C++の関数から複数の値を返す方法【ポインタ渡しと参照渡し】
C言語やC++では、関数から複数の値を直接返すことはできません。return文で返せる値は基本的に1つだけだからです。しかし、「ポインタ渡し(call by address)」や「参照渡し(call by reference)」といったテクニックを使えば、実質的に複数の値を呼び出し元に返すことが可能です。
この記事では、1つの関数から2つの数値を割り算した「商」と「余り」を同時に取得する例を通して、その具体的な方法を解説します。
方法1:ポインタ渡し(Call By Address)
ポインタ渡しでは、結果を格納するための変数を呼び出し側で用意し、その変数のアドレスを関数に渡します。関数内ではポインタを受け取り、その指す先(*演算子による間接参照)に計算結果を書き込みます。
サンプルコード
#include<iostream>
using namespace std;
void div(int a, int b, int *quotient, int *remainder) {
*quotient = a / b;
*remainder = a % b;
}
int main() {
int a = 76, b = 10;
int q, r;
div(a, b, &q, &r);
cout << "商は: " << q << "\n余りは: " << r << "\n";
return 0;
}実行結果
商は: 7 余りは: 6
この例では、div関数がint*型の引数を2つ受け取っています。呼び出し側では変数qとrのアドレスを&演算子で渡すことで、関数内での書き換えがそのまま呼び出し元の変数に反映されます。
方法2:参照渡し(Call By Reference)
C++では、ポインタよりも安全で直感的な「参照渡し」を使うこともできます。参照渡しでは、関数の引数に&を付けた参照型を使用します。呼び出し側は通常の変数をそのまま渡すだけでよく、アドレス演算子は不要です。
サンプルコード
#include<iostream>
using namespace std;
void div(int a, int b, int "ient, int &remainder) {
quotient = a / b;
remainder = a % b;
}
int main() {
int a = 76, b = 10;
int q, r;
div(a, b, q, r);
cout << "商は: " << q << "\n余りは: " << r << "\n";
return 0;
}実行結果
商は: 7 余りは: 6
参照渡しでは、関数内で引数に対して行った操作が、そのまま呼び出し元の変数qとrに反映されます。ポインタのように*や&を意識する必要がなく、コードが読みやすくなるのがメリットです。
補足:C++11以降ならタプルも使える
C++11以降では、std::tupleとstd::make_tuple、あるいは構造化束縛(C++17)を利用して、複数の値を戻り値として直接返すこともできます。
#include<iostream>
#include<tuple>
using namespace std;
tuple<int, int> div(int a, int b) {
return make_tuple(a / b, a % b);
}
int main() {
auto [q, r] = div(76, 10); // C++17の構造化束縛
cout << "商は: " << q << "\n余りは: " << r << "\n";
return 0;
}まとめ
- C/C++では関数から複数の値を直接返せないが、ポインタ渡しや参照渡しで実現できる
- ポインタ渡しは変数のアドレスを渡し、関数内で間接参照して値を書き込む
- 参照渡しはC++特有の機能で、よりシンプルで安全に記述できる
- C++11以降では
std::tupleなどを使ったモダンな方法も選択肢になる
用途やコーディング規約に応じて、これらの手法を使い分けるとよいでしょう。
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