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DBMSにおける無損失分解と有損失分解の違いを具体例で解説

DBMSにおける分解とは

データベース管理システム(DBMS)における「分解」とは、1つのテーブルを複数のテーブルに分割する操作のことです。テーブルを適切に分割することで、データベース内の冗長性(重複データ)、更新時の異常、データの不整合を取り除き、保守性の高いデータベース設計を実現できます。

分解には主に以下の2種類があります。

  • 無損失分解(Lossless Decomposition)
  • 有損失分解(Lossy Decomposition)

無損失分解(Lossless Decomposition)

分解後のテーブル同士を結合したときに、元のリレーションRを完全に復元できる場合、その分解は「無損失」であるといいます。これは理想的な分解方法であり、分解によって情報が一切失われません。結合の結果として、元のリレーションとまったく同じものが得られます。

具体的な例を見てみましょう。

<社員情報>

社員ID氏名年齢所在地部署ID部署名
E001ジェイコブ29アラバマ州Dpt1オペレーション部
E002ヘンリー32アラバマ州Dpt2人事部
E003トム22テキサス州Dpt3財務部

このテーブルを、次の2つのテーブルに分解します。

<社員詳細>

社員ID氏名年齢所在地
E001ジェイコブ29アラバマ州
E002ヘンリー32アラバマ州
E003トム22テキサス州

<部署詳細>

部署ID社員ID部署名
Dpt1E001オペレーション部
Dpt2E002人事部
Dpt3E003財務部

次に、上記2つのテーブルに対して自然結合(Natural Join)を適用します。両テーブルには共通属性である「社員ID」が存在するため、結合が可能です。

結果は以下のようになります。

社員ID氏名年齢所在地部署ID部署名
E001ジェイコブ29アラバマ州Dpt1オペレーション部
E002ヘンリー32アラバマ州Dpt2人事部
E003トム22テキサス州Dpt3財務部

このように、結合の結果が元のリレーションと完全に一致しました。つまり、この分解は無損失分解であり、情報の損失は一切ありません。

有損失分解(Lossy Decomposition)

名前が示すとおり、リレーションを2つ以上のリレーショナルスキーマに分解した際、元のリレーションを復元しようとしたときに情報の損失が避けられない場合があります。これが有損失分解です。

具体的な例を見てみましょう。

<社員情報>

社員ID氏名年齢所在地部署ID部署名
E001ジェイコブ29アラバマ州Dpt1オペレーション部
E002ヘンリー32アラバマ州Dpt2人事部
E003トム22テキサス州Dpt3財務部

このテーブルを、次の2つのテーブルに分解します。

<社員詳細>

社員ID氏名年齢所在地
E001ジェイコブ29アラバマ州
E002ヘンリー32アラバマ州
E003トム22テキサス州

<部署詳細>

部署ID部署名
Dpt1オペレーション部
Dpt2人事部
Dpt3財務部

ここで問題が発生します。部署詳細テーブルには社員IDが含まれていないため、両テーブルをつなぐ共通のキーが存在せず、結合を行うことができません。

したがって、この分解は有損失分解となり、元のリレーションを復元することは不可能です。

まとめ:両者の違いと設計上のポイント

  • 無損失分解:分解後のテーブル間に共通属性(キー)があり、自然結合によって元のリレーションを完全に復元できる。
  • 有損失分解:共通のキーがなく結合できない、あるいは結合しても余分なタプルが生じるなど、元の情報を正確に復元できない。

データベースを正規化してテーブルを分割する際は、必ず無損失分解となるように設計することが重要です。分解前に、分割後のテーブル同士を結合できる共通属性が残るかどうかを必ず確認しましょう。

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