Parallels DesktopでM1 Mac上のWindows 11を試した感想――素晴らしい体験の裏にある懸念材料
マイクロソフトは今月初めにWindows 11を正式リリースし、対象となるPCへの提供がようやく本格化しました。厳格化された最小ハードウェア要件の影響で、多くの旧型PCはサポート対象から外れる見込みです。そして、Macユーザーにとっても状況はよく似ています。
AppleのBoot Campを使ってMacにWindows 11を別パーティションとしてインストールしようと考えていた方には、残念なお知らせです。Intel製MacにはWindows 11が必須とするTPM 2.0セキュリティチップやセキュアブート機能が搭載されていないため、Windows 11はIntel製Macではサポートされません。さらに、Appleの新しいM1搭載MacではBoot Camp自体が利用できないため、Windows 11 on ARMどころか、Windows 10 on ARMすら別パーティションにインストールできません。
そんな中で救いの手となるのが、Parallels Desktop for Macのような仮想化ソフトウェアです。今年夏にリリースされた最新版「Parallels Desktop 17」は、Intel製MacとM1搭載Macの両方でWindows 11をサポートする、画期的なバージョンとなりました。
過去数週間、私はM1搭載Mac mini上でParallels Desktop 17を使い、Windows 11 on ARMを動かしてきましたが、これまでのところ非常に快適です。Appleが2022年を通じてMacラインナップ全体をApple Siliconへ移行する中、ParallelsとしてはApple Silicon MacとARM版Windows向けに最適化するしか道はありませんでした。現時点では極めて高い完成度を見せていますが、一方で重要な疑問もいくつか残されています。
M1 MacでWindows 11を動かすとどうなる?
16GBのユニファイドメモリを搭載したM1 Mac miniでは、Windows 11 on ARMは驚くほど軽快に動作します。Windows 11の要件は2コアCPUと最低4GBのRAMですが、Parallels Desktopは仮想マシンに必要なRAM容量とCPUコア数を自動的に割り当ててくれます。手動での細かい設定も可能ですし、「生産性」「ソフトウェアテスト」「ゲーム」など、用途ごとに最適化されたプロファイルを選ぶこともできます。
Microsoftの公式サイトからWindows 11 on ARMのISOイメージをダウンロードすれば、M1 Macへのインストール作業は非常にシンプルです。最近のParallels Desktopのアップデートでは、仮想TPM 2.0チップがデフォルトで有効化され、Windows 11の最小要件を確実に満たせるようになりました。インストール完了後は、通常のWindows 11プロダクトキーでライセンス認証を行えますが、必須ではありません。
Parallels Desktop経由でM1 Mac上にWindows 11 on ARMを構築すると、まるで妥協のないネイティブ環境のような使用感が得られます。ARM64アーキテクチャ向けに再コンパイルされていないWindowsアプリについても、Windows 11によって互換性とパフォーマンスが大幅に改善されました。ただし、ゲームに関しては話が別です。Parallels Desktop 17はDirectX 12をサポートしていないためです。とはいえ、特定のGPUを必要としないDirectX 11タイトルの大半は問題なく動作します。
そもそもMacはゲーム向きのプラットフォームではなく、macOS Big Surで32ビットアプリのサポートが打ち切られて以降、状況はさらに悪化していました。Parallels DesktopはMacゲーマーにとってこの状況を大きく改善する存在であり、Win32ゲームがWindows 11 on ARM上でエミュレートされ、さらにそれがMac上の仮想マシン内で動作するという光景は実に興味深いものがあります。大きなパフォーマンス低下を覚悟していましたが、『Overwatch』のような競技性の高いマルチプレイヤーゲームでも、M1 Mac上で十分快適にプレイできました。
私にとってParallels Desktop最大の魅力は、やはりCoherence(コヒーレンス)モードです。Windowsの仮想マシン画面を完全に隠し、MacアプリとWindowsアプリを同じMacデスクトップ上に並べて表示・操作できます。Windows版の方がMac版よりも多機能なアプリを使いたい場合に特に重宝します。Coherenceモードでは、macOSのDockからWindows 11のスタートメニューへアクセスし、Windowsアプリを直接起動することまで可能です。
MicrosoftはM1 MacでのWindows 11を公式サポートしていない
Parallels Desktop 17のおかげで、Windows 11 on ARMはM1 Mac上で素晴らしいパフォーマンスを発揮します。これは間違いありません。ただし、忘れてはならないのが、この構成は公式にサポートされたものではないという点です。Microsoftは現在も、一般消費者向けにWindows 10/11 on ARMを販売していません。そのため、Parallels Desktop for Macのユーザーは、ライセンスされていないInsider Preview版を使用せざるを得ないのが実情です。
ある意味で、Parallels Desktopを使ったM1 Mac上のWindows 11は、非対応PCでWindows 11を動かす状況に似ています。現時点では問題なく動作し、Parallels Desktop 17の仮想TPM 2.0チップのおかげで、Windows 11側も対応PC上で稼働していると認識します。しかし、この状況が将来にわたって続く保証はどこにもありません。
Microsoftによる公式サポートの欠如は、Parallelsにとって潜在的なリスクとなり得ますが、同社はさほど懸念していない様子です。Intel製Macが近いうちに姿を消すことを考えれば、ParallelsにはApple Siliconへの移行期間中、Macユーザーに可能な限り最高のサービスを提供し続けるしかないのです。
M1 MacにおけるWindows 11の公式サポート不在について同社にコメントを求めたところ、以下の声明を受け取りました。
Windows 365は仮想化ソフトを時代遅れにするのか
Parallels Desktop for Macは、Mac上でWindowsアプリを動かす最良の手段であり続けるでしょう。それでも私は、Microsoftの新クラウドPCサービス「Windows 365」が、仮想マシンによるWindows実行を追い抜く日が来るのではないかと考え始めています。Windows 365なら、企業ユーザーはサブスクリプション契約だけで、あらゆるデバイスからWindows 10/11 PCをストリーミング利用でき、アプリ・コンテンツ・設定が最初から個人用に整った状態で使える利便性があります。
Microsoftは今年初めにWindows 365を開始し、中小企業向けから大企業向けまで複数のプランを展開しています。ただし、その手軽さには相応のコストが伴いますし、インターネット接続がない環境ではクラウドPCはまったく役に立ちません。Parallels自身も「Parallels Remote Application Server」というリモートワークソリューションを擁し、場所を問わず仮想アプリやデスクトップへのアクセスを提供していますが、Windows 365でクラウドPCを真に普及させられる規模を持つのは、やはりMicrosoftだと言わざるを得ません。
短期的にParallels Desktop for MacがMacユーザーを失うとは思いませんし、このアプリはWindowsに加えてmacOSやLinuxの仮想化も引き続きサポートしています。それでも、Apple Silicon MacでのBoot Camp廃止と、Parallels Desktop上のWindows 11に対するMicrosoftの公式サポート不在は、決して好ましい兆候ではありません。ParallelsがParallels Desktop for Macに深く注力し続けていることは確かで、私自身も毎日の業務でこれからも頼りにしていくつもりです。とはいえ、Webブラウザから一切のメンテナンスなしでWindows 11 PCにアクセスできる世界の魅力が、私の中で日増しに高まっていることも事実なのです。
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