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Microsoftの無料「PC Manager」は本当にPCを速くできるのか?徹底検証

Windowsパソコンの新古を問わず、日常的な作業からゲームや動画編集といった負荷の高い処理まで、動作の高速化は常に歓迎されるものです。Ashampoo WinOptimizer、CCleaner、Iolo System Mechanicなどのサードパーティ製ユーティリティもPC性能の向上をうたっていますが、多くは有料であり、他のシステムソフトウェアと干渉するケースもあります。

そんな悩みを解決すべく、Microsoftは無料の「PC Manager」アプリを提供しています。コントロールパネルのパフォーマンスオプションやストレージセンサーの設定など、さまざまな最適化機能をひとつの場所にまとめたツールです。今回は「ワンクリックでパフォーマンスを向上させる」という謳い文句を実際に検証しました。

Microsoft PC Managerの導入方法

PC ManagerはMicrosoft Storeからダウンロードでき、Windows 10と11の両方に対応しています。ArmベースのPCでも従来のx86 PCでも動作します。なお、まだWindows 10を使っている場合は、セキュリティ対策を十分に行うことをおすすめします。

初回起動時にはウェルカム画面が表示され、Microsoftアカウントへのサインイン時に自動起動するオプションなどが提示されます。Windowsの設定を既定値に戻すチェックボックスもありますが、自分好みに設定済みだったため筆者は選択しませんでした。これらのチェックボックスはデフォルトでオンになっているため、不要なら必ず解除しましょう。

ウェルカム画面を進むと、非常にすっきりとしたデザインのメイン画面が表示されます。

PC Managerでできること

PC Managerには以下の機能が搭載されています。

  • PCブースト: システムのクリーンアップとパフォーマンスの最適化を行います。
  • ヘルスチェック: PCの問題やマルウェアをスキャンします。
  • ストレージ管理: 設定アプリのストレージセンサーにも自動クリーンアップ機能がありますが、ここではさらに踏み込んだ操作が可能です。
  • ポップアップ管理: 集中を妨げるアプリの通知を減らせます。
  • ツールバー: システムの状態を表示するミニツールバーを表示できます。音声・動画の自動字幕起こしやサウンドレコーダーなど、システムユーティリティのツールボックスも備えています。

以下、それぞれの機能を実際に試した結果をご紹介します。

PCブーストでどれだけ速くなる?

PC Managerの画面で最も目を引くのが、大きな水色の「ブースト」ボタンです。押すと、不要なプロセスを終了し、一時ファイルを削除してシステムメモリを解放します。また、「スマートブースト」を設定すれば、メモリ使用量の高まりを検知して自動的にブーストを実行してくれます。

筆者はブースト実行前後でタスクマネージャーを確認し、システムメモリ使用量が5%減少することを確かめました。さらに、テストPC(Windows 11 / Core i7第12世代3.6GHz / NVIDIA GeForce RTX 3060 / RAM 16GB / Samsung PM9A1 PCIe 4.0 NVMe SSD 512GB)で、PCMark 10のベンチマークを実行して比較しました。

その結果、ブースト後の総合スコアはわずか9ポイントの改善にとどまりました。大きな差ではありませんが、サブスコアにはやや違いがあります。最も改善が大きかったのはビデオ会議スコアの5.3%向上で、文章作成は1.8%、写真編集は0.5%増加しました。一方で、表計算は2.7%低下し、動画編集も1.9%低下しました。

体感できるほどの劇的な変化はありませんでしたが、スペックの低いPCやゴミファイルで肥大化したPCであれば、効果はより顕著に現れる可能性があります。

ヘルスチェック

地味に聞こえるかもしれませんが、ヘルスチェックはこのユーティリティの中で最も有用な機能のひとつです。システムコンポーネントのチェック状況がアニメーションで視覚的に表示され、その後、改善点をまとめたレポートを生成してくれます。

カテゴリを選択して「今すぐ最適化」をクリックすると、最適化が実行されます。筆者の環境では、大量のストレージ消費と利用履歴(プログラムが残す小さなファイルや設定)が検出され、30日以上使っていないアプリのアンインストール候補もいくつか挙げられました。ネットワークの状態もチェックされ、筆者の環境は優良状態を示す緑色で表示されました。

各カテゴリの横にある矢印をクリックすると詳しい説明が表示されます。「既定に戻す」設定の内容を確認したところ、タスクバーのリセットとPC Managerの自動起動有効化でした。どちらも望まなかったため解除しました。

画面を下にスクロールすると、マザーボードのモデル、ネットワークアダプター、サウンドカードなどのシステム情報も確認できます。また、配信の最適化ファイル、DirectXシェーダーキャッシュ、一時ファイル、サムネイルファイルなど、削除可能なアプリデータの一覧も表示され、それぞれ個別に最適化を実行できます。

推奨されたすべての最適化を実行したところ、9.1GBのディスク領域を解放し、2,915件の利用履歴を削除できました。その後の再スキャンでは、さらに15.3MBの空き容量と3件の利用履歴を追加削除。最初のスキャンに比べれば微々たるものですが、少しでもリソースを絞り出さない手はありません。

この最適化後にPCMarkを再び実行したところ、ブーストのみの場合を大きく上回る48ポイントの改善が見られました。サブスコアに大きな変化はなく一部は若干低下しましたが、全体のパフォーマンスを近似する総合スコアは上昇したということです。

詳細クリーンアップ

「詳細クリーンアップ」機能では、さらに13GBもの削除候補が見つかりました。その多くはキャッシュなどのアプリデータで、最大の犯人は778MBものキャッシュを抱えていたSlackでした。ログファイル、一時ファイル、ごみ箱のファイル、ウィジェットデータといった不要なシステム項目もまとめて検索してくれます。

