Javaのメモリ整合性エラーとは?マルチスレッドでの発生原因と対策を解説
マルチスレッドプログラミングを実装する際、あるスレッドが加えた変更が、別のスレッドからは見えない(可視化されない)ことがあります。これは、各スレッドが持つメモリの見え方が互いに一致していないことを意味し、この現象は「メモリ整合性エラー」と呼ばれます。
メモリ整合性エラーが発生する仕組み
CPUはメインメモリへのアクセスを、スレッドが実行した順序とは異なる順序で行うことがあります。これは主に書き込み操作の際に顕著で、CPUの待ち時間を避けるために行われます。
書き込み操作はアトミック(不可分)な操作です。つまり、あるスレッドが書き込みを行っている間、他のスレッドがその操作に割り込んで別の処理を実行することはありません。
さらに、書き込み操作が実行された順序は、関連する各CPUに対して一貫して維持されます。しかし、各CPUが他のCPUの書き込みタイミングを認識する方法は異なる場合があり、この認識のずれがメモリの不整合につながる可能性があります。
メモリ整合性エラーを回避するには
メモリ整合性エラーを防ぐためには、「happens-before(先行発生)関係」を確立する必要があります。これにより、あるスレッドによるメモリへの書き込みが、同じメモリに対して別のスレッドが行う読み取り操作から確実に参照できるようになります。
Javaでは、Threadクラスの「start()」メソッドと「join()」メソッドがhappens-before関係とみなされます。「start()」メソッドは、新しく作成されたスレッドの状態が呼び出し元から見えることを保証します。「join()」メソッドは、対象スレッドの処理結果が、その完了を待機しているスレッドから見えることを保証します。
コード例
import java.io.*;
class class_shared{
static int m=2;
void inc(){
for(int j=0;j<5;j++){
m = m+1;
System.out.println("After its increment is "+m);
}
}
void dec(){
for(int j=0;j<5;j++){
m = m-1;
System.out.println("After its decrement is "+m);
}
}
}
public class Demo{
public static void main(String[] args){
final class_shared my_inst = new class_shared();
Thread my_t_1 = new Thread(){
@Override
public void run(){
my_inst.inc();
}
};
Thread my_t_2 = new Thread(){
@Override
public void run(){
my_inst.dec();
}
};
my_t_1.start();
my_t_2.start();
}
}
出力
After its increment is 3 After its decrement is 2 After its decrement is 2 After its decrement is 1 After its increment is 3 After its decrement is 0 After its increment is 1 After its increment is 1 After its decrement is 0 After its increment is 2
コードの解説
「class_shared」という名前のクラスは、静的な整数値 m を定義しています。inc() メソッドは、数値を5回繰り返してインクリメントし、その都度結果をコンソールに出力します。もう一方の dec() メソッドも同様に5回ループし、毎回デクリメントして結果を表示します。
Demo クラスの main メソッドでは、class_shared のインスタンスを生成し、2つの新しいスレッドを作成します。それぞれのスレッドでは run() メソッドをオーバーライドしており、一方のスレッドは inc() を、もう一方のスレッドは dec() を呼び出します。最後に、両方のスレッドを「start()」メソッドで起動します。
このコードでは、共有変数 m へのアクセスが同期されていないため、2つのスレッドが同時に値を読み書きすることになります。その結果、出力の順序が実行ごとに変わったり、期待通りの増減にならないことがあり、まさにメモリ整合性の問題が現れる例となっています。実際の開発では、synchronized キーワードや AtomicInteger などの同期機構を用いて、このような不整合を防ぐことが推奨されます。
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