Windows 11の現実:期待を裏切った10の機能
2021年にマイクロソフトが描いたWindows 11のビジョンは、いまだに実現していない。かつて大々的に宣伝されたデスクトップOSの機能の中には、静かに姿を消したものもあれば、本来あり得た姿の影すら留めていないものもある。もちろん、持続的な変革は容易ではない。2015年、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは「私たちの目標は、ユーザーがWindowsを『必要としている』状態から『選ぶ』状態へ、そして『愛する』状態へと移行させることだ」という有名な言葉を残した。筆者はマイクロソフトがこの約束を果たせていないと感じているが、以下に挙げる問題点に真剣に取り組めば、まだユーザーを大切にしている姿勢を示せるはずだ。
1. タスクバーウィジェットは期待外れ
新しいWindows 11 PCをセットアップするたびに、株価の動きやMSNニュースの見出しなどで注意を散漫にさせるタスクバーウィジェットが常に表示される。その体験は、Microsoft Edgeの情報過多な新しいタブページとほぼ同じくらいストレスフルだ。
ウィジェットは本来、アプリ開発者が一目でわかる情報を表示できる、はるかに有用なプラットフォームになるはずだった。しかし、これを採用する開発者はほとんどいない。無理もない。誰が自分のサービスをMSNのクリックベイト記事の隣に並べたいだろうか?
筆者はGmailやGoogleカレンダーなど、よく使うアプリやサービスのウィジェットがあれば嬉しいのだが、現状のウィジェットボードは、飾り立てた天気パネル程度の存在にとどまっている。天気以外のウィジェットはすべてオフにしているのが実情だ。
2. 新しいファイルエクスプローラーは依然として不安定
マイクロソフトがWindows 10の「Sets」機能を発売前に断念したとき、筆者は非常に失望した。この機能は、ファイルエクスプローラーへのタブ追加をはじめ、さまざまな可能性をもたらすはずだったからだ。だからこそ、Windows 11のファイルエクスプローラーの改善を心待ちにしていた。
マイクロソフトは最終的にタブを追加したものの、現在のファイルエクスプローラーは、あるべき信頼性には程遠い。複数のPC間でファイルを転送する際、パフォーマンス低下やクラッシュに頻繁に遭遇する。今ではWindows 10のファイルエクスプローラーを懐かしく思い出し、タブ機能よりも安定性とパフォーマンスの方を優先したいとすら思っている。同じように感じているのは筆者だけではない。話をした多くのWindowsパワーユーザーが、すでに代替ファイラーへ移行済みだ。
3. Androidアプリへの真の対応は実現しなかった
Android用Windowsサブシステムは、Windows 11の大きな柱になるはずだった。タッチファースト設計の幅広いAndroidアプリを実行できれば、タッチ最適化アプリが不足するWindowsタブレットにとって計り知れない価値を持つはずだった。
マイクロソフトはこのプロジェクトの開発作業自体は完了させたが、意味のある配信システムを確立することはなかった。代わりにAmazon Appstoreと一時的に提携したものの、2024年初頭にサポートを打ち切った(Amazon側も2025年にすべてのAndroidデバイス向けAppstoreを終了している)。
これは、マイクロソフトのフォロースルーの欠如を示す典型例だ。Android用WindowsサブシステムはWindows 11の発売前には主要な訴求ポイントだったのに、ほとんどのWindowsユーザーはその存在に気づくことすらなかったのである。
4. 統一感のあるビジュアル刷新は到来しなかった
Windows 11は、OS全体に統一感のあるビジュアルデザインをもたらすはずだった。初期リリースは完璧ではなかったが、視覚的・スタイル的な統一性において大きな飛躍だったことは間違いない。しかし、発売から4年以上が経過した今も、状況はまるで進行中の作業のように見える。
ダークモードは当初より改善されたが、それでも完璧とは言えない。設定アプリはWindows 11の各種オプションを一箇所に統合しつつあるが、コントロールパネルは依然として存在し、古びたインターフェースを持つレガシーツールも数多く潜んでいる。筆者は、Windowsがついに単一のビジョンとして感じられるようになるアップデートを待ち続けている。
5. Teamsチャット機能は消えた
Windows 11は、タスクバーにMicrosoft Teamsを基盤としたチャット機能を搭載して登場した。ところが重要なのは、ビジネス版ではなく個人版のメッセージングアプリに依存していた点だ。つまり、組織でTeamsを業務利用していても、このチャット機能でチームメイトに連絡することはできなかった。
ほとんどのWindowsユーザーが当然困惑し、マイクロソフトは2023年にこの機能をタスクバーから削除した。ただし、筆者は同社がこのコンセプトを完全に放棄すべきだとは思わない。SkypeとMSNメッセンジャーは、その時代に絶大な人気を博した実績がある。マイクロソフトはそれらの成功から学ぶべきだ。
6. スマホリンクはまだベータテストの印象
筆者はスマホリンク(Phone Link)アプリの大ファンだ。SMSの認証コードのコピーやテキストメッセージへの返信など、さまざまな操作をPCから直接行えるのは便利だ。しかし、筆者でさえ、もっと良くなるべきだと認めざるを得ない。人にスマホリンクをおすすめするとき、いつも謝罪したくなる。読者から報告されるのと同じバグに、筆者自身も頻繁に遭遇するからだ。
筆者はネイティブのスマホリンク対応が組み込まれたSamsung Galaxyスマホを使っているが、それでも接続切断の問題に悩まされる。Google Pixelでの体験はさらに悪く、iPhoneユーザーはあまり期待しない方がいい。モバイルプラットフォームはデスクトップと同等か、それ以上に重要なのだから、この種の連携はどんな最新OSでも完璧に動作すべきだろう。
7. タッチスクリーンPCはもはや重点ではない
