Raspberry Piで複数のOSを起動する3つの方法【NOOBS・BerryBoot・PiServer】
Raspberry Piは通常、SDカードから1つのOSを起動して使うのが一般的です。しかし、プロジェクトごとに異なるバージョンのRaspberry Pi OSを使い分けたい、あるいはRaspberry Pi 4でKodi、RetroPie、Ubuntu MATEなどを併用したいというニーズもあるでしょう。
マルチブートの方法は、モデルや使用するストレージによって選択肢が異なります。この記事では、複数のOSをインストールしてデュアルブート・マルチブートを実現する具体的な方法を紹介します。
なぜRaspberry Piに複数のOSが必要なのか
Raspberry Piには多くの魅力があります。柔軟性が高く、子ども向けのプログラミング学習環境としても、本格的なデスクトップPCとしても活躍できる万能なシングルボードコンピュータです。活発なコミュニティとRaspberry Pi Foundationのサポートにより、その汎用性と携帯性は競合製品を大きく上回っています。
しかし、Raspberry Piには1つ大きな弱点があります。OSをSDカードから起動する仕組み上、1枚のカードにつき1つの構成に固定されてしまうのです。例えばカメラプロジェクトを進めている最中にBluetoothスピーカーの実験へ切り替えたい場合、これが大きな障害になります。
通常、このような場面では次の2つの選択肢があります。
- 既存のOSをバックアップし、SDカードを再フォーマットして新しいOSを書き込む
- SDカードを新たに購入し、どのカードに何が入っているか記録して管理する
しかし、見落とされがちな第3の選択肢があります。それが「Raspberry Piへの複数OSのインストール」です。以下でその方法を詳しく見ていきましょう。
起動メディアはSDカード?USBストレージ?それともネットワーク?
Raspberry Piの初期の頃、OSの起動メディアはSDカードしかありませんでした。
しかしプラットフォームの進化とともに、選択肢も着実に増えてきました。Raspberry Pi 3以降では、ボードの設定を変更することでUSBからの起動が可能になっています。
その結果、USBフラッシュドライブ、USBハードディスク(HDD)、USB SSDがSDカードの代わりに使われるようになりました。USBフラッシュドライブは低消費電力でRaspberry Piとの相性が抜群です。一方、多くのUSB HDDやSSDは独立した電源供給を必要とします(例外もあります)。
例えば、Western DigitalのLabsチーム(WD Labs)は、かつてRaspberry Piの電源接続を共有できる「PiDrive」シリーズのHDDを販売していました(現在は販売終了)。
さらに、Raspberry Pi 3ではネットワークブート機能も導入されました。PXE(Pre eXecution Environment)を利用することで、Pi 3以降のモデルはサーバー上のイメージから直接起動できます。
方法1:NOOBSで複数OSをインストールする
NOOBSを使えば、Raspberry PiのSDカードに簡単に複数のOSをインストールできます。
NOOBSには2つのバージョンがあります。1つは選択したOSをダウンロードするオンラインインストーラー、もう1つは主要なOSがすべて同梱されたオフラインインストーラーです。自分のインターネット環境に合わせて使い分けましょう。
NOOBSでRaspberry Pi OSをインストールする手順は以下の通りです。
- インストーラーをダウンロードする
- ZIPファイルを展開する
- フォーマット済みSDカードにコピーする
- SDカードをRaspberry Piに挿入する
- Piを起動する
- NOOBSのメニューを操作する
メニューから1つまたは複数のOSを選んでインストールできます。標準のRaspberry Pi OSをはじめ、OpenElecなどのメディアセンター系OSまで、多彩なOSが用意されています。
セットアップが完了すれば、Piを起動するたびに実行したいOSを選択できるようになります。
NOOBSはすべてのモデルのRaspberry Piで利用可能です。
方法2:BerryBootでマルチブート環境を作る
NOOBS以前から存在するのがBerryBootです。これはインストーラーではなくブートローダーであり、この違いこそが複数OSの実行に最適化されている理由です。
NOOBSと同様、BerryBootもファイルをダウンロードし、解凍してフォーマット済みSDカードにコピーする流れになります。ただしNOOBSと違ってオフライン版がないため、選択したOSをダウンロードするにはRaspberry Piをネットワークに接続しておく必要があります。
BerryBootはSDカードだけでなく、USB機器やネットワークドライブへのインストールにも対応している点が強みです。BerryBootで複数OSをインストールする手順は以下の通りです。
- BerryBootをダウンロードする
- ZIPファイルをフォーマット済みSDカードに展開する
- SDカードをRaspberry Piに挿入する
- Raspberry Piの電源を入れる
- 1つ以上のOSを選択してインストールする
- 起動のたびに使用するOSを選ぶ
BerryBootでのマルチブートについては、専用ガイド記事でより詳しい手順を解説しています。
NOOBSと同様、BerryBootもすべての世代のRaspberry Piボードで動作します。
方法3:PiServerでネットワークブートを行う
最後に紹介するのはネットワークブートです。Raspberry Pi OSのデスクトップ版に標準搭載されていますが、すべてのデバイスを有線LAN(Ethernet)で接続する必要があり、Wi-Fiには対応していません。
ただし、SDカードの頻繁な交換が課題になっている環境では理想的な方法です。ネットワークブートではSDカードが不要になり、ネットワークドライブ上に保存されたディスクイメージから直接起動できます。Raspberry Pi公式サイトでは、PiServerを使ったPXEブートの設定方法が詳しく説明されています。
この方法を使えば、開発用、デスクトップ作業用など、用途別に複数のRaspberry Pi OS環境を維持できます。OSを切り替えたいときは、単にRaspberry Piを再起動するだけです。さらにサーバー側でOSがバックアップされるため、SDカードの破損リスクからも解放されます。
この方法はRaspberry Pi 3以降のモデルに最適です。
マルチブートで広がるRaspberry Piの可能性
新しいプロジェクトを始めるたびにSDカードを再フォーマットし直す時代はもう終わりです。必要なのはマルチブートツールだけ!一度セットアップすれば、必要なRaspberry Pi OSがすべて揃います。制約となるのはストレージ容量のみです。
NOOBSとBerryBootは物理ストレージを有効活用できる優れたツールですが、潜在的に最大のゲームチェンジャーはPiServerによるネットワークブートといえるでしょう。とはいえ、手軽さを重視するなら、NOOBSが間違いなく最もシンプルなRaspberry Piマルチブートインストーラーです。
あとは、どのRaspberry Pi OSをインストールするかを選ぶだけです。
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