Google、車の音声操作の長年の課題を解決——Gemini搭載でドライバー体験が大きく向上
自動車業界では長年、「静的な技術」という考え方でクルマが作られてきました。つまり、車両は組立工場を出た瞬間から、ハードウェアもソフトウェアもその場で固定されてしまうのです。リアルタイムのアップデートで性能が向上する(ときには迷惑なゲームまで勝手にダウンロードされる)スマートフォンとは違い、これまでの車は納車された日と同じ状態のまま過ごしてきました。
とはいえ、近年は自動車メーカーによるOTA(オーバーザエア)アップデートの活用が進んでいます。それでも、発売から数年経った車の主要なユーザーインターフェースが根本的に刷新されるのは、まだ珍しいことでした。しかし、それがついに現実になります。
Googleアシスタントは「Google built-in」搭載車における標準的なコパイロットでしたが、ここに大きな転換点が訪れます。Googleは2026年4月30日から、米国の新車・既存車両を対象にGeminiの提供をソフトウェアアップデートとして開始します。これは単なる名前の変更(アシスタントからGeminiへ)ではなく、機能そのものの進化です。
Geminiの統合により、車との対話はより自然で会話的なものになります。コマンドベースの音声システムに対して多くのオーナーが抱えてきた長年の不満に、ついに答える形です。
「もう一度お願いします」はもう古い
消費者最大の不満点に本格的に取り組む
Geminiがもたらすメリットと、今回のアップデートのタイミングは有望です。J.D. Powerの「2025年米国初期品質調査(IQS)」によると、インフォテインメントは依然として自動車業界全体で最も問題の多いカテゴリであり、100台あたり42.6件の問題が報告されています。2024年からはわずかに改善したものの、新車オーナーが挙げた上位の問題の半数はいまだインフォテインメント関連であり、中でも音声認識・音声起動システムは特に不安定だと指摘されています。
ナビに何度も行き先の住所を繰り返し伝えたのに、結局理解してもらえなかった経験はありませんか? ディーラーではセールスポイントだったはずの音声操作を、諦めて一切使わなくなってしまった人も少なくないでしょう。
筆者はデトロイトで開催されたReuters Automotive USAイベントで、車内ユーザー体験に関するパネルディスカッションのモデレーターを務めました。ある大手OEMのパネリスト——かつてインフォテインメントソフトウェアの開発にも携わった人物——は、端的にこう語りました。「自分の車の音声コマンドは好きじゃないし、誰かに使ってみろとも絶対に勧めない」
さらにGeminiの展開は、業界内で「タッチスクリーン疲れ」とも呼ばれる問題にも対応します。大型スクリーンの普及に伴い、物理的なボタンやダイヤルは減る一方です。車種によってはインフォテインメント画面がダッシュボード全体を覆い、スマートフォンのように反応するよう設計されているものの、基本機能を見つけるために何層ものメニューをスワイプしなければならず、不満を漏らすオーナーは少なくありません。
今回の展開の目的の一つは、こうした摩擦を減らすことです。Geminiなら、オーディオやエアコン設定などの機能を自然言語の音声コマンドで操作できます。理論上、音声操作はドライブをより簡単で安全なものにするはずですが、従来のシステムは走行ノイズに弱く、決まった構文を暗記して話さなければ動作しないという課題を抱えていました。
ハンドルを握りながら、より流暢な会話を
「Hey Google、おしゃべりしよう」
従来の音声認識技術がトリガーワードを待ち受けてタスクを実行する仕組みだったのに対し、GeminiはマルチモーダルAIです。つまりGeminiは、最初から自然言語・文脈・複雑な推論を理解できるように設計されています。
スマートフォンでGoogle Geminiを使ったことがあれば、その瞬間の意図や欲求をどれだけ正確に汲み取るかを実感しているでしょう。たとえば筆者は、野菜の写真をGeminiにアップロードして傷んでいないか確認したことがあります。Geminiは自分がキッチンで料理をしていることを理解し、ブロッコリーや「まだ食べられるけどそろそろ危うい」きのこを使ったレシピまで提案してくれました。さらに「そのレシピにお米や鶏肉を組み合わせられる?」と続けて質問することもできます。
運転中に料理はしませんが、車の中でも同じようなことが可能になります。「Gemini Live」(現在ベータ版)という機能を使えば、「Hey Google、おしゃべりしよう」と話しかけるだけで、実際のやり取りのある会話が成立します。Geminiは、まさにその瞬間のニーズに応えてくれるのです。
