本当に分散型インターネットは実現できるのか?ブロックチェーンが変えるウェブの未来
インターネットは史上最大級の分散型システムだ――少なくとも、そう言われていた時代がありました。
しかし今日、インターネットは巨大テック企業、インターネットサービスプロバイダ(ISP)、大企業に支配されています。彼らは門番となり、インターネットを世界的な監視ツールへと変えてしまったのです。
近年のブロックチェーンの成功により、「分散化」が再び注目を集めています。果たして真に分散化されたインターネットは可能なのでしょうか? 分散化とは何を意味し、それは私たちの安全をどう守ってくれるのでしょうか?
ブロックチェーンとインターネットの分散化
インターネットは、相互に接続されたコンピュータの集合体であり、所有者のいないシステムです。「インターネット」を所有する単一の企業は存在せず、それこそが過去20年間の爆発的な成長を支えてきました。独占的な仕組みに縛られていないからこそ、誰もがネットに接続してコンテンツを発信できるのです。
少なくとも、インターネットの初期にはそうでした。
Mozillaの「Internet Health Report 2018」によると、Googleはあらゆるデバイスを合わせた全世界の検索の90%を占めています。GoogleのAndroidスマートフォンやChromeブラウザも、世界で最も人気のある製品の一つです。
Googleの世界的な支配力により、多くの人にとってGoogleこそがインターネットそのものとなっています。ユーザーはGoogleのサービスを利用し、Google製デバイスを通じて、Googleのクラウドサーバーへアクセスしているのです。
Googleがある分野で支配的である一方、別の分野は同じく強大な企業が握っています。Amazon Web Servicesはクラウドストレージ市場の34%を占め、Facebook(現Meta)はFacebook、Instagram、WhatsAppを合わせて40億人以上のユーザーを持つ最大のソーシャルネットワーキング企業です。
Amazonのビジネス慣行、Facebookの絶え間ないプライバシー問題、そしてGoogleの軍事契約への参入。こうした動きを受けて、各社へのユーザーの反発は強まり続けています。
2017年、ビットコインが一般の人々の意識に飛び込んできました。その急騰と、避けられなかった暴落は、基盤技術であるブロックチェーンへの関心を一気に高めることになりました。
ビットコインの創造者サトシ・ナカモトが提唱したブロックチェーンとは、分散型の公開台帳です。ビットコインのすべての取引記録はブロックチェーンに書き込まれ、ネットワーク全体で共有されます。特定の組織がブロックチェーンを支配することはできず、分散型アプリ(dApps)のようなイノベーションも生まれます。
こうした流れの中で、活動家や開発者たちは、インターネットのコントロールを集団の手に取り戻す革新的な方法を提案し始めました。これは「再分散化(リデセントラライズ)運動」と呼ばれています。
監視の分散化へ
ドメインネームシステム(DNS)は、インターネットの電話帳のような存在で、数値のIPアドレスを覚えやすいURLへと変換します。しかし、この仕組みは中央集権的であるため、監視や検閲に対して脆弱です。
世界最大級のDNSサーバーのひとつはGoogleが運営しており、ISPもまた多数のDNSサーバーを維持しています。ブラウザにウェブサイトのURLを入力するたびに、そのリクエストはDNSサーバーへ送信され、ISPやGoogleはあなたのIPアドレスと訪問先サイトのログを保存することになります。
DNSサーバーの運営者が「このサイトは見せるべきではない」と判断すれば、その場でアクセスを遮断できます。ごく少数の企業が運営するこの中央集権的なシステムは、政府や企業による検閲に悪用されうるのです。
中国の「グレートファイアウォール」は、まさにDNS検閲を利用して、国民がアクセスできるサイトを統制しています。
Namecoinは、ブロックチェーン上にデータを保存して代替DNSを実現する分散型暗号通貨です。一般的な.comや.netの代わりに.bitというトップレベルドメインを使用し、アドレス情報はブロックチェーンに格納されるため、誰もが同一のアドレス一覧へアクセスできます。
DNSポイズニング――DNS内のURLに紐づくIPアドレスを書き換える行為――は、犯罪者(悪意あるサイトへの誘導)にも、政府(特定サイトへのアクセス遮断)にもよく使われる手法です。
ところがブロックチェーンは公開かつ改ざん不可能であるため、DNSポイズニングは成立しません。さらに名前解決が自分のコンピュータ上でローカルに行われるため、DNSリクエストのネットワークログが残らず、プライバシー面の懸念も解消されます。
インターネットのプライバシーを取り戻す
ブロックチェーンは現在、最も人気のある分散化手法のひとつですが、唯一の方法ではありません。
SNSはプライバシーにとって最大の脅威のひとつと見なされがちです。それでも人々が簡単に手放せないのは、オンラインでのつながりが、かつてなく便利だからでしょう。幸い、プライバシーに配慮した分散型の代替サービスが登場しつつあります。
FacebookとTwitterの代替として最もよく知られているのが、それぞれDiasporaとMastodonです。
Mastodonは「Fediverse(フェディバース)」と呼ばれる連合型の分散方式を採用しています。世界中の多くの運営者がMastodonサーバーを立ち上げており(誰でもホスト可能)、アカウントを持っていれば、Fediverse上のどこにいるユーザーとも交流できます。
Diasporaもまた、Friendicaソーシャルネットワークとの連合型分散方式を採用しています。どちらのネットワークもプライバシーを重視し、「あなたのデータはあなただけのもの」という姿勢を明確に打ち出しています。
オープンソース開発者への正当な報酬
オープンソースプロジェクトは、誰でもコードを閲覧し貢献できるため、最も安全性の高いソフトウェアと見なされています。しかし、オープンソース開発の大部分はボランティアによるものです。フルタイムでのコミットが難しい状況では、継続性や品質を保つのは容易ではありません。
Mozillaが支援する新プロジェクト「BugMark」は、いわば「バグの先物市場」です。その目的は、オープンソース開発に金銭的な報酬を提供し、作業の部分的な完了も評価される仕組みを作ることです。
先物契約とは、あらかじめ定めた価格で、指定した期日に何かを売買することに合意する法的契約です。金融の世界では、為替取引において特定のレートを固定しリスクを最小化するために広く使われています。BugMarkは、イーサリアムベースの先物契約をソフトウェアの課題に応用します。
これにより2つの市場が生まれます。ひとつは資金提供者と開発者の間の市場、もうひとつは先物契約そのものを売買する市場です。
契約を売買できる市場が存在することで、開発者は作業の一部を完了した時点で契約を売却するという選択もできます。開発者は報酬を得られ、作業も無駄になりません。BugMarkの狙いは、オープンソース開発を持続可能なものにすることです。
インターネットの基盤の多くはオープンソースプロジェクトに支えられているため、それらを常に最新かつ安全な状態に保つことは極めて重要です。BugMarkはまだ開発の初期段階ですが、いつの日か、私たち全員をより安全にするエコシステムを支える存在になるかもしれません。
再分散化の準備はできているか?
今日のインターネットはかつてなく使いやすく、無料で利用できるサービスも豊富になりました。しかしそれには代償がありました。私たちはプライバシーを利便性と引き換えにし、オンラインの自由を簡便さと引き換えにしたのです。
ビットコインが今後も存続するかどうかはまだ分かりません。しかし、その基盤となるブロックチェーン技術は、分散化を核とするWeb 3.0を定義する存在になる可能性を秘めています。果たしてそれは、テック巨人に挑むのに十分な力となるのでしょうか? 答えは、時間だけが知っています。
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