CIDRとは?クラスレス・インタードメインルーティングの基礎をわかりやすく解説
クラスレス・インタードメインルーティング(CIDR:Classless Inter-Domain Routing)は、1990年代にインターネット上のネットワークトラフィックをルーティングするための標準的な方式として開発されました。
CIDRが登場する以前は、インターネットのルーターはIPアドレスの「クラス」に基づいてトラフィックを管理していました。この旧来のシステムでは、IPアドレスの値そのものが、ルーティングにおけるサブネットワークを決定していました。
CIDRは、こうしたIPサブネッティングの代替となる仕組みです。アドレスの値に左右されることなく、IPアドレスを柔軟にサブネットワークへと整理できます。複数のサブネットをひとまとめにしてルーティングできることから、スーパーネッティング(supernetting)とも呼ばれています。
CIDR表記の基本
CIDRでは、IPアドレスとそれに対応するネットワークマスクを組み合わせて、アドレス範囲を指定します。表記は次の形式になります。
xxx.xxx.xxx.xxx/n
ここでnは、ネットワークマスクの左側から数えた「1」ビットの個数を表します。
具体例:192.168.12.0/23
192.168.12.0/23
この例では、ネットワークマスク255.255.254.0を192.168ネットワークに適用し、192.168.12.0から始まる範囲を示しています。つまり、192.168.12.0〜192.168.13.255というアドレス範囲を意味します。
クラスベースの考え方と比較すると、192.168.12.0/23は、それぞれサブネットマスク255.255.255.0を持つ2つのクラスCサブネット(192.168.12.0と192.168.13.0)を1つにまとめたものに相当します。
別の見方をすると、次のように表せます。
192.168.12.0/23 = 192.168.12.0/24 + 192.168.13.0/24
クラスにとらわれない柔軟な割り当て
CIDRのもう一つの特徴は、従来のアドレスクラスに依存せずに、インターネットアドレスの割り当てやメッセージのルーティングを行える点です。
10.4.12.0/22
この例は、10.4.12.0〜10.4.15.255のアドレス範囲(ネットワークマスク255.255.252.0)を表します。大きなクラスAのアドレス空間の中に、クラスCネットワーク4つ分に相当する領域を効率的に割り当てていることになります。
非CIDRネットワークでの表記
CIDR非対応のネットワークでも、便宜上CIDR表記が使われることがあります。ただし、従来型のIPサブネッティングでは、nの値は次のいずれかに限定されます。
- 8 … クラスA
- 16 … クラスB
- 24 … クラスC
具体的な例は以下の通りです。
- 10.0.0.0/8
- 172.16.0.0/16
- 192.168.3.0/24
CIDRの仕組み
インターネットへの初回実装時には、Border Gateway Protocol(BGP)やOpen Shortest Path First(OSPF)といった主要なルーティングプロトコルが、CIDRをサポートするように更新されました。一方、廃止されたプロトコルや普及度の低いルーティングプロトコルの中には、CIDRに対応していないものもあります。
ポイント:CIDRを実装するには、ネットワークルーティングプロトコル自体に一定の対応機能が組み込まれている必要があります。
集約には連続性が必要
CIDRによるアドレス集約では、対象となるネットワークセグメントがアドレス空間内で連続している(数値的に隣接している)ことが求められます。たとえば、中間にある.13と.14のアドレス範囲を含めない限り、192.168.12.0と192.168.15.0を単一のルートに集約することはできません。
対応しているのは主に大規模ルーター
インターネットのWANやバックボーンを担うルーター、すなわちISP(インターネットサービスプロバイダー)間のトラフィックを処理するルーターは、IPアドレス空間の節約という目的を達成するために、一般的にCIDRをサポートしています。
その一方で、市販の家庭向けルーターの多くはCIDRに対応していません。そのため、ホームネットワークや小規模な公開ネットワーク(LAN)といったプライベートネットワークでは、CIDRが採用されていないケースが少なくありません。
CIDRとIPv6の関係
IPv6もまた、IPv4と同じようにCIDRのルーティング技術とCIDR表記を採用しています。そもそもIPv6は、完全にクラスレスなアドレッシングを前提として設計されたプロトコルであり、CIDRとの親和性は極めて高いといえます。
-
フラッディングと固定ルーティングアルゴリズムの違いを徹底解説
フラッディング(Flooding)と固定ルーティング(Fixed Routing)は、伝送回線で接続された複数の中間ルータを経由して、送信元から宛先へデータパケットを伝送するための手法です。フラッディングは、非適応型(Non-adaptive)ルーティング技術の一つで、非常にシンプルな方式に基づいています。データパケットがルータに到着すると、そのパケットが到着した回線を除くすべての出力回線へパケットを送信します。固定ルーティングアルゴリズムは、送信元から宛先へデータパケットを転送するための固定経路をあらかじめ決定しておく方式です。この経路は数学的に計算された最適経路、すなわち「最小コスト経路(
-
192.168.1.1 ルーターログイン完全ガイド|管理画面へのアクセス方法とトラブル対処
192.168.1.1は、クラスCに属するプライベートIPアドレスの一つで、多くのルーターにメーカーによって管理用のデフォルトアドレスとして割り当てられています。ブラウザのアドレスバーにこのアドレスを入力し、お使いの環境でデフォルトゲートウェイが192.168.1.1に設定されていれば、ルーターの管理コンソール(管理画面)にログインできます。設定が出荷時の状態から変更されている場合は、代わりに検索エンジンへ自動的にリダイレクトされることがあります。なお、デフォルトゲートウェイは192.168.1.1以外のプライベートIPアドレス(例:192.168.0.1など)になっているケースもあります。1