たとえば、長距離通勤をする人はGoogleマップとの統合の恩恵を受けられます。所要時間と燃費の両面でルートが常に最適化されるからです。仕事帰りのドライブでは「近くでイベントやってる?」と尋ね、あれば「通行止めや渋滞を避けるベストな代替ルートは?」と続けられます。トラックやバンで複数の立ち寄り先を回る個人事業主なら、時間と燃料を節約できる最適ルートの計算をGeminiに任せられます。
余裕のある日には、近くの観光スポット(博物館、公園、ショッピングモールなど)への道順を尋ね、その後に「途中で評判のいい、軽食もあるコーヒーショップはある?」と聞くこともできます。Geminiは最初の目的地を見失うことなく、こうした要求を処理します。
家族でのロードトリップ中には、楽しい車内ゲームのアイデアや安全運転のコツを尋ねることも可能です。自由の女神像やラシュモア山といった目的地の歴史について質問し、さらに掘り下げた質問を重ねることもできます。
また、Geminiは受信メッセージを要約し、ハンズフリーで返信を送ることもできます。この場合も会話的な指示が通じます。「リックに、試合用のディップは持っていくけど、ポテトチップスも買ってくる必要があるか聞いてくれ」や「ステイシアに今週末ジャムセッションOKだって伝えて、ギターの絵文字も付けて」のような具合です。
デジタル取扱説明書
「このチェックエンジンライト、何?」
最も実用的なアップグレードの一つが、車両固有のシステムとの統合です。Googleは自動車メーカーと協力し、メーカー提供の取扱説明書をAIに取り込んだため、Geminiは自分の車のメーカーやモデルに合わせた技術的な質問に答えられます。ユースケースの中にはかなり興味深いものもあります。
たとえば、ガレージの天井が低くて心配なSUVオーナーは、バックドア(リフトゲート)が指定の高さで止まるようにプログラムする方法をGeminiに尋ねられます。取扱説明書をめくる代わりに、実施すべきメンテナンスの内容と走行距離の目安を要約してもらうこともできます。
計器盤にチェックエンジンライトが点灯したら、「Hey Google、これは何を意味してる?」と尋ねるだけでOK。Geminiは考えられる原因を説明し、さらには地元のディーラーや整備工場に電話してサービス予約まで手配してくれます。
EVオーナーにとっても拡張されたGemini統合は大きなメリットです。目的地を選ぶと、到着時の予想バッテリー残量(Battery on Arrival)を推定してくれます。近くの充電器を探してもらい、「評判のいいレストランの近くにある充電ステーションは?」と具体的な条件を付け加えることも可能です。
Google Geminiの利用を始めるには
車に「Google built-in」が搭載され、Googleアカウントにサインインしていれば、Geminiへのアップグレードの選択肢が表示されます。有効化すると、これまでと同じ方法で起動できます。「Hey Google」と話しかける、ホーム画面のマイクアイコンをタップする、または車に装備されていればステアリングホイールのボタンを使う、いずれかの方法です。
当初の展開は米国の英語環境から始まりますが、Googleは近いうちに対応言語と対象国を拡大する計画です。
特にGM(ゼネラルモーターズ)車のオーナーについては、2022年モデル以降の約400万台が対象となります。Geminiへのアップグレードは数ヶ月かけて、対象となるすべてのGM車に自動アップデートとして配信されます。準備が整うと、インフォテインメント画面に通知が表示される仕組みです。
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注目製品:Escort MAX 360c MKII
レーダーバンド検知:X / K / Ka
専用アプリ:Drive Smarter
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著者について
Carl Anthonyはモーターシティことデトロイトを拠点とするHow-To GeekのAutomotive Leadで、次世代ADAS、電動化、ソフトウェア定義車両など未来の車両技術を扱うポッドキャスト「AutoVision News Radio」のホストでもあります。Ford、Honda、Mercedes-Benz、Volvoでの新車発表トレーナーや、Chevyの全国トラックチームでのシニアプロダクトスペシャリスト、FCA(現Stellantis)全国オートショーチームのメンバーなどを歴任し、自動車業界に入る前は中西部の人気ラジオ局でDJやプロデューサーとして活躍していました。
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