ChromebookにLinuxをインストールする3つの方法|chrx・Crouton・Crostiniを徹底解説
ChromebookでLinuxが動かせることをご存じでしょうか。従来型のLinux環境をChromebookに導入すれば、マシンの潜在能力を引き出し、機能性を大きく向上させることができます。その手順は思ったより簡単です。
Chrome OS自体がLinuxベースのOSであるため、ユーザーは別のLinux環境をインストールして、本格的なLinuxデスクトップをChromebook上で実現できます。ただし、始める前に注意点があります。ARMベースの端末の場合、一部のLinuxアプリはIntelアーキテクチャ向けに設計されているため動作しないことがあります。
ChromebookにLinuxをインストールする3つの方法
ChromebookにLinuxをインストールするには、主に2つの選択肢があります。1つはオープンソースプロジェクト「chrx」を使ってデュアルブート環境を作る方法(現在は開発終了したChrUbuntuの後継)、もう1つは「Crouton」を使ってchroot環境にLinuxを構築する方法です。
さらに3つ目の選択肢として、Google公式のLinux仮想コンテナプロジェクト「Crostini」があります。これはChrome OS上でLinuxアプリを直接実行できる仕組みです。Crostiniはchrootと似ていますが、最大の違いはデベロッパーモードへの切り替えが不要という点です。
それぞれの方法にメリットとデメリットがあります。以下では、メリット・デメリットにも触れながら、手順をわかりやすく解説していきます。
ステップ0:Chromebookリカバリメディアを作成する
Linuxのインストール作業に入る前に、「Chromebook Recovery Utility」を使ってリカバリドライブを作成しておきましょう。万が一、インストール中にChromebookに深刻な問題が発生しても、このドライブから復元できるためです。
用意するのは、容量8GB以上のUSBメモリ1本です(作業中にフォーマットされるため、中身を消してもよいものを使用してください)。
- Chromeウェブストアから「Chromebook Recovery Utility」をダウンロードします。
- アプリを使って、4GB以上のリムーバブルメディアにChrome OSのコピーを書き込みます。
これだけで完了です。もしトラブルに見舞われ、「Chrome OSが存在しないか、破損しています」というメッセージが表示されても、事前準備があれば安心です。Chrome OS再インストールの手順に従えば、Chromebookを元通りにできます。
Chromebookをデベロッパーモードにする方法
chrxによるデュアルブートやCroutonによるchrootインストールでは、Chromebookをデベロッパーモードに切り替える必要があります。デベロッパーモードとは、未承認のOSで起動することなどを可能にする特別な内蔵機能です。
進める前に、いくつか注意点をお伝えします。
第一に、デベロッパーモードに切り替えるとローカルに保存されたデータがすべて消去されます。重要なデータは必ずバックアップを取っておいてください。
第二に、起動時にChrome OSの検証・認証が行われなくなるため、セキュリティレベルが低下し、攻撃にさらされるリスクが高まります。
第三に、これらの変更はGoogleによってサポートされておらず、保証が無効になる可能性がある点も覚えておきましょう。
デベロッパーモードへの切り替え手順は、機種によって異なります。非常に古いChromebookにはバッテリー下部に物理スイッチが搭載されていますが、新しいモデルはバッテリーが着脱式ではないため、以下の手順に従ってください。
- Esc + 更新キー(Refresh)を押し続けたまま、電源ボタンを押します。
- 再起動するとリカバリモードに入ります。
- Ctrl + Dを押すと、デベロッパーモードに入るかどうかを尋ねる画面が表示されます。Enterを押して続行します。
- デベロッパーモードの初期化が始まります。完了まで時間がかかる場合があります。
- セットアップが完了すると、感嘆符と「OS verification is OFF(OS検証はオフ)」という表示の画面になります。以降、Chromebookの電源を入れるたびにこの画面が表示されます。30秒待てば自動的に起動しますが、Ctrl + Dを押せばすぐに起動できます。
chrxを使ってChromebookとLinuxをデュアルブートする方法
chrxは、Chrome OSとは別にLinuxディストリビューションをインストールできるオープンソースプロジェクトです。選べるディストリビューションは複数あり、フルインストールのUbuntuや、Xubuntu由来でChromebookハードウェアの性能を最大化するよう特化して開発されたGalliumOSなどがあります。
続行前に重要な注意点があります。chrxによるデュアルブートは、ARMハードウェア搭載のChromebookとは互換性がありません。作業前に互換性リストを確認しておきましょう。
Intel Skylake、Apollo Lake、Kaby Lake搭載モデルはサポート状況やテスト度合いにばらつきがあります。Intel Amber Lake、Gemini Lake、Whiskey Lake搭載モデルは比較的新しく、サポートが十分ではありません。
