【C++】指定範囲内のBSTキーをO(1)空間で出力する方法 ― モリス走査の活用
問題の概要
この問題では、2つの値 k1 と k2(k1 < k2)、および二分探索木(BST)のルートが与えられます。目的は、指定された範囲内に存在するBSTのキーを出力するプログラムをC++で作成することです。
問題の説明: 木に含まれるすべてのキーのうち、k1 以上 k2 以下の値を持つものを昇順に出力します。
入出力例
入力: k1 = 4、k2 = 12
出力: 6, 7, 9
解決アプローチ
この種の問題は、一般的には中順走査(inorder traversal)を使えば簡単に解くことができます。しかし、再帰呼び出しやスタック・キューを利用する通常の実装では、空間計算量が O(n) かかってしまいます。今回は O(1) の空間計算量で解くことが求められているため、特殊な走査手法を採用します。
そこで使用するのがモリス走査(Morris Traversal)です。この手法はスレッド化二分木(threaded binary tree)の考え方に基づいており、スタックやキューを一切必要とせず、未使用の NULL ポインタを一時的なリンク情報の保存先として活用します。これにより、追加の記憶領域を O(1) に抑えることができます。
モリス走査の流れ
- 現在ノードに左の子がない場合 → キーが範囲内であれば出力し、右の子へ移動します。
- 左の子が存在する場合 → 左部分木の中で最も右にあるノード(中順における直前のノード)を探します。
・その右ポインタが NULL の場合:現在ノードへのスレッド(戻り用リンク)を張り、左へ移動します。
・すでに現在ノードを指している場合:スレッドを解除して木を元の構造に復元し、現在ノードのキーを出力して右へ移動します。
C++による実装例
以下は、モリス走査を用いて指定範囲内のキーを出力するプログラムです。
#include <iostream>
using namespace std;
struct node {
int data;
struct node *left, *right;
};
node* insertNode(int data) {
node* temp = new node;
temp->data = data;
temp->right = temp->left = NULL;
return temp;
}
void RangeTraversal(node* root, int k1, int k2) {
if (!root)
return;
node* nodeTraversal = root;
while (nodeTraversal) {
if (nodeTraversal->left == NULL) {
if (nodeTraversal->data <= k2 && nodeTraversal->data >= k1)
cout << nodeTraversal->data << " ";
nodeTraversal = nodeTraversal->right;
}
else {
node* prevNode = nodeTraversal->left;
while (prevNode->right != NULL && prevNode->right != nodeTraversal)
prevNode = prevNode->right;
if (prevNode->right == NULL) {
prevNode->right = nodeTraversal;
nodeTraversal = nodeTraversal->left;
}
else {
prevNode->right = NULL;
if (nodeTraversal->data <= k2 && nodeTraversal->data >= k1)
cout << nodeTraversal->data << " ";
nodeTraversal = nodeTraversal->right;
}
}
}
}
int main() {
node* root = insertNode(6);
root->left = insertNode(3);
root->right = insertNode(2);
root->left->left = insertNode(1);
root->left->right = insertNode(7);
root->right->right = insertNode(9);
cout << "All BST keys in the given range are \t";
RangeTraversal(root, 4, 10);
return 0;
}
実行結果
All BST keys in the given range are 7 6 9
このように、モリス走査を利用すれば、スタックや再帰といった補助データ構造に頼ることなく、指定範囲内のBSTキーを効率的に出力できます。時間計算量は O(n)、追加の空間計算量は O(1) となるため、メモリ制約が厳しい場面で特に有効な手法です。
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