初心者向けガイド:Debianをパソコンに簡単にインストールする手順を徹底解説
Debianは、Linuxディストリビューションの中でも最も歴史が古く、人気の高いOSの一つです。しかし「技術者向けで難しい」というイメージを持たれがちです。実際には、インストーラーの手順に沿って丁寧に進めれば、誰でも簡単にDebianを導入できます。この記事では、あなたのマシンにDebianをセットアップして起動するまでの流れを、ステップごとにわかりやすく解説します。
Debianとは?
Debianは1993年、Ian Murdock(イアン・マードック)によって創設されました。プロジェクト名は、彼の名前と当時の恋人(後の妻)であるDeborah(デボラ)の名前を組み合わせたものです。Murdockは、GNUプロジェクトと同じくオープンで自由なソフトウェアに徹底的にこだわるLinuxディストリビューションを目指していました。リーダーは時代とともに交代してきましたが、Debianは今もなお「ユニバーサル・オペレーティング・システム」であることを掲げ続けています。
安定性への強いこだわりと、Intel以外の複数のCPUアーキテクチャへの対応で知られるDebianは、他の人気Linuxディストリビューションの基盤にもなっています。特に有名なのがUbuntuで、Debianをベースに開発されています。
Debianを動かすために必要なもの
Debianのシステム要件はシンプルです。対応しているハードウェアアーキテクチャを持つマシンがあればよく、現在主流のプロセッサはほぼすべてサポートされています。必要なメモリ容量やディスク容量は、インストールするシステムの種類によって異なります。
Debianプロジェクト自身の推奨値としては、最小構成のインストールでRAM 780MB以上、ストレージ920MB以上となっています。フルデスクトップ環境を構築する場合は、RAM 1GB以上(2GB推奨)、ディスク容量10GB以上が目安です。近年のPCであれば、これらの要件を十分に満たせるでしょう。
ステップ1:インストールメディアのダウンロード
Debianのインストールの第一歩は、自分のマシン用のインストールイメージをダウンロードすることです。デフォルトでは、ダウンロードリンクをクリックするとIntel x86-64アーキテクチャ向けの「netinstall」イメージが取得されます。これは最小限のイメージで、インストーラーを起動し、残りのシステムを必要に応じてリポジトリからダウンロードする仕組みです。
ダウンロード: Debian公式サイト
別のアーキテクチャをお使いの場合や、より完全なイメージが必要な場合は、公式サイトに他のインストールイメージへのリンクが用意されています。ダウンロード後、ISOイメージをUSBメモリなどインストールに使うメディアに書き込みましょう。WindowsならRufus、macOSやLinuxならddコマンドやbalenaEtcherなどのツールが便利です。
ステップ2:Debianのインストール
インストールメディアから起動すると、ブートメニューが表示されます。グラフィカルインストール、テキストベースのインストール、詳細オプション、高コントラスト表示のインストールメニュー、ヘルプ、音声合成を使ったインストールなどから選択できます。
最初の選択項目は言語です。日本語ユーザーであれば「Japanese」を選びましょう。次にロケーション(場所)を選択します。まず自分のいる国を選び、その後キーボードレイアウトを選択します。
ここからインストーラーがハードウェアをスキャンし、各種コンポーネントを自動的に読み込みます。
続いて、マシンのホスト名(ネットワーク上でのコンピュータ名)を決めます。デフォルトは「debian」です。次にドメイン名を入力します。ローカル環境のマシンであれば、「.local」のように任意の名前を付けて問題ありません。
次に、root(管理者)パスワードの設定を求められます。このパスワードは管理作業を行う際に必要となる、非常に重要なものです。
ただし、このステップをスキップすることも可能です。rootパスワードを設定しない場合、最初に作成するユーザーが管理者権限を持つユーザーとなり、コマンドラインではsudoコマンドと自分のパスワードで管理作業を行うことになります。覚えるパスワードが一つで済むため、こちらの方が実用的だと言われています。
