターを有効にすると、音量の天井が設定されます。最初は音量が小さく感じられますが、すぐに期待どおりのレベルに追いつき、ノーマライズされます。その後は、突然の大きな音を検知して自動的に音量を抑え、設定した制限を超えないように制御してくれます。
つまり、映画で殺人鬼が画面に現れた瞬間の爆音にドキッとさせられることはもうありません。

リミッターはデフォルト値でも十分に機能します。映画鑑賞では、ルックアヘッド時間を短めに設定すると、音声の遅延を最小限に抑えられます。逆に、遅延が気にならない音楽鑑賞では値を大きくするとよいでしょう。そうすることでリミッターはオーディオストリームをより先まで読み込み、今後の音量変化に対してより滑らかで自然な反応が可能になります。
オートゲイン(Auto Gain)
オートゲインを使えば、全体の音量を上げることなく、ささやき声の部分だけを聞き取りやすくできます。仕組みは以下のとおりです。
- 音量レベルを継続的に監視し、大きな音を検知すると、「Target」フィールドで設定した希望レベルまで自動的に下げます。
- 低いレベルの音はブーストされ、希望の音量レベルに近づけられます。
- この処理は動的に行われます。再生中は常に再調整が繰り返されるため、大きな音は大きいまま、ささやき声はほかの音より小さい音量で、自然なバランスが保たれます。

音声をバックグラウンドで再生したまま、右側の出力レベルメーターやパネル下部の数値(Integrated、Relative、Rangeなど)を確認しながら、Targetレベルを調整してみてください。
クリッピングが発生すると気づくまでTargetレベルを上げていきます。表示されるバーが常に最大値付近に張り付くようになれば、それも視覚的に確認できます。そこから、バーがほとんど100に達しなくなるまで、少しずつ値を下げていくのがコツです。
ベースエンハンサー(Bass Enhancer)
音が痩せてこもって聞こえると感じたら、低域の強化が効果的な場合があります。
ベースエンハンサーは、単に低周波を持ち上げたり、ドラムを爆発音のように聞かせたりするものではありません。既存の周波数を、人工的に生成した新しい周波数で補完し、豊かにするのが特徴です。
元の信号に加えられた倍音によって、耳は最終的なサウンドをより厚みのあるものとして知覚します。薄っぺらい音になりがちなノートPCのスピーカーにとって、これは大きなアップグレードとなり得ます。

ベースエンハンサーを使うには、音声を再生したままフィルターを有効にします。主な調整ポイントは以下のとおりです。
- 「Amount」の値を増やすと、元の信号に追加される倍音が多くなります。
- 「Harmonics」の値を増やすと、元の周波数以外に新たに生成される周波数が増えます。
- 生成される倍音は「Scope」の値より高い周波数帯域に適用されます。この値を下げると、生成される周波数の量が増える反面、歪みが発生する範囲も広がります。
- 「Floor」の値を下げます。ベースエンハンサーはこの値未満の周波数を生成しません。「Floor」を下げるほど自動生成される倍音の余地が広がりますが、ほかの項目と同様に歪みのリスクも高まります。
最終的な仕上がりは音源にも左右される点に注意してください。ポップスには適切な設定でも、メタルやドラムンベースでは強い歪みが生じることがあります。さまざまなジャンルの音源で試しながら、普段聴く音楽と自分のサウンドシステムに最適な値を見つけることをおすすめします。
クリスタライザー(Crystalizer)
CreativeのX-Fiシリーズのサウンドカードで一躍有名になったクリスタライザーは、MP3など圧縮されたオーディオソース特有の劣化を軽減できます。
クリスタライザーは、ベースエンハンサーと似たアプローチで効果を発揮します。つまり、既存の周波数を分析し、それを補完する新しい周波数を生成するのです。その結果、ダイナミックレンジが拡大し、オリジナルよりもはるかに生き生きとしたサウンドになります。クリスタライザーを愛用する人の間では、高度に圧縮されたMP3がまるでライブ会場にいるかのような臨場感で聞こえると評判です。一方、オーディオ純粋主義者の中には、加工された音の人工的な響きを好まない人もいます。それは、ライブ録音とスタジオ制作物の違いに似ているかもしれません。

クリスタライザーのデフォルト値は、ほとんどの種類のオーディオにとって絶妙な中間点に設定されています。有効にすると、その効果は即座に実感できるはずです。その後、個々のパラメータを調整して、自分好みの強さに微調整できます。
あなたのサウンドをもっと良くしよう
ここで紹介したのは、PulseEffectsが提供するフィルターの一部にすぎません。ほかにも多数の機能が用意されているので、ぜひいろいろ試して、自分だけのオーディオ環境を構築してください。

結果に満足できたら、用途別のプリセットを作成・保存しておくのがおすすめです。お気に入りの音楽に最適な設定から、映画の音声をブースト&ノーマライズする設定へ、ワンクリックで瞬時に切り替えられるようになります。
なお、ターミナルからLinuxのオーディオを管理したいという方には、ALSAの活用も検討してみてください。
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