Arch Linuxユーザー必見!おすすめAURヘルパー5選
Arch Linuxは、DebianやFedoraのような他のディストリビューションが提供する手厚いサポートとは一線を画し、「メスを渡すから好きにやってみて」と言わんばかりのスタンスを取るディストリビューションです。core/extra/communityといった公式リポジトリが提供する初期のツールセットは限られていますが、それは意図的な設計によるものです。
必要なものは自分で追加していくのがArch流。そこで活躍するのがArch User Repository(AUR)です。AURは、ユーザーが独自のPKGBUILDスクリプトを作成し、公式リポジトリに含まれていないパッケージをビルドできるコミュニティリポジトリです。「WhatsApp for Linux」「Session」「Slack」などをArchで動かす方法を疑問に思ったことがあるなら、その答えはすべてAURの中にあります。
AURからパッケージをインストールする最も基本的な方法は、リポジトリからPKGBUILDを自分で取得し、Archのmakepkgユーティリティでコンパイルすることです。しかし、この手順を毎回踏むのは面倒だと感じる人も多いでしょう。そこで登場するのがAURクライアント(AURヘルパー)です。これらのツールを使えば、アプリのインストール作業が格段に簡単になります。
AURヘルパーは多数存在しますが、本記事では特に人気の高い5つを厳選して紹介します。
1. Yay
Go言語で書かれたYay(Yet Another Yogurt)は、依存関係を自動的に解決し、AURへの素早く自動化されたアクセスを提供する強力なヘルパーです。Pacmanに慣れている人なら、そのままの感覚でYayを使い始められます。このため、EndeavourOSやGaruda Linuxなど、ArchベースのディストリビューションではAURへの標準的な窓口として採用されています。
強力な依存関係解決機能により、初心者にとってはおそらく最良の選択肢と言えるでしょう。
ただし、一点注意があります。--answerclean、--answerdiff、--answeredit、--answerupgradeなどのフラグで自動応答を設定しない限り、使用するたびに「インストール中のパッケージの詳細を表示しますか?」と尋ねられ続けます。逆に、これをパッケージのインストール/アップグレードプロセスを細かく制御できる利点と捉えるユーザーもいます。
インストール方法
Arch LinuxにYayをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
sudo pacman -S --needed base-devel git
git clone https://aur.archlinux.org/yay-git.git
cd yay-git
makepkg -si
以上で完了です。
2. Paru
Vimがお気に入りのエディタですか? インストール前にスクリプトを手軽に編集できることに価値を感じますか? トラブルを自力で切り抜けるのが好きなタイプですか? すべてに「はい」と答えたなら、YayよりもParuの方が気に入るかもしれません。
ParuとYayは機能的にはほぼ同じツールです(ParuがRustで書かれている点を除けば)。ただし、Paruは操作ステップが少ないのが特徴です。まずAUR内でパッケージを検索し、インストールしたいバージョンを選択させ(Yayでバイナリ版・コンパイル版・開発中の「git」版から選べるのと同様)、その後PKGBUILDスクリプトの内容を表示して確認させます。
細かさではYayに劣るかもしれませんが、使用場面に関連した情報を簡潔かつストレートに提示してくれる点が魅力です。
インストール方法
Arch LinuxにParuをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
sudo pacman -S --needed base-devel git
git clone https://aur.archlinux.org/paru.git
cd paru
makepkg -si
以上で完了です。
3. Pacaur
Pacaurはcowerをバックエンドとして使用するAURヘルパーです。やや複雑な部類に入り、反復作業を完全に自動化したい上級者に人気があります。例えば、大量のAURパッケージをインストールしていて、キーボードに向かってオプションを入力し続けるのが億劫になっていませんか? Pacaurなら、パスワードを入力して必要な情報を一度伝えるだけで、あとはすべて自動で進めてくれます。
インストール方法
Arch LinuxにPacaurをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
sudo pacman -S --needed base-devel git
git clone https://aur.archlinux.org/pacaur.git
