C++でvolatile(揮発性)修飾子を使う理由とは?2つの重要な意味をわかりやすく解説
C++におけるvolatile修飾子には、主に次の2つの重要な意味があります。これらを正しく理解することで、組み込み開発などでvolatileを適切に使いこなせるようになります。
volatileが持つ2つの意味
1. 変数の値はコード外の要因で変化する可能性がある
volatile付きの変数は、プログラマが書いたコードによって変更していなくても、ハードウェアやOSなどの外部要因によって値が変わる可能性があります。そのため、コンパイラはこの変数の値を読み取るたびに、「前回読み取った値と同じだろう」「最後に格納した値のままだろう」といった仮定をすることができません。必ずその都度、実際にメモリから読み直す必要があります。
2. 代入操作は外部から観測可能な「副作用」である
volatile変数へ値を格納する行為は、外部から観測できる「副作用」とみなされます。そのため、コンパイラはこの代入操作を最適化によって取り除くことが許されません。たとえば、同じ変数に対して続けて2回値を代入するようなコードでも、コンパイラは実際に2回の書き込みを行わなければなりません。
具体例で見るvolatileの動作
次のコードを見てみましょう。
i = 2;
i = i;
通常なら一見無意味なコードですが、iがvolatile変数である場合、コンパイラは「数値2をiに格納する」「変数iを読み取る」「読み取った値をiに改めて格納する」という一連の操作を、省略せずにそのまま実行する必要があります。
volatileが活躍する主な場面
- メモリマップドI/Oのように、ハードウェアレジスタを直接読み書きする組み込みシステム開発
- シグナルハンドラと通常の処理フローとの間で共有される変数
setjmp/longjmpと組み合わせて使うローカル変数
注意点:マルチスレッド同期には使えない
C++11以降では、volatileはスレッド間の同期やアトミック性を保証するものではない点に注意しましょう。スレッドセーフなデータ操作にはstd::atomicを使用すべきです。volatileはあくまで「コンパイラによる最適化を抑制し、意図した通りのメモリアクセスを保証する」ためのキーワードだと理解しておきましょう。
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