Pythonで二分木の合計がkとなるパスの数を数える方法
問題の概要
二分木と値 k が与えられたとき、あるノードからその子孫へ向かうパスのうち、通過するノードの値の合計がちょうど k と一致するものがいくつ存在するかを求める問題です。
例えば、次のような二分木を考えてみましょう。

このとき k = 5 であれば、出力は 2 となります。条件を満たすパスは [2, 3] と [1, 4] の2つだからです。
解き方のアプローチ:累積和(prefix sum)の活用
この問題は「累積和(prefix sum)」というテクニックを使うことで、全ノードを一度だけ訪問する効率的なアルゴリズムとして解けます。考え方の手順は以下の通りです。
count:マップ(Counter)を用意し、キー0に対して初期値1を設定しておきますans(答え)とprefix(ルートから現在ノードまでの累積和)を0で初期化しますdfs()関数を定義します。引数はノードです- ノードが null でない場合、以下の処理を行います:
prefixに現在のノードの値を加算するansにcount[prefix - target]を加算する(キーが存在しない場合は 0 として扱う)count[prefix]を +1 する- 左の子ノードに対して
dfsを再帰呼び出しする - 右の子ノードに対して
dfsを再帰呼び出しする count[prefix]を -1 して元に戻す(バックトラック)prefixからノードの値を減算して元に戻す(バックトラック)
- メイン処理では
dfs(root)を呼び出し、最後にansを返します
この手法のポイントは、「現在位置までの累積和から k を引いた値」が過去に何回現れたかを記録しておくことで、途中の任意の区間の合計が k に一致するかどうかを即座に判定できる点にあります。また、再帰から戻る際に count と prefix を元に戻すことで、別の枝のパス同士が互いに干渉しないようになっています。
実装例
それでは、実際のPythonコードを見てみましょう。
from collections import Counter
class TreeNode:
def __init__(self, data, left=None, right=None):
self.val = data
self.left = left
self.right = right
class Solution:
def solve(self, root, target):
count = Counter([0])
ans = prefix = 0
def dfs(node):
nonlocal ans, prefix
if node:
prefix += node.val
ans += count[prefix - target]
count[prefix] += 1
dfs(node.left)
dfs(node.right)
# バックトラック:状態を元に戻す
count[prefix] -= 1
prefix -= node.val
dfs(root)
return ans
ob = Solution()
root = TreeNode(3)
root.left = TreeNode(2)
root.right = TreeNode(4)
root.right.left = TreeNode(1)
root.right.left.right = TreeNode(2)
k = 5
print(ob.solve(root, k))
入力
root = TreeNode(3)
root.left = TreeNode(2)
root.right = TreeNode(4)
root.right.left = TreeNode(1)
root.right.left.right = TreeNode(2)
k = 5
出力
2
計算量について
このアルゴリズムは各ノードを一度だけ訪問するため、時間計算量は O(n) です。また、マップに保存される累積和のエントリ数は最大でもノード数に比例するため、空間計算量も O(n) となります。素朴な全パス列挙のアプローチ(O(n²)程度かかる場合がある)と比べて大幅に効率化されているのがわかります。
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