Rubyのgemはどう動いている?仕組みの謎を解き明かす
Rubyのgemは、ほとんどの場合、何も意識しなくても問題なく動作します。しかし、この「魔法のような便利さ」には大きな落とし穴があります。トラブルが発生したとき、その原因を突き止めるのが非常に難しいのです。
gemで問題に遭遇することはそれほど多くありません。しかし、一度問題が起きると、Google検索も意外と役に立ちません。エラーメッセージが汎用的なため、考えられる原因がいくつも挙げられてしまうからです。そして、gemがRubyと実際にどう連携しているのかを理解していなければ、こうした問題を自力でデバッグするのはかなりの苦労になります。
gemは魔法のように見えるかもしれません。でも、少し調べてみれば、その仕組みは驚くほど簡単に理解できるものなのです。
gem installは何をしているのか?
Rubyのgemの実態は、「少量のメタデータと一緒にアーカイブされたコード」にすぎません。gemの中身のコードは、gem unpackコマンドで展開して確認できます。
~/Source/playground jweiss$ gem unpack resque_unit
Fetching: resque_unit-0.4.8.gem (100%)
Unpacked gem: '/Users/jweiss/Source/playground/resque_unit-0.4.8'
~/Source/playground jweiss$ cd resque_unit-0.4.8
~/Source/playground/resque_unit-0.4.8 jweiss$ find .
.
./lib
./lib/resque_unit
./lib/resque_unit/assertions.rb
./lib/resque_unit/errors.rb
./lib/resque_unit/helpers.rb
./lib/resque_unit/plugin.rb
./lib/resque_unit/resque.rb
./lib/resque_unit/scheduler.rb
./lib/resque_unit/scheduler_assertions.rb
./lib/resque_unit.rb
./lib/resque_unit_scheduler.rb
./README.md
./test
./test/resque_test.rb
./test/resque_unit_scheduler_test.rb
./test/resque_unit_test.rb
./test/sample_jobs.rb
./test/test_helper.rb
~/Source/playground/resque_unit-0.4.8 jweiss$
gem installは、最もシンプルに言えば、次のようなことを行っています。gemを取得し、そのファイル群をシステム上の特別なディレクトリへ配置します。gem environmentコマンドを実行し(INSTALLATION DIRECTORY:の行を確認)、gem installがgemをどこにインストールするのかを調べられます。
~ jweiss$ gem environment
RubyGems Environment:
- RUBYGEMS VERSION: 2.2.2
- RUBY VERSION: 2.1.2 (2014-05-08 patchlevel 95) [x86_64-darwin14.0]
- INSTALLATION DIRECTORY: /usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/gems/2.1.0
...
~ jweiss$ ls /usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/gems/2.1.0
bin bundler doc gems
build_info cache extensions specifications
インストールされたgemのコードは、すべてこのgemsディレクトリ以下に格納されています。
なお、これらのパスはシステムごとに異なり、Rubyのインストール方法(rvm、rbenv、Homebrewなど)によっても変わります。gemのコードがどこにあるのかを知りたいときは、gem environmentが頼りになります。
gemのコードはどうやってrequireされるのか?
gemの中のコードを使えるようにするため、RubyGemsはRubyのrequireメソッドをオーバーライドしています(core_ext/kernel_require.rb内で実装されています)。ソースコードのコメントにも、その意図がはっきりと記されています。
##
# When RubyGems is required, Kernel#require is replaced with our own which
# is capable of loading gems on demand.
#
# When you call <tt>require 'x'</tt>, this is what happens:
# * If the file can be loaded from the existing Ruby loadpath, it
# is.
# * Otherwise, installed gems are searched for a file that matches.
# If it's found in gem 'y', that gem is activated (added to the
# loadpath).
#
例えば、active_supportを読み込みたい場面を考えてみましょう。RubyGemsはまず、Ruby本来のrequireメソッドで読み込みを試みますが、次のようなエラーが発生します。
LoadError: cannot load such file -- active_support
from (irb):17:in `require'
from (irb):17
from /usr/local/bin/irb:11:in `<main>'
RubyGemsはこのエラーメッセージを受け取ると、今度はインストール済みのgemの中からactive_support.rbを探す必要があると判断します。そのために、該当するファイルを含むgemがないか、各gemのメタデータをスキャンします。
irb(main):001:0> spec = Gem::Specification.find_by_path('active_support')
=> #<Gem::Specification:0x3fe366874324 activesupport-4.2.0.beta1>
見つかったら、そのgemをアクティベート(有効化)します。これにより、gem内のコードがRubyのロードパス(requireで読み込めるディレクトリの一覧)に追加されます。
irb(main):002:0> $LOAD_PATH
=> ["/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/site_ruby/2.1.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/site_ruby/2.1.0/x86_64-darwin14.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/site_ruby", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/vendor_ruby/2.1.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/vendor_ruby/2.1.0/x86_64-darwin14.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/vendor_ruby", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/2.1.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/2.1.0/x86_64-darwin14.0"]
irb(main):003:0> spec.activate
=> true
irb(main):004:0> $LOAD_PATH
=> ["/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/gems/2.1.0/gems/i18n-0.7.0.beta1/lib", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/gems/2.1.0/gems/thread_safe-0.3.4/lib", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/gems/2.1.0/gems/activesupport-4.2.0.beta1/lib", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/site_ruby/2.1.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/site_ruby/2.1.0/x86_64-darwin14.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/site_ruby", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/vendor_ruby/2.1.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/vendor_ruby/2.1.0/x86_64-darwin14.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/vendor_ruby", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/2.1.0", "/usr/local/Cellar/ruby/2.1.2/lib/ruby/2.1.0/x86_64-darwin14.0"]
これでactive_supportがロードパスに加わったので、gem内のファイルを他のRubyコードと同じようにrequireできるようになりました。さらに、RubyGemsによって置き換えられる前のオリジナル版のrequireを直接呼び出すことさえ可能です。
irb(main):005:0> gem_original_require 'active_support'
=> true
面白い仕組みですね。
ちょっとした知識が大きな力になる
RubyGemsは複雑に見えるかもしれません。しかしその本質は、Rubyのロードパスを管理してくれているだけなのです。もちろん、すべてが単純というわけではありません。ここでは触れませんでしたが、RubyGemsはgem間のバージョン競合の解決、gemが提供する実行ファイル(railsやrakeなど)の管理、C拡張の取り扱いなど、さまざまな処理も担っています。
とはいえ、このレベルの基本的な知識だけでも十分に役立ちます。少しソースコードを読み、irbで実際に試してみれば、gemのソースコードに自信を持って踏み込めるようになるはずです。gemがどこに配置されているのかを把握できれば、RubyGemsがそれらを正しく認識しているかを確認できます。また、gemのロードの流れがわかれば、一見不可解なロードエラーの原因も掘り下げて調査できるようになります。
RailsやBundlerがgemをどのように扱っているのか、さらに詳しく知りたい方は、関連記事「Railsはどうやってgemを扱うのか?」もあわせてご覧ください。
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