EMETとは?Windowsパソコンを保護するMicrosoft製セキュリティツールの使い方
EMET(Enhanced Mitigation Experience Toolkit)とは
EMETは「Enhanced Mitigation Experience Toolkit」の略称で、Microsoftが開発した無料のセキュリティツールです。優秀でありながら意外と知られていないツールの一つで、DEP(データ実行防止)、EAF(エクスポートアドレステーブルアクセスフィルタリング)、SEHOP(構造化例外ハンドラ上書き保護)といった高度な緩和策(ミティゲーション)技術を活用し、インストール済みアプリケーションが悪用されるのを防ぐ追加のセキュリティ機能を提供します。
たとえば、JavaやInternet Explorerは脆弱性が多く指摘されてきたプログラムですが、EMETを利用すれば、こうしたプログラムを一般的なエクスプロイト(攻撃コード)から守ることができます。実は、EMETが使用している技術の多くはWindows OS自体に組み込まれており、EMETはそれらの高度なセキュリティ設定を簡単に操作するためのユーザーインターフェースとして機能します。
ただし、このツールを使う際には一つ注意点があります。古いソフトウェアとの相性があまり良くないということです。古いソフトウェアを使用している場合、誤検知が多発したり、互換性の問題でアプリケーションが正常に動作しなくなったりする可能性があるため、導入前に留意しておきましょう。
EMETの導入と基本的な使い方
1. ダウンロードとインストール
まず、Microsoftの公式サイトからEMETをダウンロードし、通常のソフトウェアと同じ手順でインストールします。

インストール中に設定画面が表示されたら、「Use Recommended Settings(推奨設定を使用する)」を選択して「Finish」ボタンをクリックします。

インストールが完了すると、EMETはタスクバーに常駐し、対応アプリケーションの監視と保護を行います。アイコンをダブルクリックすると、EMETのメインウィンドウが開きます。

メインウィンドウには、実行中のすべてのプロセスとシステムの状態が表示されます。

2. 人気ソフトウェアの設定をインポートする
EMETをインストールしたら最初に行うべきことは、よく使うソフトウェアをアプリリストに追加することです。幸い、MicrosoftはFirefox、Chrome、Windows Media Playerなど、主要な人気ソフトウェアがほぼ網羅されたXMLファイルを用意しています。リボンメニューの「Import」を選択しましょう。

次に「Popular Software.xml」ファイルを選択し、「Open」ボタンをクリックしてファイルをEMETに読み込みます。

ファイルを追加したら、設定を確実に反映させるために、すべてのアプリケーションを再起動するか、システム全体を再起動しておきましょう。

再起動後、メインウィンドウのプロセス一覧で、EMETによって保護されているアプリケーションを確認できます。保護対象となっているアプリには「Running EMET」欄に緑色のチェックマークが付きます。

3. アプリケーションごとの保護設定
リボンの「Apps」ボタンをクリックすると、EMETが保護しているすべてのアプリケーションの一覧を確認できます。Application Configurationウィンドウでは、アプリごとに各緩和策ポリシーを個別に有効・無効化できます。

独自のアプリケーションをEMETに追加したい場合は、リボンの「Add Application」ボタンをクリックし、対象のアプリケーションを選択して「Open」ボタンを押せば完了です。たとえば、ここではSublime Textを追加してみました。

追加したアプリケーションはApplication Configurationウィンドウに表示され、他のアプリケーションと同様に個別の緩和策ポリシーを設定できます。

4. セキュリティレベルのクイック変更
リボンUIの「Quick Profile Name」からプロファイルを切り替えることで、セキュリティレベルを素早く変更することもできます。もちろん、推奨されるのは「Recommended Security Settings(推奨セキュリティ設定)」オプションです。

5. 脆弱なプログラムの検出とブロック
EMETは、脆弱なプログラムやルールに違反するプログラムを検出すると、そのアプリケーションの起動を制限し、簡単なメッセージで通知してくれます。

たとえば上の画像では、EMETがEAF(Export Address Table Access Filtering)による緩和策を検出し、Thunderbirdアプリケーションの実行をブロックしたところです。ただし、そのアプリケーションを信頼できる場合は、Application Configurationウィンドウで緩和策のルールを変更できます。
また、EMETのインターフェースの見た目が気に入らない場合は、リボンの「Skin」ドロップダウンメニューから、利用可能なスキンを選んで変更することもできます。

まとめ
EMETは主に管理者向けのツールであり、アプリケーションへの緩和策ルールの適用は非常に厳格です。とはいえ、一般のWindowsユーザーでも問題なく使用できますし、何らかの理由で今なおWindows XPを使い続けているのであれば、PCを保護するためにEMETを導入するのは良い選択と言えるでしょう。
一部のアプリケーションとの互換性の問題はあるかもしれませんが、EMETがもたらすセキュリティはそれだけの価値があります。ぜひ一度試してみてください。
※補足:EMETは2018年7月31日をもってサポートを終了しています。現在では、Windows 10/11に標準搭載されている「エクスプロイト保護(Exploit Protection)」機能が事実上の後継となります。「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」→「アプリとブラウザーのコントロール」→「エクスプロイト保護の設定」から、同様の緩和策を利用できます。最新のWindows環境をお使いの場合は、こちらの活用をご検討ください。
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