VMware vSphere 6.5 ライセンスガイド|エディション比較・機能・価格を徹底解説
経験豊富な管理者であっても、VMwareライセンス特有の仕様や選択肢、機能面で混乱することは少なくありません。さらにvSphereはほぼ毎年新しいバージョンがリリースされ、そのたびにライセンスポリシーが変更されるため、状況はますます複雑になっています。
本記事では、2016年10月にリリースされたVMware vSphere 6.5を例に、提供されているエディションの種類、各エディションの特徴や違い、ライセンス費用、購入時の手順について詳しく解説します。
VMware vSphereのライセンス基本ルール
vSphere 6.5のライセンスを計画・購入する際に、必ず押さえておきたい基本的なルールは以下の通りです。
- サーバーは物理プロセッサー(CPU)の数に基づいてライセンスされます。各CPUに対して個別のvSphereライセンスが必要です(コアは物理プロセッサーではないため、ライセンス数にはカウントされません)。
- ESXiサーバーで利用できる機能は、適用されているvSphereライセンスのエディションによって決まります。
- vSphereライセンスには、最低1年分のサポート契約が必須です。
- 物理サーバーに搭載できるメモリー(RAM)容量や、稼働させる仮想マシンの数に、ライセンス上の制限はありません。
補足: VMwareの位置づけでは、ESXiプラットフォーム自体は無償です。ただし実際に運用するには、vSphereライセンスの購入が必要になります。
vSphere 6.5のエディション比較
VMware vSphere 6.5では、以前のバージョンと比べてエディションの数が減少しました。2016年夏、VMwareはEnterpriseエディションの廃止を発表しています。その結果、現在選択できるのは以下の3エディションです(以前は6種類ありました)。
- VMware vSphere Standard
- VMware vSphere Enterprise Plus
- VMware vSphere with Operations Management(vSOM)Enterprise Plus
各エディションで利用できる主な機能は次の表の通りです。
| vSphere | vSphere with Operations Management | ||
| Standard | Enterprise Plus | Enterprise Plus | |
| vMotion / Storage vMotion / Cross Switch vMotion | ○ | ○ | ○ |
| 高可用性(HA)/ フォールトトレランス(FT) | 2 vCPU | 4 vCPU | 4 vCPU |
| Data Protection(VDP)/ VMデータレプリケーション | ○ | ○ | ○ |
| Virtual Volumes / ストレージポリシーベース管理(SPB) | ○ | ○ | ○ |
| Storage Awareness API(VASA) | ○ | ○ | ○ |
| Content Library(複数vCenter対応) | ○ | ○ | ○ |
| アレイ統合API / マルチパス | ○ | ○ | ○ |
| 仮想マシン暗号化 | ○ | ○ | |
| Proactive HA | ○ | ○ | |
| vSphere Integrated Containers | ○ | ○ | |
| DRS / DPM | ○ | ○ | |
| Big Data Extensions | ○ | ○ | |
| 分散スイッチ(Distributed Switch) | ○ | ○ | |
| Storage DRS | ○ | ○ | |
| I/Oコントロール(ネットワーク/ストレージ)/ SR-IOV | ○ | ○ | |
| Host Profiles / Auto Deploy | ○ | ○ | |
| Flash Read Cache | ○ | ○ | |
| Cross vCenter vMotion / ロングディスタンスvMotion | ○ | ○ | |
| vGPU | ○ | ○ | |
| Predictive DRS | ○ | ○ | |
| vSphere監視 | ○ | ||
| キャパシティ最適化 | ○ | ||
| 運用の可視化 | ○ | ||
vSphere Standardの主な機能
- 高可用性(HA):仮想マシンの自動再起動によりダウンタイムを削減
- フォールトトレランス(FT):ハードウェア障害発生時も仮想マシン(アプリケーション)を継続稼働
- vMotion / Cross Switch vMotion:サーバー間や仮想スイッチ間での仮想マシンのオンラインマイグレーション
- Storage vMotion:ストレージデバイス間での仮想ディスクファイルのオンライン移行
- Data Protection:統合型バックアップ
- VMデータレプリケーション:WAN回線を利用した効率的なデータ複製
- Virtual Volumes(VVols):SAN/NASストレージデバイスの仮想化
- ストレージポリシーベース管理(SPB):ストレージの自動管理
- Storage Awareness API(VASA):vCenterとディスクアレイの連携
- Content Library:VMテンプレート、vApp、ISO、スクリプトの一元管理
- アレイ統合API / マルチパス:ストレージアレイの統合や代替パス管理のためのAPI群
vSphere Enterprise Plusで追加される機能
Standardの全機能に加えて、以下の機能が利用できます。
- Distributed Resource Scheduler(DRS):ホスト間のワークロード負荷分散
- Distributed Power Management(DPM):アイドル状態のホストを停止し、消費電力を最適化
- Reliable Memory:メモリー上のVMkernelブロックの最適配置
- 分散スイッチ(Distributed Switch):ネットワーク構成の一元管理
- Storage DRS:ディスクリソースの自動負荷分散
- I/Oコントロール(ストレージ/ネットワーク):継続的なI/O監視によるアクセス優先制御