Windows 8で、マイクロソフトはタッチスクリーンデバイスこそPCの未来だと賭けた。しかし、消費者や多くの業界専門家がMetro風のインターフェースを嫌い、同社は以来、そのビジョンを後退させ続けてきた。それでも、多くのPCには今もタッチスクリーンが搭載されている。マイクロソフトはSurface Proタブレットを出荷し続けており、コンバーチブルやデュアルスクリーンのデバイスも数多く存在し、一部のWindowsタブレットは今も現役だ。
Windows 10には専用のタブレットモードがあったが、Windows 11にはない。Windows 11タブレットからキーボードを外しても、タスクバーが少し大きくなり、タッチターゲットのサイズが増えるだけだ。これはマイクロソフトが提供できる最低限の対応にすぎないと感じる。人々がタッチスクリーンPCを購入し、使い続ける限り、Windowsはそうしたユーザーへの配慮をもっと改善すべきだ。
8. Xbox発の変革は実現しなかった
Windows 11の登場時、マイクロソフトはXboxの機能をWindowsに持ち込むことについて大きな期待を煽った。例えば、DirectStorage APIは、SSDからGPUへデータを直接送ることでPCゲームのロード時間を短縮するはずだった。残念ながら、これを優先的に採用するゲーム開発者はごくわずかだ。Windowsは古いゲームの明るさと色域を改善するXbox発のAuto HDR技術を手に入れたが、これもバグだらけである。HDRゲームをプレイした後に色がくすんだ場合、Windowsキー+Alt+BのショートカットでHDRをオフ/オンに切り替えて修正することがよくある。
ゲームバーもあまり活用されていない。多くのゲーマーはSteamのオーバーレイを好むからだ。そもそもゲームバーに独立したウィジェットシステムがあることをご存じだろうか?タスクバーウィジェットと同様、ゲームバーウィジェットを作成するアプリ開発者はほとんどいない。
9. 複数デスクトップの利用は依然不便
開いているアプリと仮想デスクトップを表示するタスクビュー機能は、Windows 11の中核機能であり続けている。タスクバーにはアイコンがあり、Windowsキー+Tabのショートカットで呼び出せる。しかし、筆者が話すほとんどのWindows 11ユーザーは、タスクビューを使わないどころか、仮想デスクトップすら活用していない。
筆者はタスクビューのコンセプト自体は気に入っているが、インターフェースが不便で時間がかかる。例えば、PowerToys Workspacesを使って特定の仮想デスクトップで特定のアプリを自動起動しない限り、再起動後にウィンドウ構成を保存する有効な手段がない。望み通りの環境を整えるために、デスクトップ間でアプリを何度もドラッグして多くの時間を費やしているのが現状だ。
さらに、Windowsにはウィンドウを別の仮想デスクトップへ移動する便利なキーボードショートカットがない。そんなホットキーひとつでタスクビューは一夜にして使い勝手が変わる可能性があるのに、マイクロソフトはWindows 10時代からこの機能を更新していない。
10. Copilot+ PCの機能は大したことがない
2024年のCopilot+ PC発表時に、マイクロソフトはNPU駆動のAI機能群がPCの使い方を変革すると約束した。その筆頭がRecallで、定期的に画面のスクリーンショットを撮影し、AIで検索できるようにするものだ。Recallは大きな物議を醸し、マイクロソフトがプライバシー懸念への対応に追われる中、何度も延期された。筆者にとって最大の問題は、そもそもうまく機能しないことだ。役立つと感じた人に会ったこともない。5秒ごとにスクリーンショットを撮る仕組みのため、PC上で目にしたすべてを記憶しているわけではない。例えば、メールを素早く流し読みすると、Recallはそれをキャプチャできない。
全体的に、筆者はCopilot+ PCのAI機能に極めて不満を感じている。発売当初からCopilot+ PC機能搭載のSurfaceラップトップを使っているが、それらのツールを使うことはほとんどない。セマンティック検索などの新機能には有望なものもあるが、マイクロソフトが約束したような「必須のアップグレード」と感じられるものはひとつもない。
Windows 11により良い未来はあるのか?
マイクロソフトのWindows担当社長パヴァン・ダヴァルリ氏は最近、同社がWindowsの課題解決に注力すると述べ、「システムパフォーマンス、信頼性、そしてWindowsの全体的な体験の向上」に取り組むとしている。有望に聞こえる。筆者としては、Windows 11を「エージェント型OS」へと変革するといった新機能の誇大宣伝に費やす時間を減らし、コア機能や忘れ去られた機能の磨き込みにもっとリソースを割いてほしい。世界で最も人気のあるデスクトップOSとして、まず人々のために最適に機能し、AIエージェントはその遥か先にあるべきなのだ。
エキスパートについて

クリス・ホフマン(Chris Hoffman)
シニアライター(ソフトウェア担当)
経歴
テクノロジー分野での執筆歴は15年以上、本格的にPCを使い始めてからはその2倍以上の年月になる。PCMagのソフトウェアチームの一員として、Windowsの取材を軸に、その他の主要なデスクトップOSやシステムアプリについても執筆している(Windows 3.1の発売当時から使用し、以降のすべてのバージョンを継続的に追いかけてきた)。
PCMagに参加する前は、2011年からHow-To Geekで執筆し、記事は累計10億ページビューを超えた。その後、4年半にわたり同サイトの編集長を務めた。Computerworld、Fast Company、PCWorld、Reader's Digest、The New York Timesなど多数の媒体に、AIからPCハードウェア、Windowsまで幅広いテーマで寄稿している。また、Thurrott.comとの提携により、Windows特化型のダイレクトニュースレター「Windows Intelligence」と「The Windows ReadMe」を創刊・運営している。
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