chrxでのインストールは2段階のプロセスです。フェーズ1でストレージをパーティション分割し、フェーズ2でLinuxディストリビューションのインストールとシステム設定を行います。
chrxでLinuxをインストールする手順
以下がchrxを使ったインストール手順です。開始前に、互換性の再確認、デベロッパーモードの有効化、インターネット接続を必ずチェックしてください。
- CTRL + ALT + Tを押してChrome OSのターミナル(Crosh)を開き、「shell」と入力します。
- レガシーブートを有効にするため、ファームウェアを更新します。次のコマンドを入力してください。
スクリプトが読み込まれたら「1」を押してEnterキーを押し、RW_Legacyファームウェアのインストール/更新を実行します。cd; curl -LO https://mrchromebox.tech/firmware-util.sh && sudo bash firmware-util.sh - ファームウェアの更新が完了したら、次のコマンドを入力します。
システムストレージにインストールするため「N」を押します。cd ; curl -Os https://chrx.org/go && sh go - Linuxパーティションのサイズを入力してEnterを押します。デフォルトのインストール先であるGalliumOSには最低3GBのストレージが必要です。インストールが完了したらEnterを押してシステムを再起動します。
- 再起動後、「システムを修復しています。お待ちください」というメッセージが表示されます。不安に感じるかもしれませんが、これは正常な動作です。完了まで待ちましょう。所要時間はハードディスクによって異なります。筆者の128GB HDD搭載Chromebookでは約20分かかりました。
- デスクトップが表示されたら、Chrome OSターミナルを開いて「shell」と入力し、続けて次のコマンドを実行してインストールの第2フェーズを開始します。
インストール完了後、Enterを押します。cd ; curl -Os https://chrx.org/go && sh go - 起動画面でCTRL + Lを押すと、GalliumOS(またはその他のLinuxディストリビューション)が起動します。
chrxのインストールプロセスはやや長めですが、その結果として安定したデュアルブート環境が手に入ります。
Croutonを使ってchroot環境にLinuxをインストールする方法
chrxの代わりとなるのが、chroot環境にLinuxをインストールするオープンソースプロジェクト「Crouton」です。
実際に使ってみると、簡単なキーボード操作だけで2つのOSをシームレスに切り替えられ、再起動も不要です。
その他のメリットとしては、両システムで/Downloadsフォルダを共有できる点が挙げられます。どちらの環境からでもファイルへ簡単にアクセス可能です。さらに、CroutonでインストールしたLinuxを削除する際も、システム全体の復旧作業は必要ありません。
このソフトウェアは元Google社員によって開発されたため、古いマシンでも高速に動作するよう最適化されています。また、2つの環境はドライバーを共有するため、追加設定なしですぐに使えます。
CroutonでLinuxをインストールする手順
Croutonのインストールはとても簡単です。Wi-Fiネットワークに接続していること、デベロッパーモードが有効になっていることを確認してから、以下の手順でUbuntuをインストールしましょう。
- 最新版のCroutonをChromebookのハードドライブにダウンロードします。
- CTRL + ALT + Tでターミナルを開き、「shell」と入力します。
- 次のコマンドでインストーラーを実行可能ファイルにします。
sudo install -Dt /usr/local/bin -m 755 ~/Downloads/crouton - 次のコマンドでインストーラーを実行します。
sudo crouton -t xfce - インストールの終盤で、Linux環境用のユーザー名とパスワードの入力を求められます。任意のものを設定してEnterを押すと、インストールが完了します。
インストール完了後、Chromebookのシェルに戻り(デスクトップでCtrl+Alt+T→「shell」→Enter)、次のコマンドを入力します。
sudo startxfce4
Enterを押してください。一度実行すれば、コンピュータの電源を切るかLinuxデスクトップ環境からログアウトするまで、新しいOSが起動し続けます。
上記のデフォルト設定ではUbuntu 16.04がインストールされますが、これはやや古いバージョンです。Croutonは他のLinuxディストリビューションにも対応しています。対応ディストリビューションの一覧を確認したい場合は、インストール開始前に次のコマンドを実行してください。
sh -e ~/Downloads/crouton -r list
手順4で、インストールしたいディストリビューション名に置き換えて実行すればOKです。
Linux(Crouton)環境の操作とカスタマイズ