ストレージ管理

「ストレージ管理」ページでは、PCのストレージをさらに深く掘り下げられます。ドライブの使用状況が、アプリ、その他、ごみ箱、システム、ユーザー別にグラフで表示されます。メインウィンドウのグラフをクリックすると専用の「ストレージ概要」ウィンドウが開き、巨大ファイルの検索・クリーンアップ、重複ファイルの削除、ダウンロードの管理が行えます。特に便利なのが「スマート選択」オプションで、重複ファイルを一括除外できるため、1つずつ確認する手間が省けます。

プロセス・スタートアップ・アプリ管理

PC上級者なら、応答しないプロセスの終了にタスクマネージャーを使うのはお馴染みですが、PC Managerなら「アプリ」セクションの各項目に「終了」ボタンが用意されており、よりシンプルに操作できます。閉じたつもりでもプロセスが裏で動き続けるアプリ(Adobe Creative Cloudが有名です)対策に特に役立ちます。ただし並べ替えはアルファベット順のみで、タスクマネージャーのようなCPU使用率やメモリ使用量、発行元でのソートには対応していません。

スタートアップ時に自動起動するアプリの制御も、PC Managerとタスクマネージャーの両方で可能です。こちらもPC Managerの方がシンプルですが、ソートオプションは少なめです。

「アプリ」セクションには「詳細アンインストール」オプションもあります。多くのサードパーティ製クリーンアップツールに共通する機能で、アプリ本体だけでなく、レジストリエントリや残存ファイルまで削除してくれます。アンインストールしたつもりでも、ドライブにどれだけデータが残っているのか、驚くかもしれません。

最後に紹介するのが「ツールボックス」です。CPU使用率やネットワークトラフィックなどのシステム状態を表示する画面上のツールバーを有効化できます(検索はEdge経由)。電卓、字幕、メモ帳のほか、通貨換算や天気予報などのWebベースのアイテムを追加・削除できます。非表示を選択しない限り、ツールバーは常にアプリウィンドウの手前に表示されます。

システム保護

このセクションは、Windows標準のセキュリティ機能へのリンク集となっています。ここからウイルススキャン、OSの更新、既定値への復元などが行えます。ポップアップブロッカーもありますが、これはWebサイトではなくアプリケーション向けのものです。「タスクバーの修復」は既定のオプションをリセットするだけで、「ネットワークチェック」は前述のヘルスチェックとほぼ同等の内容です。

PC Managerはレジストリに干渉しない

一部のサードパーティ製クリーンアップツールと異なり、PC Managerは「詳細アンインストール」でアプリのエントリを削除する場合を除き、システムレジストリには一切手を加えません。レジストリとは、Windowsがアプリ、ハードウェア、設定、システム能力に関するあらゆるデータを保存する重要な場所です。

正直なところ、レジストリの最適化を試みないのは賢明な判断です。Microsoft自身、レジストリに干渉するユーティリティの使用を推奨していません。実際、その種のシステムクリーンアップツールの多くが、マルウェアやランサムウェアだった事例も少なくありません。

PC Managerとプライバシー

PC ManagerはPC上のシステムリソースやアプリにアクセスできますが、他のMicrosoft製品と同じプライバシーポリシーに従います。このアプリがMicrosoft中国によって開発・配布されていることに懸念を持つ人もいるかもしれませんが、Microsoftのお墨付きを得た製品であることには変わりなく、Microsoftは中国に他の製品を開発するR&D拠点を置いています。

アプリには以下の権限が付与されています。

  • すべてのシステムリソースを使用する
  • 最高権限で実行されるサービスをマシンにインストールする
  • マシンにサービスをインストールする
  • 他のアプリを直接管理する

PC Managerはローカルのシステムメンテナンスツールであり、クラウドベースの製品ではありません。すべての機能はローカルのWindows API呼び出しを使用し、設定の同期、クラウドへのデータ保存、Microsoft IDとの紐付けは行われません。使用中にネットワーク活動は確認されませんでした。利用規約には、ユーザーデータは「デバイス上で処理され、サーバーには送信されない」「ファイルの内容や個人のユーザー情報は読み取らない」と明記されています。

最後の注意点として、企業のIT環境ではPC Managerのインストールを禁止すべきでしょう。エンドユーザーが自由に設定を変更できてしまうためです。一方で興味深い情報として、公式Discordサーバーでは、過去1年間でPCリソースの削減により約40万TBのストレージ容量と10万トン超の炭素排出を削減したと発表されています。

結論:PC Managerを使うべきか?

PC Managerは、PCのクリーンアップとメンテナンスの作業を大幅に簡素化する、よく設計されたアプリだと感じました。実際のテストでも、ストレージの占有量を確実に減らし、わずかながらパフォーマンスも向上させました。

その多くの機能は、Windowsのより詳細な設定アプリでも実現できます。しかし、PCから少しでもパフォーマンスを絞り出したい、複数の場所を探し回らずに済ませたいという方にとって、PC Managerはダウンロードする価値のあるツールだと言えます。

執筆者について

Michael Muchmore(寄稿者)
20年以上にわたりPCおよびモバイルソフトウェアのテストを担当し、写真・動画編集ソフト、OS、Webブラウザーを専門としています。ExtremeTechでソフトウェア記事を執筆した後、PCMagのエンタープライズソフトウェアチームを率いました。『PC Magazine』印刷版最終号の表紙ストーリー(Windows 7レビュー)の執筆も担当しています。

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