初めてのWebスクレイパー構築 第2回:Mechanizeでリンク操作・フォーム送信・ファイルアップロードを自動化する
このチュートリアルでは、Mechanizeを使ってリンクのクリック、フォームの入力・送信、ファイルのアップロードを行う方法を学びます。また、Mechanizeのページオブジェクトをスライス(抽出)する方法や、Google検索を自動化して結果を保存する方法も解説します。
扱うトピック
- 単一ページ vs ページネーション(複数ページ)
- Mechanize
- Agent(エージェント)
- Page(ページオブジェクト)
- Nokogiriのメソッド
- リンクの操作
- クリック(遷移)
- フォームの操作
単一ページ vs ページネーション
これまでNokogiriを使って単一ページのスクレイピングを行う基礎を学んできました。これは、複数ページからコンテンツを抽出するための良い足掛かりとなります。
今回解決したい問題は、140エピソード以上のコンテンツを取得することです。これらは単一ページに収まりきらないため、ページネーション(ページ送り)を扱い、コンテンツの「奥深く」まで追跡する方法を知る必要があります。
ここでNokogiriの役割は終わり、Mechanizeという強力なGemが登場します。
Mechanizeとは
Mechanizeは、Webサイトとのインタラクションを自動化するための多機能なツールです。Capybaraを使ったテストに似た機能を提供しますが、データ抽出に特化しています。
Nokogiriだけで単一ページを操作するのも素晴らしいですが、より複雑なデータ抽出にはさらなる馬力が必要です。Mechanizeを使えば、必要なだけページをクロールし、リンクのクリック、フォームの送信、Cookieの処理など、人間のブラウジング操作を模倣・自動化できます。非常に強力です!
このGemを使えば、ログインフォームに認証情報を入力し、プライベートなセッション内のコンテンツを取得することも可能です。Aaron Patterson氏もこのGemの作者の一人です。
Mechanize Agentのインスタンス化
Mechanizeを使い始めるには、まずAgentをインスタンス化します。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
このagentを使ってページを取得します。Nokogiriで行ったのと似ていますが、MechanizeはCookieなども自動で扱ってくれます。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
podcast_url = "https://betweenscreens.fm/"
page = agent.get(podcast_url)
ここでMechanizeエージェントがポッドキャストのページとそのCookieを取得します。
ページコンテンツの抽出
取得したページからコンテンツを抽出する前に、inspectメソッドで中身を確認してみましょう。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
podcast_url = "https://betweenscreens.fm/"
page = agent.get(podcast_url)
puts page.inspect
出力はかなり詳細です。Mechanize::Pageオブジェクトがどのような属性を持つか確認できます。このオブジェクトをスライスして、必要なデータを抽出するのに非常に便利です。
出力例
#<Mechanize::Page
{url #https://betweenscreens.fm/>}
{meta_refresh}
{title "Between | Screens "}
{iframes
#<Mechanize::Page::Frame
nil
"https://w.soundcloud.com/player/?url=https%3A//api.soundcloud.com/tracks/290328784&color=ff0000&auto...>
...
{links
#<Mechanize::Page::Link "Logo cube" "/">
#<Mechanize::Page::Link "fork!" "https://github.com/vis-kid/betweenscreens">
#<Mechanize::Page::Link "about" "pages/about/">
...
#<Mechanize::Page::Link "Older Stuff »" "page/2/">
...
{forms}>
HTMLそのものを見たい場合はbodyやcontentメソッドを使います。
some_scraper.rb
...
print page.body
...
また、GitHubのようなより複雑なページのMechanize::Pageオブジェクトを見ると、リンク、フォーム、iframeなど多様な要素が含まれていることがわかります。これらを把握しておくと、実際のスクレイピングで役立ちます。
エンコーディング、HTTPレスポンスコード、URI、レスポンスヘッダーなども簡単に取得できます。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
podcast_url = "https://betweenscreens.fm/"
page = agent.get(podcast_url)
puts 'Encodings'
puts page.encodings
puts 'Response Headers'
puts page.response
puts 'HTTP response code'
puts page.code
puts 'URI'
puts page.uri
出力例
Encodings
EUC-JP
utf-8
utf-8
Response Headers
{"server"=>"GitHub.com", "date"=>"Sat, 29 Oct 2016 17:56:00 GMT", "content-type"=>"text/html; charset=utf-8", ...}
HTTP response code
200
URI
https://betweenscreens.fm/
NokogiriのメソッドをMechanizeで使う
atsearch
Mechanizeは内部でNokogiriを使用しており、Nokogiriで学んだメソッドをMechanizeのページオブジェクトにも適用できます。一般的に、ページ遷移などのナビゲーションはMechanizeで、データ抽出はNokogiriのメソッドで行います。
at:最初にマッチした単一の要素を取得search:マッチするすべての要素を配列で取得
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
podcast_url = "https://betweenscreens.fm/"
page = agent.get(podcast_url)
first_title = page.at('h2.post-title')
all_titles = page.search('h2.post-title')
all_titles.each do |title|
puts title
end
puts " * "*33
puts first_title
出力例
<h2 class="post-title"><a href="episodes/144/">Randy J. Hunt</a></h2>
<h2 class="post-title"><a href="episodes/143/">Jason Long</a></h2>
...
