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透過的データ暗号化(TDE)とは?Oracleデータベースの暗号化機能を徹底解説

Oracle®は、セキュリティ対策の一環として、Oracle 12cにおいて透過的データ暗号化(Transparent Data Encryption:TDE)機能を導入しました。この機能により、ユーザーは機密データに対して表領域レベルおよび列レベルの暗号化を有効にできるようになります。

TDEの概要

データを暗号化すると、許可されたユーザーやアプリケーションのみがそのデータにアクセスできるようになります。Oracleでは、認証・権限付与・監査のためのツールやプロセスがデータベースに対して提供されていますが、データを格納しているOSのデータファイル自体は保護対象外でした。そこでTDEが重要な役割を果たします。

『Oracle Database Advanced Security Guide(ASOAG)』には次のように記載されています。

「TDEは、データファイルに格納された機密データを暗号化します。不正な復号を防ぐため、TDEは暗号化キーをデータベース外部のセキュリティモジュール(キーストアと呼ばれます)に保存します。」

TDEに必要な権限

TDEを構成するには、まずユーザーにSYSKM管理権限を付与する必要があります。ASOAGでは、「パスワードファイルを作成し、ユーザーがSYSKMとしてパスワードを使ってデータベースに接続できるようにすること」が推奨されています。

なお、TDEの列暗号化や表領域暗号化を構成する際にはSYSKM権限は必須ではありませんが、表の列や表領域を暗号化するためには以下の権限が必要です。

  • CREATE TABLE
  • ALTER TABLE
  • CREATE TABLESPACE
  • ALTER TABLESPACE(オンラインおよびオフラインの表領域暗号化用)
  • ALTER DATABASE(高速オフライン表領域暗号化用)

これらの権限に加えて、TDEを有効にするためには、常にオープン状態にしておくウォレットを作成する必要があります。12cでは、このウォレットは「キーストア」とも呼ばれます。

TDEの2つの種類

TDEには主に2種類の暗号化方式があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. TDE列暗号化(カラム暗号化)

この方式は、クレジットカード番号や社会保障番号など、表内に格納された機密データを保護します。ASOAGによると、次のような仕組みになっています。

「2層のキーベースアーキテクチャを使用して、機密性の高い表の列を透過的に暗号化・復号化します。TDEマスター暗号化キーは、Oracleソフトウェアまたはハードウェアキーストアである外部セキュリティモジュールに格納されます。このTDEマスター暗号化キーがTDE表キーを暗号化・復号化し、さらにそのTDE表キーが表の列内のデータを暗号化・復号化します。」

画像出典:https://docs.oracle.com/database/121/ASOAG/introduction-to-transparent-data-encryption.htm#ASOAG10137

2. TDE表領域暗号化(テーブルスペース暗号化)

暗号化された表領域内に作成されたすべてのオブジェクトは、自動的に暗号化されます。これにより、表全体または複数の列をまとめて暗号化できます。ASOAGには以下のように記載されています。

「TDE表領域暗号化も、2層のキーベースアーキテクチャを使用して表領域を透過的に暗号化(および復号化)します。TDEマスター暗号化キーは外部セキュリティモジュール(ソフトウェアまたはハードウェアキーストア)に格納されます。このTDEマスター暗号化キーはTDE表領域暗号化キーを暗号化するために使用され、そのキーが表領域内のデータの暗号化・復号化に使用されます。」

画像出典:https://docs.oracle.com/database/121/ASOAG/introduction-to-transparent-data-encryption.htm#ASOAG10137

TDEを利用する目的

ASOAGでは、TDEを使用すべき理由として以下を挙げています。

  1. ストレージメディアやデータファイルが盗まれた場合でも、機密データを保護できる。
  2. セキュリティ関連の法令コンプライアンスへの対応を支援できる。
  3. アプリケーションデータを復号化するための補助的なビューなどを作成できる。データベースユーザーやアプリケーションに対して表データを透過的に復号化するため、アプリケーションの変更はほとんど、あるいは一切不要。
  4. データベースユーザーやアプリケーションユーザーは、アクセスしているデータが暗号化されていることを意識する必要がない。
  5. オンライン再定義を使用すればダウンタイムなしでデータを暗号化でき、オフラインモードでの暗号化にも対応。
  6. 暗号化データを扱うためにアプリケーションの変更は不要。暗号化・復号化はデータベース側で処理される。
  7. TDEマスター暗号化キーおよびキーストアの管理操作は、Oracle Databaseによって自動化されている。