以下のショートカットキーで、Chrome OSと新しいLinux環境を切り替えられます。
- ARM搭載マシン:Ctrl+Alt+Shift+進むキー と Ctrl+Alt+Shift+戻るキー
- Intel搭載マシン:Ctrl+Alt+戻るキー と Ctrl+Alt+進むキー、その後 Ctrl+Alt+更新キー
新しい環境のインストールに成功したら、快適に使うために以下の設定を行いましょう。
- キーボードの明るさ・音量キーを新しいOS内でも使えるようにします。Chrome OSシェルを開き(Chrome OSデスクトップでCtrl+Alt+T→「shell」→Enter)。
- 次のコマンドを入力してEnterを押します。
sudo sh -e ~/Downloads/crouton -r precise -t keyboard –u - スクリーンセーバーはグラフィックエラーの原因として知られているため、削除しておきます。Linux内のターミナルで次のコマンドを実行してください。
sudo apt-get remove xscreensaver - UbuntuソフトウェアセンターとSynaptic(いずれもアプリ追加用ツール)をインストールします。新しいLinux環境内のターミナルで次のコマンドを実行し、Enterを押します。
sudo apt-get install software-center synaptic
CroutonでインストールしたLinuxを削除する方法
CroutonでインストールしたLinux環境を削除する主な方法は2つあります。
1つ目は、Chrome OSのシェルを開き(Ctrl+Alt+T→「shell」→Enter)、以下のコマンドを順に実行する方法です。
を入力してEntercd /usr/local/chroots
を入力してEntersudo delete-chroot *
を入力してEnterrm -rf /usr/local/bin
もう1つの方法は、Chromebookを再起動し、最初の「OS verification is OFF」画面が表示されたときにスペースキーを押すことです。これによりデバイスがデベロッパーモードから抜け、インストールした環境を含むすべてのローカルデータが消去されます。
この操作を行う前に、必ず重要なデータのバックアップを取っておいてください。また、この後に再度デベロッパーモードに入りたい場合は、前述の手順をやり直す必要があります。
Crostiniを使ってLinuxアプリをインストールする方法
最後に、ChromebookでLinuxアプリを動かす3つ目の方法をご紹介します。CrostiniはLinuxアプリ用の仮想コンテナを作成できる機能で、既存のChrome OSの上でLinuxアプリが動作します。そのため、デベロッパーモードへの切り替えも、既存OSへの細工も一切不要です。
唯一の難点は、Crostiniに対応しているChromebookモデルが限られていることです。執筆時点では対応機種は多くなく、筆者所有の機種も対応していません。お使いのChromebookがLinux(Beta)、ひいてはCrostiniに対応しているか、互換性リストで確認してみてください。
Crostiniの対応を待ちたいところですが、一部のモデルのオーナーは代替手段の利用を検討したほうがよいでしょう。Crostini非対応のChromebookモデルのリストはかなり長いのです。
CrostiniでLinuxアプリを使う手順
対応機種でCrostiniを読み込んで使う手順はシンプルです。Chromebookで以下を順に行います。
- 設定メニューを開きます。
- 下にスクロールしてLinux(Beta)を見つけ、オンにします。
- 画面の指示に従います。セットアップには最大10分ほどかかることがあります。
- Linuxのインストールが完了すると、Linuxターミナルが表示されます。「
」コマンドで更新し、続けて「sudo apt update
」を実行します。sudo apt upgrade - 完了したらChromeブラウザを開き、「chrome://flags」と入力します。Flagsの検索バーに「crostini」と入力し、Crostini GPU Supportを探します。
- これを「Enabled」に切り替えます。
Linux(Beta)とCrostiniのインストールが完了すれば、ChromebookにLinuxパッケージをインストールできるようになります。Chrome OSのファイルメニューにもLinuxアプリ用の新しい項目が追加され、ChromebookアプリのようにLinuxアプリを起動できるようになります。
まとめ:目的に合った方法を選ぼう
ChromebookでLinuxを使い始める方法は3つあります。どの方法を選ぶかは、主にハードウェアの種類と互換性によって決まります。ARM搭載のChromebookならCroutonが最適ですが、Intel搭載のChromebookであれば選択肢はさらに広がります。
Chrome OSのターミナルに興味が湧いた方は、すべてのユーザーが知っておくべき重要なCroshコマンドの一覧もぜひチェックしてみてください。
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