Linuxのhistoryコマンドを完全マスター:覚えておきたい15の強力なテクニックと実例
Linuxのコマンドラインを日常的に使っているなら、history(履歴)機能を効果的に活用することが生産性向上の大きな鍵となります。本記事で紹介する15の実例をマスターすれば、コマンドライン操作がこれまで以上に快適で楽しいものになるはずです。
1. HISTTIMEFORMATでタイムスタンプを表示する
通常、コマンドラインで「history」と入力すると、コマンド番号とコマンド内容が表示されるだけです。監査目的などでは、以下のようにタイムスタンプを併せて表示できると非常に便利です。
# export HISTTIMEFORMAT='%F %T ' # history | more 1 2008-08-05 19:02:39 service network restart 2 2008-08-05 19:02:39 exit 3 2008-08-05 19:02:39 id 4 2008-08-05 19:02:39 cat /etc/redhat-release
2. Ctrl+Rで履歴を検索する
これはおそらく最も使用頻度の高いhistory機能でしょう。一度実行した長いコマンドを再利用したいとき、キーワードで検索すれば全文を打ち直す必要はありません。Ctrl+Rを押してキーワードを入力してください。以下の例では「red」で検索し、履歴内の「cat /etc/redhat-release」というコマンドが表示されています。
# [コマンドプロンプトでCtrl+Rを押すと、 逆順検索(reverse-i-search)プロンプトが表示されます] (reverse-i-search)`red': cat /etc/redhat-release [注意:目的のコマンドが表示されたらEnterを押すと、 そのコマンドがそのまま実行されます] # cat /etc/redhat-release Fedora release 9 (Sulphur)
実行前にコマンドを編集したい場合もあります。たとえば「httpd」で検索すると、履歴から「service httpd stop」が表示されます。この状態で左矢印または右矢印キーを押すとコマンドが編集可能になり、「stop」を「start」に変更してから再実行できます。
# [コマンドプロンプトでCtrl+Rを押すと、 逆順検索プロンプトが表示されます] (reverse-i-search)`httpd': service httpd stop [注意:目的のコマンドが表示されたら左右どちらかの矢印キーを押すと、 実行前にコマンドを編集できます] # service httpd start
3. 直前のコマンドを素早く繰り返す4つの方法
さまざまな理由で直前のコマンドを繰り返し実行したい場面は多いものです。最後に実行したコマンドを再実行するには、次の4つの方法があります。
- 上矢印キーで前のコマンドを表示し、Enterで実行する。
- コマンドラインで「!!」と入力してEnterを押す。
- コマンドラインで「!-1」と入力してEnterを押す。
- Ctrl+Pで前のコマンドを表示し、Enterで実行する。
4. 履歴から特定のコマンドを実行する
以下の例のように、履歴の4番目のコマンドを再実行したい場合は「!4」と入力します。
# history | more 1 service network restart 2 exit 3 id 4 cat /etc/redhat-release # !4 cat /etc/redhat-release Fedora release 9 (Sulphur)
5. 特定の単語で始まる直前のコマンドを実行する
「!」に続けて、再実行したいコマンドの先頭の数文字を入力します。以下の例では「!ps」と入力してEnterを押すことで、「ps aux | grep yp」というpsで始まる直近のコマンドが実行されました。
# !ps ps aux | grep yp root 16947 0.0 0.1 36516 1264 ? Sl 13:10 0:00 ypbind root 17503 0.0 0.0 4124 740 pts/0 S+ 19:19 0:00 grep yp
6. HISTSIZEで履歴の保存行数を制御する
.bash_profileに以下の2行を追加し、bashシェルに再ログインすると設定が反映されます。この例では、bashの履歴に保存されるのは450件のみです。
# vi ~/.bash_profile HISTSIZE=450 HISTFILESIZE=450
7. HISTFILEで履歴ファイル名を変更する
デフォルトでは、履歴は~/.bash_historyファイルに保存されます。.bash_profileに以下の1行を追加してbashシェルに再ログインすると、履歴が.bash_historyではなく.commandline_warriorファイルに保存されるようになります。実用的な使い道はまだ見出せていませんが、ターミナルごとに異なる履歴ファイル名を使って、それぞれの端末から実行されたコマンドを追跡したい場合などに役立つかもしれません。
# vi ~/.bash_profile HISTFILE=/root/.commandline_warrior
履歴ファイル名を変更する明確な理由をお持ちの方は、ぜひその活用方法を教えてください。
8. HISTCONTROLで連続する重複エントリを排除する
以下の例ではpwdが3回入力されており、historyを実行すると3回連続で記録されているのがわかります。このような重複を排除するには、HISTCONTROLに「ignoredups」を設定します。
# pwd # pwd # pwd # history | tail -4 44 pwd 45 pwd 46 pwd [上記のようにpwdを3回実行すると、履歴には3つのpwdが記録される] 47 history | tail -4 # export HISTCONTROL=ignoredups # pwd # pwd # pwd # history | tail -3 56 export HISTCONTROL=ignoredups 57 pwd [上記のようにpwdを3回実行しても、履歴には1つのpwdしか記録されない] 58 history | tail -4
9. HISTCONTROLで履歴全体から重複を排除する
