Androidで使えるおすすめターミナルエミュレータアプリ4選
Linuxは、開発者やいじり好きのユーザーに愛されるデスクトップOSとしてよく知られています。その理由は、オープンな性質と豊富なツール群にあり、ユーザーはPCのポテンシャルを最大限に引き出し、あらゆるタスクを効率的にこなせます。しかし、手元にあるのがスマートフォンだけという場面もあるでしょう。
幸い、Androidはオープンなプラットフォームであるため、そのLinux由来のルーツを活かすことができます。本記事で紹介するターミナルアプリを使えば、Android端末をデスクトップ環境にも匹敵する頼もしいマシンへと変身させられます。
1. Termux
Termuxは単なるターミナルエミュレータではなく、完全なLinux環境です。Termuxをインストールすると、Android端末上で最小構成のLinuxシステムがアプリとして動作します。デフォルトでBashシェルが使え、ほとんどのLinuxコマンドやユーティリティが期待どおりに機能します。
また、画面上にCtrl・Alt・Escキーや矢印キーが用意されているため、物理キーボードがなくてもショートカット操作を入力しやすくなっています。
一般的なLinuxシステムと同様にパッケージマネージャーを備えている点は、Termux最大の強みといえるでしょう。パッケージマネージャーを使えば、Zshやfishといったシェル、VimやEmacsなどのソースコードエディタ、SSHクライアント・サーバーをインストールできます。さらに、FFmpegやImageMagickのようなツール、C、Ruby、Perl、Pythonなどのプログラミング言語も利用可能です。
適切なコマンドとウィンドウマネージャー、VNCビューアーを組み合わせれば、Termux内にグラフィカル環境を構築することもできます。これにより、GIMPなどの本格的なLinuxアプリを、まるでPC上のように動かせるのです。
非常に強力なアプリですが、初心者には少し取っつきにくい面もあります。詳しい使い方は、Termuxでのコマンドライン操作ガイドなどを参考にするとよいでしょう。
なお、2021年5月以降、Playストアの方針変更によりTermuxの機能が損なわれる恐れがあるため、当面の間Playストアでの更新は停止されています。最新版は、オープンソースのAndroidアプリマーケットであるF-Droidから入手してください。
2. JuiceSSH
名前のとおり、JuiceSSHはSSHに対応したターミナルエミュレータで、TelnetやMoshにも対応しています。主な用途はリモート接続で、ローカルネットワーク上の自分のPCや遠隔地のサーバーに接続できます。
強力な暗号化に対応しているため、第三者に通信を覗き見られる心配なく、安全にリモートサーバーへ接続できるのが魅力です。
ターミナルとしては、フォントやテーマをカスタマイズできるフルカラーのコンソールを提供します。Ctrl・Esc・Alt・Tabキーや矢印キーのソフトキーも備えており、外部キーボードがあればそちらを使うことも可能です。
JuiceSSHにはローカルシェルを開く機能もあり、Bashと標準ユーティリティにアクセスできます。ただし追加パッケージのインストールはできないため、利用できるのは最小限のLinux環境にとどまります。
アプリ内ではプラグインを追加して機能を拡張できます。たとえば、LinuxサーバーのCPU・メモリ・ネットワーク・ディスク使用量を表示するパフォーマンスモニターなどがあります。Taskerプロファイルと連携できるプラグインもあり、Taskerの強力な自動化機能を活用できます。
買い切りでプレミアム機能も解放されます。複数デバイス間で保存済みの接続情報や設定をバックアップ・同期できるほか、Amazon AWSとの統合、コマンドやスクリプトをスニペットとして保存して素早く呼び出す機能などが使えるようになります。
Androidはそれ自体優れたプラットフォームですが、セキュリティ機構の影響でLinuxプログラムが正常に動かないこともあります。そんなときは、より柔軟なデスクトップOSが動くリモートのPCやサーバーで作業するのが得策です。JuiceSSHはまさにそのためのアプリなので、該当するニーズがあればぜひ試してみてください。
3. Qute
Androidにはシェルと多くの標準Unixユーティリティがプリインストールされていますが、通常ユーザーはそれらにアクセスできません。Quteを使えば、PCと同じようにこれらのコマンドへアクセスして活用できます。
Quteはシンプルな作りのアプリです。ターミナルエミュレータに加え、ping、traceroute、netstat、ifconfig、mkdirなどのツールを提供します。コマンドの自動補完機能で目的のコマンドを素早く見つけられ、セミコロンで区切って入力すれば複数のコマンドを連続実行することも可能です。
特筆すべきはBashスクリプトエディタです。好きなシェルスクリプトを作成・編集・保存できるうえ、端末の起動時に自動実行するよう設定することもできます。
基本的なUnixツールと、余計な干渉のないターミナルが欲しいだけであれば、Quteは十分選択肢になり得ます。
4. LADB
LADBはここで紹介した他のアプリとは少し毛色が違います。LinuxターミナルのエミュレートやSSHクライアントの提供ではなく、Android Debug Bridge(ADB)のシェルへのアクセスを可能にするアプリです。PCなしで、スマホ本体から直接ADBコマンドを実行できます。
これは、アプリのライブラリ内にADBサーバーをバンドルすることで実現しています。通常ADBの動作にはUSB接続が必要ですが、LADBはAndroid 11で導入された「ワイヤレスデバッグ」機能を利用してこれを回避しています。仕組みとしては、ワイヤレス接続をエミュレートし、ADBサーバーにクライアントが別デバイスであると思わせる形です。
端末上のADBシェルでできることは多岐にわたります。画面録画、ブロートウェア(不要なプリインストールアプリ)の削除、アプリ権限の変更、さらにはコマンドラインからのSMS送信まで可能です。
ワイヤレスADBの利用にはAndroid 11が必要ですが、Android 10でも有効化できます。その場合は、まずAndroid端末をPCに接続し、コマンドラインで「adb tcpip 5555」と入力します。これにより、端末を再起動するまでワイヤレスADBが有効になります。
正直なところ、この方法ではPCが必須となるため、アプリの本来の趣旨と矛盾してしまいます。ただ、今後対応端末が増えていけば、ネイティブにこの機能を活用できるようになるでしょう。
Androidスマホを今以上に強力なツールへ
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