C++で2点間の最短距離を求めるプログラム ― 平面走査による効率的な解法
問題の概要
[x, y] 形式のユークリッド座標を要素とするリストが与えられます。この中から任意の2点を選んだときの2乗距離 (x1 - x2)2 + (y1 - y2)2 の最小値を求めるのが本記事の目的です。
例として、入力が coordinates = {{1, 2}, {1, 4}, {3, 5}} の場合を考えてみましょう。各ペアの2乗距離は次のようになります。
- (1, 2) と (1, 4):(1−1)2 + (2−4)2 = 4
- (1, 2) と (3, 5):(1−3)2 + (2−5)2 = 13
- (1, 4) と (3, 5):(1−3)2 + (4−5)2 = 5
したがって、この場合の出力は 4 となります。
解法のアプローチ(平面走査)
この問題は、平面走査(スイープライン)の考え方を用いることで効率的に解けます。点を x 座標順にソートして処理しながら、「現在の注目点から距離的に意味のある範囲内にある点だけ」を std::map で管理するのがポイントです。具体的な手順は以下の通りです。
- y座標をキー、x座標を値とするマップ ytorightmostx を用意する。
- 座標配列 coordinates をソートする。
- 答えを格納する変数 ret を無限大で初期化する。
- 各点 p に対して以下を繰り返す。
- it := ytorightmostx.lower_bound(p[1] − √ret)。つまり、p の y 座標から現在の最小距離の平方根を引いた値以上のキーのうち、最初に現れるものを取得する。
- it がマップの末尾でない限り、次の処理を繰り返す。
- yd := it のキー(y座標) − p[1]
- yd > 0 かつ yd × yd ≥ ret になった場合は、これ以上 y 方向へ調べても無意味なためループを抜ける。
- nxt := it の次の要素へのイテレータ
- ret := min(ret, dist(p[0], p[1], it の値, it のキー))
- xd := it の値(x座標) − p[0]
- xd × xd ≥ ret の場合、そのエントリは今後の計算に二度と使えないため ytorightmostx から削除する。
- it := nxt として処理を続行する。
- ytorightmostx[p[1]] := p[0] として、現在の点をマップに登録する。
- 最終的な ret を返す。
ここで使用する距離計算関数 dist(xl, yl, xr, yr) は、xd := xl − xr、yd := yl − yr とおき、xd × xd + yd × yd を返すシンプルなものです。
この手法では各点の登録が1回、削除も高々1回しか発生しないため、全体の計算量は O(n log n) 程度に抑えられます。全ペアを総当たりで調べる O(n2) の素朴な方法と比べ、点数が多い場合でも高速に動作するのが大きな利点です。
C++での実装例
それでは、実際のC++コードを見て理解を深めましょう。
#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;
long long dist(long long xl, long long yl, long long xr, long long yr) {
long long xd = xl - xr;
long long yd = yl - yr;
return xd * xd + yd * yd;
}
int solve(vector<vector<int>>& coordinates) {
map<long long, long long> ytorightmostx;
sort(coordinates.begin(), coordinates.end());
long long ret = 1e18;
for (auto& p : coordinates) {
auto it = ytorightmostx.lower_bound(p[1] - sqrt(ret));
while (it != ytorightmostx.end()) {
long long yd = it->first - p[1];
if (yd > 0 && yd * yd >= ret) {
break;
}
auto nxt = it;
nxt++;
ret = min(ret, dist(p[0], p[1], it->second, it->first));
long long xd = (it->second - p[0]);
if (xd * xd >= ret) {
ytorightmostx.erase(it);
}
it = nxt;
}
ytorightmostx[p[1]] = p[0];
}
return ret;
}
int main(){
vector<vector<int>> coord = {{1, 2},{1, 4},{3, 5}};
cout << solve(coord) << endl;
return 0;
}
入力
{{1, 2},{1, 4},{3, 5}}
出力
4
まとめ
本記事では、座標の集合から最も近い2点間の2乗距離を求める問題を、平面走査と std::map を組み合わせた効率的なアルゴリズムで解く方法を紹介しました。探索範囲を現在の最小距離に基づいて絞り込み、不要になった点を随時削除することで、O(n log n) の計算量を実現しています。同様の考え方は「最近接点対問題」全般に応用できるので、ぜひ参考にしてください。
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