ソフトウェア・ディファインド・ペリメーター(SDP)とは?仕組みとVPNとの違いを徹底解説
インターネットは、決して安全な場所とは言えません。サイバー犯罪者による絶え間ない脅威により、個人も企業もデータ盗難のリスクに常にさらされています。そんな中、大切なデータを守るために活用できるネットワークセキュリティ技術が数多く登場しました。そのひとつが「ソフトウェア・ディファインド・ペリメーター(SDP:Software-Defined Perimeter)」です。
では、SDPとは具体的にどのような技術なのでしょうか。誰が利用できるのか、そしてVPN(仮想プライベートネットワーク)とは何が違うのか、詳しく見ていきましょう。
ソフトウェア・ディファインド・ペリメーターとは?
SDPは「ブラッククラウド」とも呼ばれており、多くの従業員を抱える大企業などの組織で広く採用されています。
サイバー犯罪者は、こうした企業のネットワークへ侵入し、大量の機密データを盗み出したり、ランサムウェアに感染させて身代金を要求したり、主要サーバーを妨害・停止させたりしようと企てます。こうした攻撃は頻繁に発生しており、被害が深刻化するケースも少なくありません。
そのため企業は、ネットワークを保護して部外者の侵入を防ぐためのさまざまな製品を導入しています。SDPはそうした状況において特に人気の高い選択肢です。では、実際にどのように機能するのでしょうか。
マイクロセグメンテーションとゼロトラスト
SDPは、ネットワークアクセスを「マイクロセグメンテーション(細分化)」することで機能します。つまり、特定の人物だけがネットワークにアクセスでき、それぞれのユーザーには組織内での役割に応じた異なるアクセスレベルが付与されます。
SDPは「ゼロトラスト」という考え方に基づくセキュリティアーキテクチャを提供し、ゼロトラストネットワークの実現を可能にします。これは一体どういう意味なのでしょうか。
ネットワークの分野における「ゼロトラスト」とは、「デフォルトではどのユーザーも信用しない」という前提で動作するフレームワークや製品を指します。つまり、本人確認(認証)を経ない限り、誰も広範なネットワークにはアクセスできないということです。認証が常に求められる環境では、不正な第三者が何かにアクセスすることは極めて困難になります。
各ユーザーには基本的に、業務上必要な範囲のコンテンツやデータへのアクセスのみが許可されます。
このようなアイデンティティ中心のフレームワークは、犯罪者が日々新しい侵入・窃取手法を開発している、進化し続けるサイバー攻撃への対応にも大きく役立ちます。
なぜ「ブラッククラウド」と呼ばれるのか
簡単にまとめると、SDPはユーザーごとに個別のアクセス境界(ペリメーター)を作り出す技術です。
さらに、多くの従来型セキュリティフレームワークのようにデータセンターに集中配置されるのではなく、クラウド技術を通じて提供される点も特徴です。これによりSDPは、拡大し続ける従業員数やモバイルデバイスの増加にも柔軟に対応でき、このフレームワークを採用したネットワークにはどこからでもアクセスできます。
では、なぜSDPは「ブラッククラウド」とも呼ばれるのでしょうか。SDPを使用すると、権限を持たない人々からは対象のネットワークそのものが見えなくなります。サイバー犯罪者は、ネットワークが視認できなければ脆弱性や抜け穴を特定できず、ハッキングは格段に難しくなります。まさに、コンテンツを黒い雲の後ろに隠すようなイメージです。
ただし、「SDPの代わりにVPNで十分だ」と考える人も少なくありません。実際には、そう単純ではないことが多いのです。ここからは、SDPとVPNの違いを見ていきましょう。
SDPとVPNの違いは何?
近年、VPNについて耳にする機会は非常に多いでしょう。地理的制限(ジオブロック)の回避、IPアドレスの非表示、インターネット通信の暗号化などが可能なことから、現在では爆発的な人気を誇ります。これらの機能により、サイバー犯罪者があなたのデバイスをハッキングして個人情報を盗むことは、はるかに難しくなります。
SDPとVPNはどちらもサイバーセキュリティを重視した技術ですが、まったく同じものではありません。VPNは接続したすべてのユーザーにネットワークへのアクセスを許可する一方、SDPは認証を通過したユーザーのみにアクセスを許可し、しかもそのアクセス権はユーザーごとに異なります。
また、SDPはネットワーク接続を共有せず、認可されたユーザー(およびそのデバイス)とサーバーの間に、個別のネットワーク接続を確立します。
SDPはフレームワーク内部で安全な接続を確立するためにVPNを利用することもありますが、一般的にはSDPの方が安全性は高くなります。広範なネットワーク全体へのアクセスをより困難にできるからです。
加えて、SDPは管理が容易な場合が多く、マイクロセグメンテーションの採用により、仮にサイバー犯罪者が他人のIDで侵入できたとしても、閲覧できるデータやコンテンツはごく限られた範囲にとどまる可能性が高いというメリットもあります。
したがって、組織レベルでの導入を考えるなら、通常はSDPの方が優れた選択肢となります。もちろん、両方を組み合わせて導入するのも効果的な方法です。現在市場には、世界中の数千の顧客に利用されているPerimeter81やAppgateなど、多彩なSDP製品が存在します。一方で、安全にウェブを閲覧したい個人ユーザーにとっては、VPNも依然として十分有効な選択肢と言えるでしょう。
SDPはサイバー犯罪者を締め出し、ネットワークの安全を守る
SDPという言葉を初めて耳にした方もいるかもしれませんが、今や世界中で、ネットワークを安全に保ちサイバー犯罪者の手の届かないところに置くために広く活用されています。もしかすると、あなたの職場でもすでに使われているかもしれません。
場所を選ばず利用できるゼロトラストフレームワークを備えたSDPは、大規模な組織がサイバー脅威に直面しながらも、安全かつ安定的に業務を続けるための強力な武器となるのです。
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