続いて、最初のユーザーの氏名(フルネーム)を入力します。次の画面では、システムへのログインに使う短いユーザー名を設定します。rootパスワードと同様、確認のためパスワードは2回入力します。
その後、タイムゾーンを選択します。選択肢は、前のステップで指定した地理的な場所によって変わります。自分に合ったものを選びましょう。
次の画面はパーティションの設定です。ディスク全体をDebianに使う場合は、インストーラーが提案する自動パーティショニング「ガイド付き - ディスク全体を使う」を選択するのが簡単です。
次の画面で、ルート(/)パーティションとスワップパーティションからなるパーティション構成を承認します。既存データが消去される可能性があるため、インストーラーが最終確認を求めてきます。新規インストールでデータがない場合は、そのまま進めて問題ありません。
ここからインストーラーが最小限のベースシステムをインストールします。完了後、追加のインストールメディアを使用するかどうか尋ねられるので、「いいえ」を選択しましょう。
次はミラーサイトの選択です。ここでも自分に最も近い場所を選ぶのがおすすめです。デフォルトは米国のミラー(us.debian.org)ですが、日本在住の方は日本のミラー(ftp.jp.debian.orgなど)を選ぶとダウンロードが速くなります。
その後、プロキシサーバーの設定を求められますが、必須ではないため、特別な理由がなければスキップして構いません。
続いて、パッケージ管理システムの設定に移ります。「popularity contest(人気調査)」に使用状況を送信するかどうかも選択できます。不要であればスキップしてください。
最後に、どのようなシステムをインストールするかを選択します。デフォルトではGNOMEデスクトップ環境と標準システムユーティリティがチェックされています。デスクトップ用途ならそのままでOKです。WebサーバーとしてDebianを使う予定があれば、対応する項目にチェックを入れると便利です。ダウンロードとインストールには多くのパッケージが含まれるため、ここには時間がかかります。
ソフトウェアのインストールが完了したら、最後のステップはGRUBブートローダーのインストールです。ディスク全体にインストールした場合は安全に実行できます。デュアルブート環境を構築している場合も、起動時にOSを選択できるようになるので、GRUBのインストールを忘れずに行いましょう。
これでDebianシステムを起動できるようになりました。再起動するとブートメニューが表示され、そのまま起動します。続いてログイン画面が現れるので、インストール時に設定したユーザー名とパスワードを入力すれば、Debianのデスクトップが表示されます。
ステップ3:APTでソフトウェアを追加インストール
どんなOSでも、初期状態のままで完璧ということはありません。新しいDebianシステムには、追加でソフトウェアをインストールしたくなるはずです。方法は主に2つあります。1つ目は、「ソフトウェア」アプリを使ったGUIでのインストールです。
GNOMEの場合、「アクティビティ > アプリケーションを表示する」と進み、「ソフトウェア」をクリックします。するとグラフィカルなパッケージインストーラーが起動します。
カテゴリを閲覧したり、検索アイコンをクリックして目的のアプリを探したりできます。「インストール」ボタンを押すとパスワードの入力を求められ、入力後にインストールが始まります。
もう1つの方法は、コマンドラインを使ったインストールです。まず最初に、システムを最新の状態にしておきましょう。以下のコマンドを実行します。
sudo apt update && sudo apt upgrade
このコマンドは、更新されたパッケージを確認してインストールします。「ソフトウェア」アプリと同様、sudoコマンドを使用しているため、パスワードの入力を求められます。
例えばChromiumブラウザをインストールしたい場合は、ターミナルを開いて次のコマンドを入力します。
sudo apt install chromium
Debianの世界を楽しんで探索しよう!
これでDebianシステムのセットアップは完了です。あとは自由に探索してみてください。さらに読み進めれば、Debianについての知識を深め、なぜ多くのLinuxユーザーが仕事用のディストリビューションとしてDebianを選ぶのか、その理由もきっと見えてくるでしょう。
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