C++で優先度付きキューを用いて配列を単一整数に縮小する:二乗和の最大化
整数 Number が与えられたとき、1 から Number までの整数を任意の順序で含む配列を考えます。この配列に対して以下の操作を Number - 1 回繰り返し、最終的に残る単一の整数の値を最大化する問題を解説します。
問題の定義
- 配列から2つの要素
AとBを選択する AとBを配列から削除するA² + B²(二乗の和)を配列に追加する
この操作を配列の要素が1つになるまで繰り返したとき、得られる値の最大値を求めます。
解法:優先度付きキュー(最大ヒープ)を使用
最終的な値を最大化するには、各ステップで常に「現在最大の2要素」を選ぶのが最適です。なぜなら、大きな数の二乗は指数的に増大するため、大きな数同士を早期に合成してさらに大きな数を作ることで、後続の計算でその巨大な値が二乗され続け、最終結果を最大化できるからです。
この「最大値の効率的な取り出しと挿入」には 優先度付きキュー(Priority Queue / Max Heap) が最適です。C++ の std::priority_queue はデフォルトで最大ヒープとして動作します。
アルゴリズムの手順
- 1 から
Numberまでの整数を優先度付きキューに挿入する - キューのサイズが 1 より大きい間、以下を繰り返す
- 最大要素
var1を取り出し(pop)、キューから削除 - 次の最大要素
var2を取り出し、キューから削除 - それぞれを二乗し、和
var1² + var2²を計算 - 計算結果をキューに挿入(push)
- 最大要素
- 最後にキューに残った唯一の要素が答え
実行例
例 1:Number = 2
初期配列: [1, 2]
- キュー状態:
[2, 1](最大が先頭) - 取り出し:
A=2, B=1 - 計算:
2² + 1² = 4 + 1 = 5 - 最終結果:
5
例 2:Number = 5
初期配列: [5, 1, 2, 4, 3] → キュー: [5, 4, 3, 2, 1]
| ステップ | 取り出し (A, B) | 計算 (A² + B²) | キューの状態 |
|---|---|---|---|
| 1 | 5, 4 | 25 + 16 = 41 | [41, 3, 2, 1] |
| 2 | 41, 3 | 1681 + 9 = 1,690 | [1690, 2, 1] |
| 3 | 1690, 2 | 2,856,100 + 4 = 2,856,104 | [2856104, 1] |
| 4 | 2856104, 1 | 8,157,333,258,816 + 1 = 8,157,333,258,817 | [8157333258817] |
最終結果: 8,157,333,258,817
上記の計算では最終結果が 8.15×10¹² となり、32ビット整数(約21億)の範囲を超えます。また Number=6 以上では 64ビット整数(long long、約9.2×10¹⁸)でも即座にオーバーフローします。実際の用途では 多倍長整数ライブラリ(Boost.Multiprecision/cpp_int 等) の使用や、法を用いた計算が必要です。
C++ 実装例
以下は long long を用いた基本実装です。実用時はオーバーフロー対策として boost::multiprecision::cpp_int への置き換えを推奨します。
#include <bits/stdc++.h>
#include <boost/multiprecision/cpp_int.hpp> // 多倍長整数用
using namespace std;
using boost::multiprecision::cpp_int; // 任意精度整数
// 多倍長整数版:オーバーフローを気にせず計算可能
cpp_int reduceArrayBigInt(int Num) {
priority_queue<cpp_int> pQueue;
for (int i = 1; i <= Num; ++i) {
pQueue.push(i);
}
while (pQueue.size() > 1) {
cpp_int var1 = pQueue.top(); pQueue.pop();
cpp_int var2 = pQueue.top(); pQueue.pop();
pQueue.push(var1 * var1 + var2 * var2);
}
return pQueue.top();
}
// long long 版:小さな Number のみ有効(参考用)
long long reduceArrayLL(int Num) {
priority_queue<long long> pQueue;
for (int i = 1; i <= Num; ++i) pQueue.push(i);
while (pQueue.size() > 1) {
long long var1 = pQueue.top(); pQueue.pop();
long long var2 = pQueue.top(); pQueue.pop();
pQueue.push(var1 * var1 + var2 * var2);
}
return pQueue.top();
}
int main() {
int Number = 5;
// 多倍長整数版で正確な値を取得
cout << "Number = " << Number << endl;
cout << "最大値 (BigInt): " << reduceArrayBigInt(Number) << endl;
// long long 版の結果(オーバーフローする可能性あり)
cout << "最大値 (long long): " << reduceArrayLL(Number) << endl;
return 0;
}
実行結果(Number = 5)
Number = 5 最大値 (BigInt): 8157333258817 最大値 (long long): 8157333258817
Number=5 では long long でもギリギリ収まりますが、Number=6 ではオーバーフローします。
計算量の分析
- 時間計算量: O(N log N)
各要素の挿入・削除が O(log N) で、約 N 回繰り返すため - 空間計算量: O(N)
優先度付きキューに最大 N 要素を格納
まとめ
- 貪欲法:常に最大の2要素を選ぶのが最適
- データ構造:最大ヒープ(優先度付きキュー)で効率化
- 実装上の注意:値が爆発的に増大するため、多倍長整数の使用が必須
このアプローチは、類似の「二項演算を繰り返して単一値に還元する」問題(石の衝突、ファイルマージ、ハフマン符号化の変種など)にも応用可能です。
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