EUがTikTokに1か月の回答期限を提示――消費者権利侵害への懸念で「正式対話」開始
欧州連合(EU)は、動画共有アプリTikTok(ティックトック)に対し、消費者の権利侵害に関する多数の申立てへの対応として、1か月以内の回答を求めることを明らかにしました。世界的な人気を博す同アプリに対し、複数の消費者団体が苦情を申し立てています。
申立ての大半は、隠れた広告(ステルスマーケティング)や、子どもを対象とした不適切なコンテンツに関わるものです。中国資本であるTikTokは、年齢制限未満のユーザーがサービスへアクセスする問題への対応に苦慮している状況です。
EUとTikTokの間で「正式な対話」が開始
2021年5月28日(金)、欧州委員会は、広告手法、コンテンツ、そして脆弱な立場にあるユーザーの保護をめぐる慣行について、TikTokと直接協議を行っていることを発表しました。
EUのディディエ・レインデルス司法担当委員は、次のように述べています。
新型コロナウイルスのパンデミックはデジタル化をさらに加速させました。これにより新たな機会が生まれた一方で、特に脆弱な消費者にとって新たなリスクも生じています。EUでは、動画内のバナーなど偽装広告によって子どもや未成年をターゲットにすることは禁止されています。本日開始する対話が、消費者保護に関するEUの規則をTikTokが遵守するための一助となることを期待しています。
今回の調査は、欧州消費者機構(BEUC)がTikTokに対し、複数のEU消費者権利法違反の疑いがあるとして申し立てを行ったことを受けて実施されたものです。BEUCは、子どもや脆弱なユーザーが危険で誤解を招くコンテンツから適切に保護されていない可能性があると指摘しています。
申立ての中心となる4つの論点
BEUCによる申立ては、主に以下の4つの重要な問題に焦点を当てています。
- 利用規約の不公平性:TikTokの利用規約は「不明瞭で曖昧であり、ユーザーではなくTikTok側に有利に働く」と指摘されています。
- バーチャルアイテムポリシーの問題:同様に、仮想アイテムに関するポリシーにも誤解を招く表現や不公平な条項が含まれているとされます。
- 子どもや青少年の保護不足:TikTokのマーケティング方針により、企業が有害な可能性のある製品やコンテンツを宣伝でき、脆弱なユーザーが危険なコンテンツにさらされる恐れがあります。特に注目すべきはハッシュタグの管理であり、申立てでは「子どもを守るためのデューデリジェンス(実行可能な注意義務)が果たされていない」と主張されています。
- 個人データの管理:利用規約の問題にも関連しますが、特に子どもや青少年に関する個人データの収集・管理方法が不明瞭である点が懸念されています。
BEUCのモニク・ゴイエンス事務局長は、次のように述べています。
子どもたちはTikTokが大好きです。しかし、この会社は子どもたちを十分に守れていません。私たちは、最年少の世代が蔓延する隠れた広告にさらされ、楽しく遊ぼうとしているだけなのに、気づかないうちに広告看板に変えられてしまうことを望みません。
調査によりTikTokには1か月の対応期間が与えられる
欧州委員会の声明では「正式な対話」という言葉が使われていますが、これは動画共有サービスに対する正式な調査の一歩手前の段階であることに留意が必要です。EUとTikTokの間で対話の窓口が開かれたことで、双方はより強制的な措置に訴えることなく、これらの重要な課題を解決できるよう望んでいます。
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