ホームネットワークを本当に安全にするためのルーター設定ガイド
ルーターを初期設定のまま使っていると、あなたのネットワークは大きなリスクにさらされています。近隣の見知らぬ人にWi-Fiを勝手に使われれば、帯域幅を食いつぶされ、データ通信量も浪費されてしまいます。
さらに深刻なのは、他人があなたのネットワーク経由で違法行為——著作権物のダウンロードやデバイスへのハッキングなど——を行った場合、その責任があなたに及ぶ可能性があることです。初期設定のままでは、悪意あるハッカーがルーターの管理画面にログインし、設定を乗っ取る危険性もあります。
この記事では、不正利用や不正アクセスからネットワークを守るために必須となるルーター設定を、基本編から上級編まで体系的にまとめました。
基本のルーターセキュリティ設定
まず押さえておきたいのが、以下の最低限のセキュリティ設定です。いずれも簡単に行えます。LANケーブルでパソコンをルーターに接続し、ルーターのIPアドレスにアクセスしてログインしましょう。ユーザー名とパスワードは、変更していなければメーカー提供の初期値を使います。
管理画面の構成がこの記事のスクリーンショットと異なる場合は、お使いのルーターの取扱説明書(多くはメーカーサイトで入手可能)を確認してください。LinksysやNETGEARなど主要メーカーは、詳細なサポートページも公開しています。
管理者アカウントの初期設定を変更する
ルーターへのログインに使う初期のユーザー名とパスワードは、同じ機種の何千台ものデバイスで共通しており、インターネット上で簡単に調べられてしまいます。必ずログイン後に両方を変更してください。
ブラウザからログインする仕組みなので、LastPassなどのパスワード管理ツールに新しい認証情報を保存しておくと便利です。自宅のルーターに物理的にアクセスできるのが自分や家族だけなら、ユーザー名とパスワードを書いたシールを本体に貼っておくのも一つの手です。
Linksysルーターの設定例:
Wi-Fiに強固なパスワードを設定する
管理画面にログインしたら、Wi-Fiにパスワードが設定されているか必ず確認してください。前述のとおり、オープンなWi-Fiネットワークはさまざまなトラブルの元になります。ただし、簡単に解読される弱いパスワードでは、パスワードなしとほぼ変わりません。安全性を確保するには、必ずWPA2暗号化を使用しましょう。それ以外の暗号化方式は回避されやすすぎます。
WPSを無効化する
Wi-Fi Protected Setup(WPS)は、暗号化された無線接続を簡単に確立するための規格です。対応デバイスを接続するには、ルーターとデバイスのボタンを同時に押すか、ルーター側面のシールに印字された4〜8桁のPINコードを入力します。
問題は、この機能が初期状態で有効になっており、PINコードの誤入力回数に制限がない点です。そのため総当たり攻撃(ブルートフォース)で突破可能であり、ネット上で入手できるツールを使えば、数分〜数時間で無線ネットワークが破られることもあります。WPSコードが解読されると、Wi-Fiキーまで漏洩します。
この脆弱性から身を守るには、手動でWPSを無効化するしかありません。管理画面で該当する設定を見つけてオフにしてください。
残念ながら、WPSをオフにしても実際には機能し続けるケースがあります。メーカーによっては無効化の選択肢自体が存在しなかったり、オフにしても動作し続けたりするのです。心配な場合は、ファームウェアの更新や機種変更も検討しましょう。
SSID(ネットワーク名)を変更する
SSIDとは無線ネットワークの名前のことです。端末はSSIDで過去に接続したネットワークを識別し、ログイン情報を保存している一致するネットワークへ自動接続しようとします。初期SSIDのままだと、端末が知らないネットワークへ勝手に接続しようとするリスクが高まります。
また、初期SSIDからルーターの型番が特定できてしまうと、ハッカーはその機種固有の脆弱性を突いてくる可能性があります。
ここで注意したいのは、「SSIDを非表示にすれば安全」という俗説に惑わされないことです。SSIDを隠すと、端末は周囲のあらゆるアクセスポイント(AP)との照合を試みるようになるため、逆に悪意あるネットワークがなりすましであなたの端末に接触してくる恐れがあります。非表示にするのではなく、推測されにくい一意の名前を付けるのが正解です。
ルーターのデフォルトIPアドレスを変更する
先ほどログイン認証情報の変更を勧めましたが、これに加えて内部ゲートウェイのIPアドレス(例:192.168.0.1など)も変更すると、ハッカーが管理画面にたどり着くのがさらに難しくなります。LastPassなどでログイン情報を保存している場合は、IPアドレスの登録内容も忘れず更新してください。
リモート管理機能を無効化する
リモートアクセスが有効になっていると、インターネット上の誰でもルーターにアクセスして設定を変更できてしまいます。意図しない遠隔操作を防ぐため、この機能は必ずオフにしましょう。