cd pacaur
makepkg -si
以上で完了です。
4. Trizen
Pacaurには興味がないけれど、軽量なツールを探しているなら、Trizenをチェックしてみてください。BashではなくPerlで書かれたAURヘルパーで(その分柔軟性が高い)、Pacaurと比べて構文がシンプルで、ほとんどのフラグが1文字に短縮されています(-Uはアップグレード、-Rは削除、-Sは同期)。すでにPacmanに慣れている方もご安心ください。このリストの他のヘルパーと同様、TrizenでもPacmanのフラグがそのまま使えます。
Perl製であるためコードをサイレントに実行できず、AURからのパッケージインストール全体のセキュリティが向上しているのもポイントです。
Trizenを他のヘルパーと差別化しているのは、その驚異的なきめ細かさでしょう。インストールする各パッケージのPKGBUILDスクリプトをその場で編集できるだけでなく、デスクトップエントリや付属の実行可能なシェルスクリプトまで編集できます。
知名度こそ他のツールほど高くありませんが、試してみる価値は十分にあります。
インストール方法
Arch LinuxにTrizenをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
sudo pacman -S --needed base-devel git
git clone https://aur.archlinux.org/trizen.git
cd trizen
makepkg -si
以上で完了です。
5. Pamac
「Archのパッケージ管理はターミナルだけ」と思っていませんか? Manjaroが使いやすさ重視のディストリビューションのために開発したPamacは、Archの公式リポジトリからAURまでをカバーするGUIフロントエンドを提供します。AUR対応版には以下の2種類があります。
- pamac-aur – AURへのアクセス機能のみを含む
- pamac-all – AURに加えて、flatpakやsnapリポジトリにもアクセス可能
Archを使い始めたばかりで、アプリ管理のたびにターミナルと向き合いたくない方には、Pamacが最高のGUIベースの体験を提供してくれるでしょう。
唯一の弱点は、壊れたPKGBUILDスクリプトの修正において柔軟性に欠けることです。パッケージインストール中のトラブルに自力で対処できる環境を整えたいなら、Pamacと併せて本記事で紹介した他のAURヘルパーもインストールしておくことをお勧めします。
インストール方法
Arch LinuxにPamacをインストールするには、以下のコマンドを実行します。
sudo pacman -S --needed base-devel git
git clone https://aur.archlinux.org/pamac-all.git
cd pamac-all
makepkg -si
以上で完了です。
よくある質問
1. AURヘルパーは安全に使えますか?
AURは本質的に安全な仕組みとして設計されているわけではない点に注意が必要です。悪質なパッケージはユーザーの投票によってすぐに淘汰されますが、警戒すべきは悪意のあるパッケージだけではありません。すべてのパッケージメンテナーが完璧なアップデート管理を行えるわけではないのです。例えば執筆時点では、Balena EtcherのPKGBUILDにepochに関する問題があり、問題が修正されるまで「balena-etcher」パッケージの更新を促され続ける事態が発生していました。
とはいえ、適切に管理されていないパッケージで時折起こる小さなトラブルを除けば、このためにシステムが壊れることはまずありません。実際に注意すべきは部分アップグレードの実行です。AURヘルパーが公式リポジトリの更新中にクラッシュすると、正規のフルアップグレードを行うまでシステムが不安定になる可能性があります。
これを防ぐには、必ず最初にPacmanでシステム全体をアップグレードし(pacman -Syu)、その後にAURヘルパーでAURパッケージを更新しましょう。
2. 複数のAURヘルパーを併用しても問題ありませんか?
同時に使用しない限り(2つのターミナルを開いて片方でPacaur、もう片方でYayを実行するようなケース)、複数のAURヘルパーをインストールしていても問題は起きません。AURヘルパーは、PacmanにAUR機能を追加するラッパーと考えると分かりやすいでしょう。同じシステムファイルを照会するため、通常は互いに干渉しません。唯一考えられるデメリットは、ヘルパーごとにキャッシュが保持されることで、ストレージ容量が限られている環境ではやや不利になる点です。
3. 最も初心者向けのAURヘルパーはどれ?
初心者にはYayまたはParuが最適です。どちらも、AURを探索する際の高い自由度と、Linux/Arch初心者を圧倒しかねない情報過多の回避とのバランスがうまく取れています。
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