Rubyの例外処理の裏側──rescueがどの例外を捕捉するかを決めるエレガントな仕組み
Rubyで例外処理を扱ったことがある方なら、rescueにクラスを指定して、どの例外を捕捉するか選べることをご存じでしょう。
begin
raise ArgumentError
rescue ArgumentError
# `ArgumentError` を捕捉する
end
さらに、親クラスを指定すると、その子クラスにあたる例外もまとめて捕捉されることもご存じのはずです。
begin
raise ArgumentError
rescue StandardError
# `ArgumentError` は `StandardError` を継承しているため、
# ここで捕捉される
end
ここでいう「親」「子」とは、単純にクラス継承の関係を指しています。Rubyのソースコードの奥深くには、次のような定義が存在します。
class ArgumentError < StandardError
...
end
興味深いトリック
ここで一つ疑問です。Rubyは、発生した例外が指定されたクラスを継承しているかどうかを、一体どうやって判断しているのでしょうか?
最も素直な発想としては、is_a?やkind_of?メソッドを使う方法が思い浮かびます。イメージとしてはこんな感じです。
if the_exception.is_a?(StandardError)
# rescue処理を行う
end
しかし実際のRubyはそうしていません。代わりに、より興味深い===演算子を採用しています。
if StandardError === the_exception
# rescue処理を行う
end
a === bという書き方に馴染みがない方のために説明すると、これは通常「bは、aが定義するグループに本質的に属するか?」という問いに答えるためのものです。具体例を見てみましょう。
(1..10) === 5 # true
('a'..'f') === "z" # false
String === "hello" # true
String === 1 # false
/[0-9]{3}/ === "hello123" # true
/[0-9]{3}/ === "hello" # false
そして重要なのは、===が==と同じくごく普通のRubyメソッドであるという点です。つまり、自分で定義し直すことができます。
class RedThings
def self.===(thing)
thing.color == :red
end
end
ここまでの情報を整理してみましょう。rescueは===を使って捕捉対象の例外を判定していること。そして、===は自由にオーバーライドできること。この2つを組み合わせれば、「どの例外を捕捉するか」をその場で動的に決定するクラスを作れるということになります。
class SevereMatcher
def self.===(exception)
exception.message =~ /severe/
end
end
begin
raise RuntimeError, "Something severe happened"
rescue SevereMatcher
# メッセージに "severe" という単語を含む例外を、
# クラスに関係なくすべて捕捉する
end
このトリックを一度知ってしまえば、あとは想像力次第です。
まとめ
正直に言えば、動的な例外マッチャーを作成する場面に遭遇することは、それほど多くないかもしれません。しかし、kind_of?ではなく===を使うといった一見些細な実装上の選択が、Rubyを大きく柔軟で面白い言語にしている好例として、この挙動は非常に興味深いと言えます。内部実装への理解が深まると、普段使っている機能の新たな可能性にも気づけるものです。
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