ただし、これでも近距離からWi-Fiを拾える人物が、認証情報さえ知れば管理画面に入れてしまう状況は残ります。ルーターが対応していれば、「有線接続時のみ管理画面へのアクセスを許可」という設定にするのが理想です。この機能を持つ製品は少なく、ファームウェアのアップグレードが必要になる場合もあります。
中級者向け:より踏み込んだセキュリティ設定
もう一歩踏み込んでルーターを固めたい方は、以下の設定も検討してください。マンションなど多数のネットワークが飛び交う環境や、公共スペースに近い場所にルーターを設置している場合には、特におすすめです。
ファームウェアを更新する
ファームウェアとは、ハードウェアに組み込まれたソフトウェアで、機器の動作や周辺機器との通信を担います。ルーターの脆弱性が発見されると、メーカーは通常、セキュリティホールを塞ぐ新ファームウェアをリリースします。定期的に更新を確認する習慣をつけましょう。多くの市販ルーターには自動更新機能が搭載されており、通常は「管理」メニュー内にあります。
なお、ファームウェア更新により設定が初期化されることがあります。更新前にカスタム設定のバックアップを取っておくと安心です。
5GHz帯に切り替える
標準的な2.4GHz帯は電波が遠くまで届きますが、それは裏を返せば第三者にも届きやすいということです。5GHz帯を使えばWi-Fiの到達範囲が狭まり、外部からの侵入を試みられる機会そのものが減ります。電波干渉の軽減、速度向上、接続の安定化といったメリットもあります。
ただし、5GHz帯に対応していない古い端末もある点には注意が必要です。徹底するなら、そうした端末はEthernetケーブルで接続するか、802.11ac対応ルーターへ買い替えてデュアルバンド構成にする方法があります。ただし、2つのネットワークを運用すること自体は攻撃対象を増やすだけなので、セキュリティ向上目的なら5GHz帯への移行が本筋です。
PING・Telnet・SSH・UPnP・HNAPを無効化する
管理画面で該当する設定を見つけて、すべて無効にしましょう。単にポートを閉じるだけでなく、可能なら「ステルスモード」を選ぶのがポイントです。ステルス設定にすれば、外部からのアクセス試行に対して一切応答せず、ポートの存在自体を隠蔽できます。特に、PINGコマンドに応答しないようにすることは、ルーターの存在を隠す効果的な手段です。
ルーターのファイアウォールを有効化する
ルーターに内蔵ファイアウォールがある場合は、必ず有効にしましょう。ただし、ルーターのファイアウォールだけに頼るのは禁物です。OSやセキュリティソフトの保護と併せて、多層防御の一環として捉えてください。
MACアドレスフィルタリングは無効でOK
MACアドレスフィルタリングは「許可した端末だけ接続できる」という機能ですが、MACアドレスは簡単に偽装(スプーフィング)できます。手間の割に効果が薄いため、無効のままで問題ありません。
上級者向け:徹底防御のための設定
最後に、ネットワークの安全確保に全力を尽くりたい方向けの設定を紹介します。
サードパーティ製ファームウェアを導入する
サードパーティ製のルーターファームウェアは、機能追加だけでなく、メーカー純正の最新ファームウェアよりも安全性が高いことで知られています。脆弱性の影響を受けにくい傾向があるためです。代表的なオープンソースファームウェアには、LinuxベースのDD-WRTやTomatoがあります。
導入前に必ず、自分のルーターとの互換性を確認し、インストール手順をよく読んでから作業してください。失敗するとルーターが使用不能になるリスクもあります。
DNSサーバーを変更する
プロバイダ(ISP)指定のDNSサーバーではなく、OpenDNSやGoogle Public DNSなどの公開DNSを利用してみましょう。インターネットの応答速度が改善したり、フィッシングサイトやマルウェア配布ドメインへのアクセスをブロックするなど、セキュリティ面でのメリットも得られます。
ゲスト用Wi-Fiは慎重に運用する
ゲストネットワークについては意見が分かれるところです。「ログイン保護がなく、初期パスワードもネット上に出回っているため無効化すべき」という声がある一方、独自のパスワードを設定し、一定時間で自動失効させられるのであれば、ゲストに一時的なアクセスを提供しつつ、共有フォルダや家庭内デバイスを隔離できる優秀な機能だとも言えます。対応機種なら、上手に活用しましょう。
あなたのルーターは本当に安全ですか?
今回紹介した設定のうち、いくつ実践済みでしたか? 初めて知った項目はありましたか? さらに詳しく学びたい方には、書籍『Networking All-in-One For Dummies』がおすすめです。
また、守るべきはルーターだけではありません。スマート家電やIoTデバイスを安全に使うための5つの対策も、ぜひあわせて確認してください。
画像クレジット: Linksys設定画面(Linksys)、NETGEAR genie(NETGEAR)
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