Be My EyesとSeeing AI徹底比較:視覚障害のある方の毎日を支える2大アクセシビリティアプリ
視覚情報が中心となる現代社会では、視力に制約のある方や全盲の方の存在をつい忘れがちです。数十年前、視覚障害のある方々は、道路を渡るときや買い物のとき、白杖や盲導犬、そして親切な通行人の助けに頼るしかありませんでした。こうした方法は今でも有効ですが、テクノロジーの進歩により、より高度で便利な選択肢が登場しています。
視覚障害者向けテクノロジーの代表格が、「Be My Eyes」と「Seeing AI」という2つのアプリです。どちらも多彩な機能とメリットを備えています。
Be My Eyesとは
Be My Eyesは、目の見えるボランティアとライブビデオ通話をつなぐことで、全盲やロービジョン(低視力)の方に「もう一つの目」を届けるアプリです。全世界で400万人以上のボランティアが登録しており、180の言語で利用できます。
Be My Eyesの誕生秘話
Be My Eyesを創設したのは、自身も視覚障害を持つデンマーク人、ハンス・ヨルゲン・ウィバーグ氏です。盲目の友人から「困ったときは、友人や家族とビデオ通話して助けてもらっている」という話を聞いたことが、開発のきっかけとなりました。
アプリは2015年1月にiOS版として公開され、わずか24時間で1万人以上のユーザーを獲得。Android版も2017年10月に登場し、高い評価を受けました。Be My Eyesは2017年のGoogle Play Awardsで「Most Innovative」「Best Daily Helper」「Best Hidden Gem」の3部門を受賞し、さらに2018年には「Best Accessibility」賞にも輝いています。
小さな親切の積み重ねが世界をつなぐ――それがこのアプリの理念です。日常のちょっとした作業を支援することで、視覚障害のある方に「光」を届けることを目指しています。
視覚障害者はどう使える?
全盲または低視力の方は、アプリをダウンロードして「ブラインド/ロービジョンユーザー」として登録するだけで、Be My Eyesのネットワークに参加できます。登録すると、いつでも助けを提供する準備ができた世界中のボランティアコミュニティとつながれます。通話回数は無制限。必要なのはスマートフォンと安定したインターネット環境だけです。
支援を依頼すると、言語設定や所在地に基づいてマッチングされたボランティアに通知が送られます。最初に応答したボランティアと自動的に接続される仕組みで、つながるまでの時間は平均30秒ほどと非常にスピーディーです。
ボランティア側には、スマートフォンの背面カメラが捉えたライブ映像が届きます。音声通話で会話しながら、「財布が見つからない」「道を渡りたい」といったさまざまな場面でサポートを受けられます。
さらに2018年2月には「Specialized Help(専門家サポート)」機能が追加されました。これは企業の実際の担当者と直接つながり、より専門的・技術的な用件に対応してもらえる機能です。対応企業とその専門分野の一覧から選択でき、接続方法は通常のサポート依頼と同じです。
ボランティアはどう参加する?
視覚障害のある方を支援したいボランティア志望の方は、アプリをダウンロードして「ボランティア」として登録するだけです。氏名、メールアドレス、パスワードを入力してアカウントを作成し、居住地を選び、支援できる言語を設定します。あとは、支援の呼び出しが鳴るのを待つだけです。
Be My Eyesでできること
室内での活用例:
- 失くした鍵を探す
- 洋服の色味を合わせてコーディネートする
- 食品や薬のラベル、消費期限を読んでもらう
- 部屋の電気が点いているか消えているか確認する
- 電気メーターを読み取ってもらう
- JAWSやスクリーンリーダーなどがないPC環境でのトラブル解決
- 棚に並ぶ複数の商品を区別する
外出先での活用例:
- 街を歩きながら周囲の様子を説明してもらう
- 店の入り口やレストランの空席を見つける
- 公共交通機関の時刻表を確認する
- 食料品の買い物やフリーマーケットでの品定めを手伝ってもらう
Seeing AIとは
「知らない人と話すのはちょっと……」という方には、Seeing AIがぴったりです。マイクロソフトが提供するこの使いやすいiOSアプリは、まるで自分の目のように、周囲の世界を多言語で音声ナレーションしてくれます。対応言語は英語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、オランダ語、日本語など多数。
Seeing AIの誕生秘話
Seeing AIは2017年7月、マイクロソフトからリリースされました。視覚障害のある方がスマートフォンひとつで周囲の世界を把握できるようにし、自立した生活を後押しすることを目指しています。
世界中で高い評価を受け、数々のアクセシビリティ関連の賞を受賞。中でも2018年に米国盲人財団(AFB)から授与された権威ある「ヘレン・ケラー業績賞」の受賞は特筆されます。
Seeing AIの仕組み
Seeing AIはスマートフォンの背面カメラを使って周囲を認識し、音声で読み上げます。「普段は見えないもの」を「聞こえる体験」に変換してくれるのです。物体や文字、さらには人物までも識別でき、視覚障害によって難しかったさまざまな作業をこなせるようになります。
Seeing AIでできること
- カメラに映った色を音声で説明してくれる
- 現金での支払い時に紙幣や通貨を判別できる
- 印刷文書を撮影すると、テキストを認識して自動的に読み上げる
- 一般的なスキャナーでは読み取りにくい手書き文字もスキャンして読み上げられる
- 周囲の明るさを音のトーンで伝えてくれる
- 友人の顔を認識したり、人の表情を説明したりできる
- ビープ音でバーコードの位置を案内し、商品を特定できる
- 街中やショッピングモールを歩きながら、周囲の状況を説明してくれる
なぜBe My EyesとSeeing AIなのか
視覚障害があるからといって、常に家族や友人に頼らなければならないわけではありません。また、身の回りの世界が持つ色彩や魅力、便利な選択肢を諦める必要もありません。
日常の作業には人の温かみあるサポートを、道案内にはAIの正確なガイドを――Be My EyesとSeeing AIのようなテクノロジーの進歩が、あなたの人生に新たな光をもたらし、かつては想像もできなかった自立へと導いてくれるでしょう。
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