TDEの構成手順

以下の手順に従って、TDEとウォレットを構成します。

ステップ1:ウォレット(キーストア)の場所を作成する

mkdir -p /u01/oracle/wallet

ステップ2:sqlnet.oraにウォレットの場所を設定する

cat $ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.ora
# sqlnet.ora Network Configuration File: /home/oracle/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/network/admin/sqlnet.ora
# Generated by Oracle configuration tools.
NAMES.DIRECTORY_PATH= (TNSNAMES, EZCONNECT)
ENCRYPTION_WALLET_LOCATION =
(SOURCE =(METHOD = FILE)(METHOD_DATA =
(DIRECTORY = /u01/oracle/wallet)))

ステップ3:キーストアを作成する

SQL> ADMINISTER KEY MANAGEMENT CREATE KEYSTORE '/u01/oracle/wallet/' IDENTIFIED BY Oraclewallet#123 ;
keystore altered.
SQL> host ls /u01/oracle/wallet/
Oraclewallet.P12

ステップ4:キーストアをオープンする

SQL> ADMINISTER KEY MANAGEMENT SET KEYSTORE OPEN IDENTIFIED BY Oraclewallet#123;
keystore altered.

ステップ5:キーをアクティブ化する

SQL> SET LINESIZE 100
SELECT con_id, key_id FROM v$encryption_keys;

no rows selected
SQL> ADMINISTER KEY MANAGEMENT SET KEY IDENTIFIED BY Oraclewallet#123 WITH BACKUP;
keystore altered.
SQL> SET LINESIZE 100
SELECT con_id, key_id FROM v$encryption_keys;

CON_ID KEY_ID
---------- ------------------------------------------------------------------------------
0 HTDRKP*%GRLOHNRWMrX2QAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
SQL> SET LINESIZE 200
COLUMN wrl_parameter FORMAT A50
SELECT * FROM v$encryption_wallet;

WRL_TYPE      WRL_PARAMETER                                                     STATUS             
WALLET_TYPE              WALLET_OR FULLY_BAC     CON_ID
-------------------- -------------------------------------------------- ------------------------------ -------------------- --------- --------- ----------
FILE                   
/u01/oracle/wallet/                                             OPEN       
PASSWORD        SINGLE   
NO                  0

ステップ6:暗号化された表領域を作成する

SQL> CREATE TABLESPACE ENCRYPTION_TEST 
datafile '/u01/oracle/app/oracle/oradata/db/encrytest.dbf' size 2G 
ENCRYPTION USING 'AES256'
DEFAULT STORAGE(ENCRYPT);
Tablespace created.
SQL> create table ENCRYPTION_EMP(
empno   Number(3),
Name     varchar(10)
) tablespace ENCRYPTION_TEST;
Table created.
SQL> select tablespace_name,encrypted from dba_tablespaces where tablespace_name='ENCRYPTION_TEST';
TABLESPACE_NAME              ENC
------------------------------ ---
ENCRYPTION_TEST                           YES

ステップ7:暗号化列を含む表を作成する

SQL> CREATE TABLE employee (
first_name VARCHAR2(128),
last_name VARCHAR2(128),
empID NUMBER,
salary NUMBER(6) ENCRYPT
);
Table created.
SQL> select owner,table_name,column_name,encryption_alg from dba_encrypted_columns where table_name='EMPLOYEE';
OWNER TABLE_NAME COLUMN_NAME ENCRYPTION_A
---------- ------------ ------------ -----
RAJ EMPLOYEE SALARY AES 192 bits
key

ステップ8:自動ログインを有効にする

SQL> SELECT * FROM v$encryption_wallet;
WRL_TYPE      WRL_PARAMETER       STATUS       WALLET_TYPE     WALLET_OR     FULLY_BAC     CON_ID
----------    ------------------- ------------ --------------- ------------- ------------- ----------
FILE          /u01/oracle/wallet/   OPEN         PASSWORD      SINGLE         NO            0

上記の出力ではwallet_typePASSWORDになっています。この場合、データベースを再起動するたびに、キー(ウォレット)を明示的にオープンする必要があります。これを避けるには自動ログインを有効にしましょう。自動ログインを有効にすると、データベースの再起動時にウォレットが自動的にオープンされます。

まとめ

TDEを活用すれば、高度に機密性の高いデータを安全に保護できます。仮にデータファイルやストレージメディアが盗難に遭ったとしても、復号化キーを持つユーザー以外はデータにアクセスできないため、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

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