前述の「ignoredups」は、連続して実行された場合の重複しか除去できません。履歴全体から重複を排除したい場合は、HISTCONTROLに「erasedups」を設定します。
# export HISTCONTROL=erasedups # pwd # service httpd stop # history | tail -3 38 pwd 39 service httpd stop 40 history | tail -3 # ls -ltr # service httpd stop # history | tail -6 35 export HISTCONTROL=erasedups 36 pwd 37 history | tail -3 38 ls -ltr 39 service httpd stop [注意:pwdの後に実行されていた以前のservice httpd stopが消去されている] 40 history | tail -6
10. HISTCONTROLで特定のコマンドを履歴に記録させない
HISTCONTROLに「ignorespace」を設定したうえで、コマンドの先頭にスペースを1つ入力すると、そのコマンドは履歴に記録されなくなります。若手システム管理者の間では「履歴からコマンドを隠せる」と人気の機能ですが、ignorespaceの仕組みを理解しておくのは良いことです。ただし、ベストプラクティスとしては、意図的に履歴から何かを隠すことは避けるべきです。
# export HISTCONTROL=ignorespace # ls -ltr # pwd # service httpd stop [注意:serviceの先頭にスペースがあるため、 このコマンドは履歴に記録されない] # history | tail -3 67 ls -ltr 68 pwd 69 history | tail -3
11. -cオプションで過去の履歴をすべて消去する
過去の履歴をすべて消去しつつ、それ以降の履歴記録は継続したい場合があります。そんなときは以下のコマンドを使用します。
# history -c
12. 履歴コマンドから引数を流用する
履歴を検索しているとき、別のコマンドを実行しつつ、直前に検索したコマンドの引数だけを流用したいことがあります。
以下の例では、viコマンドに続く「!!:$」によって、直前のコマンドの引数が現在のコマンドに引き継がれています。
# ls anaconda-ks.cfg anaconda-ks.cfg # vi !!:$ vi anaconda-ks.cfg
次の例では、viコマンドに続く「!^」により、直前のコマンド(cpコマンド)の最初の引数が現在のコマンド(viコマンド)に引き継がれています。
# cp anaconda-ks.cfg anaconda-ks.cfg.bak anaconda-ks.cfg # vi !^ vi anaconda-ks.cfg
13. 特定のコマンドの特定の引数を置換して使う
以下の例では、「!cp:2」により、履歴内でcpで始まる直前のコマンドを探し、その2番目の引数をls -lコマンドに代入しています。
# cp ~/longname.txt /really/a/very/long/path/long-filename.txt # ls -l !cp:2 ls -l /really/a/very/long/path/long-filename.txt
同様に「!cp:$」を使うと、cpで始まる直前のコマンドの最後の引数(この例では上記と同じく2番目の引数)を取り出し、ls -lコマンドに代入できます。
# ls -l !cp:$ ls -l /really/a/very/long/path/long-filename.txt
14. HISTSIZEでhistory機能自体を無効化する
履歴機能を完全に無効化し、bashシェルに入力したコマンドを一切記憶させたくない場合は、HISTSIZEを0に設定します。
# export HISTSIZE=0 # history # [注意:historyを実行しても何も表示されない]
15. HISTIGNOREで特定のコマンドを履歴から除外する
pwdやlsといった基本的なコマンドで履歴を汚したくないこともあるでしょう。HISTIGNOREを使えば、履歴に記録したくないコマンドをまとめて指定できます。ただし注意点として、HISTIGNOREに「ls」を追加しても除外されるのは「ls」だけで、「ls -l」は除外されません。除外したいコマンドは正確に指定する必要があります。
# export HISTIGNORE="pwd:ls:ls -ltr:" # pwd # ls # ls -ltr # service httpd stop # history | tail -3 79 export HISTIGNORE="pwd:ls:ls -ltr:" 80 service httpd stop 81 history [注意:pwd、ls、ls -ltrは履歴に記録されていない]
おすすめの書籍
Ramesh Natarajan著『Bash 101 Hacks』。筆者はほとんどの時間をLinux環境で過ごしており、当然ながらBashコマンドラインとシェルスクリプトの大ファンです。15年前に各種*nix系OSで開発していた頃は、CシェルやKornシェルで多くのコードを書いていました。その後、システム管理者としてLinuxに携わるようになってからは、あらゆるタスクをBashシェルスクリプトで自動化するようになりました。そうした経験をもとに、Bashコマンドラインとシェルスクリプトに関する101の実践的な例を収録した電子書籍『Bash 101 Hacks』を執筆しました。Bashを本気でマスターしたいと考えているなら、ぜひ一読してみてください。Bashのコマンドラインとシェルスクリプトを自在に操れるようになるはずです。
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