- SR-IOV:単一のPCIeデバイスを複数の仮想デバイスとして仮想化
- Host Profiles / Auto Deploy:ホストプロファイルと自動デプロイ
- Cross vCenter vMotion:vCenterサーバー間での仮想マシン移行
- vGPU:複数の仮想マシンでGPUを共有
- 仮想マシン暗号化:AES-NIによるVMファイルおよびvMotionトラフィックの暗号化
vSphere with Operations Management Enterprise Plus
上記2エディションの機能に加え、自動分析、キャパシティ管理、パフォーマンス管理のための運用ツールが含まれています。
なお、いずれのライセンスを購入する場合も、vCenter Server Standardライセンスが別途必要になる点に注意してください。
VMware vSphere 6 Essentials:小規模ビジネス向けエディション
小規模企業向けとして、VMwareは「vSphere 6 Essentials」シリーズを用意しています。
- VMware vSphere 6 Essentials
- VMware vSphere 6 Essentials Plus
これらのエディションは、最大3台の物理サーバー(各サーバー最大2CPU)を1つのキットでライセンスできます。主な機能の比較は以下の通りです。
| vSphere Essentials | vSphere Essentials Plus | |
| Update Manager | ○ | ○ |
| Data Protection | ○ | ○ |
| 高可用性(HA) | ○ | |
| vMotion / Switch vMotion | ○ | |
| vSAN | ○ | |
| Replication | ○ |
EssentialsとEssentials Plusの大きな違いは、後者にvMotionと高可用性(HA)が含まれている点です。vSphere Essentialsでは、仮想マシンを別サーバーや別ストレージへ移動する際、電源をオフにする必要があります。
すべてのvSphere EssentialsキットにはvCenter Server Essentialsが付属しており、最大3台のESXiサーバーを集中管理できます。
注意したいのは、例えば6台分をカバーするためにEssentialsキットを2セット購入した場合、1つのvCenter Essentialsが管理できるのは3台までであるため、結果的に独立した2つのvCenterインフラが構成されるという点です。
補足: 専用のライセンスキット(Acceleration Kit)を購入すれば、vSphere Essentialsからフル機能のvSphereエディションへアップグレードすることも可能です。
VMware vSphere 6 および vCenterライセンスの価格
繰り返しになりますが、vSphere 6やvCenterのライセンスを購入する際は、サポート契約の同時購入が必須です。サポートには、製品バージョンのアップデート権利、VMwareカスタマーサポートへの問い合わせ、リモートサポートの受講などが含まれます。
各ライセンスの価格と、最低1年分のサポート(Basic Support/Subscription vSphere 6 - 1 Year)の費用は以下の通りです。
| vSphere Standard (1ホスト) | vSphere Enterprise Plus | vSphere Enterprise Plus with Operations Management | vSphere Essentials Kit (3ホスト) | vSphere Essentials Plus Kit (3ホスト) | |
| ライセンス価格 | $995 | $3,495 | $4,395 | $495 | $4,495 |
| 1年ベーシックサポート | $273 | $734 | $923 | $65 | $944 |
Standard、Enterprise Plus、EP with OMのいずれかを購入する場合は、vCenter Server Standardライセンスも併せて購入する必要があります。
- VMware vCenter Server Standard:$5,995 + 1年ベーシックサポート($1,259)
補足: vCenter Server EssentialsライセンスはvSphere Essentials Kitに含まれているため、別途購入する必要はありません。
また、大量のライセンスを購入する予定があるなら、対応バージョンのvSphereライセンス6本 + vCenter Standardライセンス1本がセットになった1年契約のVMware vSphere Acceleration Kitを検討するとよいでしょう。
6物理プロセッサー向けvCenter Acceleration Kitの価格は以下の通りです。
| vSphere Standard Acceleration Kit | vSphere Enterprise Plus Acceleration Kit | vSphere with Operations Management Enterprise Plus Acceleration Kit | |
| キット価格 | $10,995 | $22,995 | $24,995 |
| 1年ベーシックサポート | $2,515 | $5,665 | $6,800 |
参考までに、vSphere Enterprise Plusライセンス6本とvCenter Standardライセンス1本を個別に購入した場合の総額(サポート込み)は以下のようになります。
6 × ($3,495 + $734) + ($5,995 + $1,259) = $32,628
一方、同じライセンス構成のvSphere Enterprise Plus Acceleration Kitは $22,995 + $5,665 = $28,660。つまり$3,968(約10%)もお得になります。ボリュームライセンスが必要な環境では、Acceleration Kitの活用がコスト削減の有効な選択肢となるでしょう。
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