Windowsのtracertコマンドでネットワーク接続の問題を簡単に診断する方法
Windowsには「tracert」というコマンドがあることをご存じでしょうか?これは、特定の宛先に向かうまでにパケットがどのような経路をたどるのかを確認できる便利なツールです。Webサイトに接続する際にパケットがどこを通っていくのかを見るだけでも面白いのですが、このコマンドの本来の目的は、経路のどの地点でパケットが失われているのかを特定することにあります。
トレースルート(tracert)とは?
使い方を解説する前に、まずトレースルートが何をするものなのかを説明しましょう。トレースルートを実行すると、パケットがたどる経路を監視し、その行き先を確認できます。荷物の追跡サービス付きで通販を利用したことがあるなら、注文した商品が家に届くまでの経路をワクワクしながら追いかけた経験があるかもしれません。トレースルートもこれとよく似た仕組みです。ただし、データパケットには追跡デバイスを取り付けられないため、もう少し工夫が必要になります。
パケットがルーターに保持されている間に有効期限切れになると、そのルーターはパケットの送信元に対して「パケットが期限切れになった」ことを通知します。宅配便のようにパケットの移動を直接監視することはできませんが、各ルーターに到着した時点で期限切れになるようなパケットを送信すれば、ルーターからエラーメッセージが返ってきます。このエラーを報告してきた場所を順番に分析することで、パケットがどの経路を通っているのかを推定できるのです。
ここで活躍するのが、TTL(Time To Live)と呼ばれるパケットの属性です。TTLは、パケットが期限切れになるまでに通過できるルーターの数を決める値です。ルーターはパケットを処理する際、TTLを1減らしてから次へ転送します。TTLが0になるとパケットは失効し、ルーターはそのことを送信元に報告します。トレースルートでは、まずTTL=1のパケットを送信します。最初のルーターがこれを受け取るとすぐにTTLが0になり、パケットは失効します。ルーターからエラーが返され、トレースルートはその場所を記録します。次にTTL=2のパケットを送ると、最初のルーターは通過できるものの2番目のルーターで失効します。さらにTTL=3のパケットを送り、という具合に一つずつ経路を辿っていくのです。
トレースルートの動作例
実際にトレースルートがどのように動作するのか、具体例を見てみましょう。
PCがTTL=1のパケットを送信 → ルーターAが1減らして0に → TTLが0なのでパケット消滅 → ルーターAが自身の場所を報告
PCがTTL=2のパケットを送信 → ルーターAが1減らして1に → ルーターBへ転送 → ルーターBが1減らして0に → TTLが0なのでパケット消滅 → ルーターBが自身の場所を報告
PCがTTL=3のパケットを送信 → ルーターAが1減らして2に → ルーターBへ転送 → ルーターBが1減らして1に → サーバーへ到達 → サーバーが接続確認を返答

このように、パケットがどの経路を通っているのかが少しずつ見えてきます。宛先から応答を受け取るとトレースルートは自動的に停止し、パケットが通った経路全体を分析できるようになります。とても便利な機能ですね。
トレースルートの実行方法
それでは、実際にトレースルートを実行してみましょう。まずコマンドプロンプトを開きます。スタートボタンをクリックし、検索欄に「cmd」と入力してEnterキーを押せば起動できます。Windowsキー+Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開き、「cmd」と入力する方法でも構いません。

コマンドプロンプトが開いたら、「tracert」に続けて宛先を入力します。宛先はURLでもIPアドレスでもかまいません(例:www.twitter.com や 104.244.42.1)。Enterキーを押すと、指定した宛先への接続経路の記録が始まります。あとは結果が表示されるのを待ちましょう。

トレースルートを使った問題の診断方法
トレースルートの仕組みがわかったところで、接続が途切れる場所を特定するのにどう役立つかを見ていきましょう。TTLを増やしながらパケットを送信していき、あるTTLの値になったときに、次のルーターからまったくエラーメッセージが返ってこないとします。これは、次のルーターにパケットがそもそも届いていない可能性が高いことを意味します。PCはルーターからの応答を一定時間待ちますが、エラーを受信できなければ「要求がタイムアウトしました(Request Timed Out)」と表示されます。

これがなぜ役立つのか?
接続が切れてしまったとき、トレースルートを使えば、経路のどの地点で切断されているのかを確認できます。パケットが自宅のルーターから外に出る前にタイムアウトしているなら、ルーター側に問題があると考えられます。逆に、ルーターは正常に通過できているのに、途中のインターネット網内でパケットが消えている場合は、ISP(インターネット接続業者)側の問題である可能性が高いでしょう。
特定のWebサイトに接続できないときにも、tracertで接続状況をチェックできます。自分のルーターや交換機までは一切エラーが出ていないのに、それ以降の経路でタイムアウトが発生しているのであれば、原因は自分のルーターやISPではない可能性が高いといえます。
トレースルートを使う際に注意すべき点がひとつあります。パケットは、同じWebサイトにアクセスする場合でも、毎回まったく同じ経路を通るとは限りません。トレースルートの結果から確定的な結論を導き出そうとするときは、この点を必ず念頭に置いておきましょう。
まとめ
トレースルートは、パケットがどの経路を通っているのかを眺めて楽しむツールであると同時に、どこで障害が発生しているのかを突き止めるための実用的な診断ツールでもあります。仕組みを理解した今なら、接続経路のどの地点でパケットが失われているのか、そして問題がどこにあるのかをより的確に診断できるはずです。ぜひ日々のトラブルシューティングに役立ててください!
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