C++で二分木の重複する部分木を検出する方法
問題の概要
二分木が与えられたとき、その中に存在する重複する部分木(duplicate subtrees)をすべて見つける問題を考えてみましょう。ここでいう「重複」とは、構造とノードの値が完全に一致する部分木が2つ以上存在することを意味します。各種類の重複部分木について、代表としてどれか1つの根ノードを返せばよいことになっています。
たとえば、次のような二分木があるとします。

この木に含まれる重複する部分木は、以下の2つです。

- 値
4を持つ単一ノードの部分木(2か所に出現) - 根が
2で、子に4を持つ部分木(2か所に出現)
解法のアプローチ:部分木のシリアライズ
この問題を効率的に解く鍵となるのは、部分木を一意な文字列に変換する(シリアライズする)ことです。各部分木を文字列として表現できれば、同じ文字列を持つ部分木同士は「重複している」と判定できます。全体の流れは次の通りです。
アルゴリズムの手順
- 結果を格納する配列
retと、シリアライズ文字列の出現回数を記録するマップmを用意します。 - 再帰関数
solve()を定義します。引数として現在のノードを受け取り、以下のように動作します。 - ノードが null(または無効)の場合は
"-1"を返します。 x:= ノードの値を文字列化し、"#"を連結します。left:=solve(ノードの左の子)、right:=solve(ノードの右の子)を再帰的に求めます。x:=x + "#" + left + "#" + rightと連結し、この部分木固有のキーを作ります。- マップ
m[x]のカウントを1増やします。 m[x]がちょうど2になったタイミングで、そのノードをretに追加します(3回目以降は追加しないため、同じ種類の重複が結果に複数回入ることはありません)。xを呼び出し元へ返します。- メイン側から
solve(root)を呼び出し、最後にretを返します。
この方法では後順走査(post-order traversal)を用いており、「左右の子の情報が確定した後に親ノードのキーを組み立てる」ため、各部分木を正しく一意に識別できます。ノード数を N とすると、各ノードで文字列連結が発生するため計算量は O(N²) ですが、ハッシュマップにより重複判定自体は高速に行えます。
C++での実装例
それでは、実際のコードを見て理解を深めましょう。
#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;
class TreeNode{
public:
int val;
TreeNode *left, *right;
TreeNode(int data){
val = data;
left = right = NULL;
}
};
void insert(TreeNode **root, int val){
queue<TreeNode*> q;
q.push(*root);
while(q.size()){
TreeNode *temp = q.front();
q.pop();
if(!temp->left){
if(val != NULL)
temp->left = new TreeNode(val);
else
temp->left = new TreeNode(0);
return;
} else {
q.push(temp->left);
}
if(!temp->right){
if(val != NULL)
temp->right = new TreeNode(val);
else
temp->right = new TreeNode(0);
return;
} else {
q.push(temp->right);
}
}
}
TreeNode *make_tree(vector<int> v){
TreeNode *root = new TreeNode(v[0]);
for(int i = 1; i<v.size(); i++){
insert(&root, v[i]);
}
return root;
}
void tree_level_trav(TreeNode*root){
if (root == NULL) return;
cout << "[";
queue<TreeNode *> q;
TreeNode *curr;
q.push(root);
q.push(NULL);
while (q.size() > 1) {
curr = q.front();
q.pop();
if (curr == NULL){
q.push(NULL);
} else {
if(curr->left)
q.push(curr->left);
if(curr->right)
q.push(curr->right);
if(curr->val == 0 || curr == NULL){
cout << "null" << ", ";
} else {
cout << curr->val << ", ";
}
}
}
cout << "]"<<endl;
}
class Solution {
public:
vector <TreeNode*> ret;
map <string, int> m;
string solve(TreeNode* node){
if(!node || node->val == 0){
return "-1";
}
string x = to_string(node->val);
x += "#";
string left = solve(node->left);
string right = solve(node->right);
x = x + "#" + left + "#" + right;
m[x]++;
if(m[x] == 2){
ret.push_back(node);
}
return x;
}
vector<TreeNode*> findDuplicateSubtrees(TreeNode* root) {
ret.clear();
m.clear();
solve(root);
return ret;
}
};
main(){
vector<int> v = {1,2,3,4,NULL,2,4,NULL,NULL,NULL,NULL,4};
Solution ob;
TreeNode *root = make_tree(v);
vector<TreeNode*> trees = ob.findDuplicateSubtrees(root);
for(TreeNode *t : trees){
tree_level_trav(t);
}
}入力
[1,2,3,4,null,2,4,null,null,null,null,4]
出力
[4] [2, 4]
まとめ
本記事では、二分木から重複する部分木をすべて検出する方法を解説しました。ポイントは、後順走査によって各部分木を文字列にシリアライズし、ハッシュマップで出現回数を管理する点です。カウントがちょうど2になった時点でノードを結果に追加することで、同じ種類の重複を1つだけ返すという要件も満たせます。木の走査とシリアライズを組み合わせるこの手法は、部分木の比較が必要になるさまざまな応用問題にも役立ちます。
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