C++で素数Pの倍数となる等差数列の最初の項を求める方法
概要
初項 A と公差 d からなる等差数列(AP)と、ある素数 P が与えられたとき、この等差数列の中で素数 P の倍数となる最初の項の位置(インデックス)を求めるのが本記事の目的です。
入力
A = 3, d = 4, P = 5
出力
3
説明
この等差数列の第4項が、素数 5 の倍数になっています。
- 第1項 = 3
- 第2項 = 3 + 4 = 7
- 第3項 = 3 + 2×4 = 11
- 第4項 = 3 + 3×4 = 15
15 = 5 × 3 であるため、第4項(インデックス 3)が最初の P の倍数となります。
解法の考え方
N番目の項を AN とすると、次のように表せます。
AN = A + (N−1)×d
AN が P の倍数であるという条件は、次の式で書けます。
A + (N−1)×d = l×P(ここで l は定数)
ここで、A を A % P、d を d % P に置き換えると、(N−1)×d = l×P − A となります。
右辺に P を加算・減算すると、
(N−1)×d = P(l−1) + (P − A)
このとき、A は P より小さい値(A % P)に置き換えられているため、P − A は非負の数になります。最後に両辺の mod を取ると、
((N−1)×d) % P = (P − A) % P、すなわち ((N−1)×d) % P = P − A
ここで、(d×Y) % P = 1 を満たす P 未満の Y を考えます。この Y は、P を法とする d のモジュラ逆数(逆元)と呼ばれます。モジュラ逆数はフェルマーの小定理より、dP−2 % P として高速に計算できます。
したがって、求める答え N は次の式で表されます。
N = ((Y × (P − A)) % P) + 1
実装例(C++)
#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;
// (x1^y1)%p1 を O(log y1) で計算する反復関数
int power(int x1, int y1, int p1){
// 結果の初期化
int res1 = 1;
// x1 が p 以上の場合は更新する
x1 = x1 % p1;
while (y1 > 0) {
// y1 が奇数の場合、x1 を結果に乗算する
if (y1 & 1)
res1 = (res1 * x1) % p1;
// この時点で y1 は必ず偶数
y1 = y1 >> 1; // y1 = y1/2
x1 = (x1 * x1) % p1;
}
return res1;
}
// P の倍数となる最初の項の位置を求める関数
int NearestElement1(int A, int d, int P){
// 基本条件
if (A == 0)
return 0;
else if (d == 0)
return -1;
else {
int Y = power(d, P - 2, P);
return (Y * (P - A)) % P;
}
}
// ドライバーコード
int main(){
int A = 3, d = 4, P = 5;
// A と d の両方を mod する
A %= P;
d %= P;
// 関数呼び出し
cout << NearestElement1(A, d, P);
return 0;
}
出力
3
計算量
モジュラ冪乗の計算に O(log P) かかるため、全体の時間計算量は O(log P) となります。これは項を順番に1つずつ確認する O(P) の線形探索よりもはるかに効率的です。
まとめ
等差数列と素数が与えられた場合、モジュラ逆数を利用することで、P の倍数となる最初の項の位置を対数時間で求められます。初項がすでに 0 の場合は 0 を、公差が 0 の場合は解が存在しないため -1 を返すという境界条件の処理も実装のポイントです。
-
C++で素数を見つける最速のアルゴリズムとは?エラトステネスの篩を徹底解説
nがおよそ1000万以下の規模である場合、n未満の素数を高速に求める方法として、最も効率的なアルゴリズムのひとつが「エラトステネスの篩(ふるい)」です。この手法は計算量がO(n log log n)と非常に効率的で、競技プログラミングから実務まで幅広く活用されています。エラトステネスの篩とはエラトステネスの篩は、古代ギリシャの数学者エラトステネスによって考案された古典的な素数列挙アルゴリズムです。2からnまでの整数を順に走査し、それぞれの素数の倍数を順次「ふるい落とす」ことで、最終的に残った数だけを素数として抽出します。サンプルプログラム以下は、エラトステネスの篩をC++で実装したプログラムの
-
Pythonで等差数列(AP)の中から素数Pの倍数となる最初の項を効率的に求める方法
初項 A と公差 D を持つ等差数列(AP)と、素数 P が与えられたとき、その等差数列の中で初めて素数 P の倍数になる項の位置(何番目の項か)を求める問題を考えてみましょう。問題の例たとえば、A = 3、D = 4、P = 5 という入力の場合、答えは 3 になります。これは、この等差数列の第4項(インデックス3)が素数 5 の倍数であるためです。第1項 = 3第2項 = 3 + 4 = 7第3項 = 3 + 2×4 = 11第4項 = 3 + 3×4 = 15(5 の倍数)解法のアプローチk 番目の項は A + k×D で表されます。これが P の倍数になる条件は、次の合同式で表せます。