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
<h2 class="post-title"><a href="episodes/144/">Randy J. Hunt</a></h2>
リンクの操作
linkslink_withlinks_with
Mechanizeの真骨頂はリンク操作にあります。ページ上のすべてのリンクを配列として取得できます。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
podcast_url = "https://betweenscreens.fm/"
page = agent.get(podcast_url)
puts "#{page.links}"
出力はページ上部から順に、すべてのリンク(Mechanize::Page::Linkオブジェクト)のリストになります。テキストのみを抽出することも簡単です。
some_scraper.rb
page.links.each do |link|
puts link.text
end
出力例
Logo cube
fork!
about
design
code
Randy J. Hunt
Jason Long
...
Older Stuff »
Exercise
Company benefits
...
特定のリンクを絞り込むには、findやlink_with、links_withを使います。テキストやhrefでフィルタリング可能です。
some_scraper.rb
# テキストで最初のリンクを取得
focus_link = agent.page.link_with(text: 'Focus')
# テキストでマッチするすべてのリンクから3番目を取得(インデックス2)
focus_link = agent.page.links_with(text: 'Focus')[2]
# hrefで指定
page = agent.page.link_with(href: '/episodes/95/')
page = agent.page.links_with(href: '/episodes/95/')
クリック(ページ遷移)
リンクをクリックして次のページへ遷移するにはclickメソッドを使います。遷移先のページでさらにリンクを取得するなど、チェーンでつなげられます。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
podcast_url = "https://betweenscreens.fm/"
page = agent.get(podcast_url)
# 'Focus'リンクをクリックし、遷移先のページのリンク一覧を取得
focus_links = agent.page.links.find { |link| link.text == 'Focus' }.click.links
puts focus_links
同一人物への複数のリンク(タグページとエピソードページなど)からそれぞれ遷移してリンクを収集する例:
some_scraper.rb
links = agent.page.links_with(text: "Some interviewee")
links.each do |link|
puts link.click.links
end
よく使う組み合わせのチートシート:
agent.page.links.find { |l| l.text == 'Focus' }
agent.page.links.find { |l| l.text == 'Focus' }.click
agent.page.link_with(text: 'Focus')
agent.page.links_with(text: 'Focus')[0]
agent.page.links_with(text: 'Focus')[1].click
agent.page.links_with(text: 'Focus')[2].click.links
agent.page.link_with(href: '/some-href')
agent.page.link_with(href: '/some-href').click
agent.page.links_with(href: '/some-href')
agent.page.links_with(href: '/some-href').click
フォームの操作
submitfield_withcheckbox_withradiobuttons_withfile_uploads
フォームの送信もMechanizeの得意分野です。Google検索を例に見てみましょう。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
google_url = "https://google.com/"
page = agent.get(google_url)
forms = page.forms
puts forms.inspect
formsメソッドでフォームの配列が返ります。フォーム名(ここでは"f")がわかればform('f')で特定のフォームを取得できます。
some_scraper.rb
search_form = page.form('f')
puts search_form.inspect
検索入力フィールドの名前がqであることがわかります。このフィールドに値をセットするのはRubyの属性代入と同じ感覚で行えます。
some_scraper.rb
search_form.q = 'New Google Search'
puts search_form.inspect
値がNew Google Searchに変わったことが確認できます。あとはsubmitして結果ページを取得するだけです。
some_scraper.rb
require 'mechanize'
agent = Mechanize.new
google_url = "https://google.com/"
page = agent.get(google_url)
search_form = page.form('f')
search_form.q = 'GitHub TouchFart'
page = agent.submit(search_form)
pp page.search('h3.r').map(&:text)
出力例
["GitHub - hungtruong/TouchFart: A fart app for the new Macbook ...",
"TouchFart/TouchFart at master · hungtruong/TouchFart · GitHub",
...]
他にもチェックボックス、ラジオボタン、セレクトボックス、ファイルアップロードなど、さまざまなフォーム要素を操作できます。
チェックボックス・ラジオボタンの操作
form.radiobuttons_with(name: 'gender')[3].check
form.checkbox_with(name: 'coder').check
セレクトボックス(ドロップダウン)の操作
form.field_with(name: 'countries').options[22].select
ファイルアップロード
form.file_uploads.first.file_name = "some-path/some-image.jpg"
まとめ
どうでしょう、魔法のような難しさはありませんね。これで基本的な武器は揃いました。NokogiriとMechanizeにはまだ奥深い機能がありますが、まずは実際に手を動かし、困った時にドキュメントを参照するのが上達の近道です。
このGemがいかにシンプルで強力かお分かりいただけたと思います。しかし「大いなる力には大いなる責任が伴う」の通り、法的な枠組み内で、APIが提供されていない場合の最終手段として使ってください。頻繁に使うツールではないかもしれませんが、本格的なスクレイピングが必要になったとき、これほど心強い味方はいません。
次回は、実際のプロジェクトとして、筆者のポッドキャストサイト(古いSinatra製)からデータをスクレイピングし、新しいMiddlemanサイト(Markdownファイルベース)へ移行する実例を紹介します。日付、エピソード番号、ゲスト名、見出し、サブ見出しなどを抽出します。お楽しみに!
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