ネットワークセキュリティインシデントとは?定義・種類・対応方法を徹底解説
現代のビジネスにおいて、情報資産を守ることは極めて重要な課題となっています。本記事では、「セキュリティインシデント」の基本的な定義から、具体的な種類、発生時の対応方法までを体系的に解説します。
セキュリティインシデントとは何か
情報セキュリティにおけるインシデントとは、許可なく情報へのアクセス、利用、開示、破壊が試みられた、または実際に行われた事象を指します。組織の方針、法律、規制への違反や、IT運用への妨害も含まれます。コンピュータシステムへの侵入(データ侵害)も、典型的なセキュリティインシデントの一例です。
サイバーセキュリティインシデントの定義
サイバーセキュリティインシデントは、電子的・物理的・自然的・社会的な活動によって情報システムが脅かされた場合や、情報セキュリティポリシーに違反するあらゆる行為を指します。また、組織のパフォーマンスや生産性に重大な影響を及ぼしうる、予期しないサイバーセキュリティ上の出来事(またはその連鎖)とも定義されます。
英国NCSCによる定義
英国国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、サイバーインシデントを「システムのセキュリティポリシーに対する違反であり、その完全性または可用性に影響を与えるもの、あるいはシステムへの不正アクセス行為」と定義しています。これらは1990年コンピュータ不正使用法(Computer Misuse Act 1990)に基づいて定められており、ハッキング被害なども含まれます。
NISTによる定義
米国国立標準技術研究所(NIST)では、サイバーインシデントを「情報システムが処理、保存、伝送する情報の機密性、完全性、可用性を損なう事象」と位置づけています。これには、セキュリティポリシー、セキュリティ手順、許容可能な利用規定への違反、あるいはそれらに対する重大な脅威となる出来事が含まれます。
ネットワークインシデントとは
ネットワークインシデントは、サービス提供の観点から定義されることもあります。たとえば、顧客がデータの送受信を一定時間(99分未満など)実行できなかった場合にインシデントとみなすケースがあり、1年間を通じた計画メンテナンスと緊急メンテナンスの合計稼働停止時間は9.1%以内に抑えるべきとされるなど、サービスレベル契約(SLA)に基づく基準が設けられることがあります。
セキュリティインシデントの主な種類と具体例
セキュリティインシデントには多様な形態があります。大きく分けると、ネットワークやシステム、サービスへの侵入を目的とした攻撃(データ侵害攻撃)、メールや添付ファイルを悪用した攻撃、ウェブサイトやアプリケーションを標的とした攻撃などがあります。代表的な手口を以下に紹介します。
フィッシング系の攻撃
フィッシング、スピアフィッシング(標的型メール攻撃)、ビッシング(音声通話を使った詐欺)、ホエーリング(経営層を狙った攻撃)など、メールや通信手段を悪用したサイバー詐欺が挙げられます。
マルウェア感染
ウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェア、ルートキットなどのマルウェアによる攻撃があります。キーボード入力を盗み見るキーロガーによる情報窃取もこの一種です。
ランサムウェア攻撃
データを暗号化し、復元と引き換えに金銭を要求するランサムウェア攻撃は、近年特に被害が拡大している手口です。
DDoS攻撃
分散型サービス拒否攻撃(DDoS攻撃)は、大量のトラフィックでサーバーを圧倒し、サービスを無応答状態に陥れる攻撃です。
不正アクセスと権限昇格
システムやデータへの不正なアクセス試行、正規ユーザーの権限を不当に引き上げる権限昇格攻撃、パスワード攻撃、中間者攻撃(MITM)なども代表的なインシデントです。
内部者による脅威
従業員や関係者が意図的または過失により情報を漏えいする内部者脅威も見逃せません。営業秘密や内部データの窃取、権限の濫用などが含まれます。
セキュリティインシデントの具体例
実際に起こりうるインシデントの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- データ侵害や情報漏えい
- 営業秘密や内部データの盗難
- 権限の濫用
- フィッシングによる認証情報の窃取
- サーバーを無応答状態にする攻撃
他の組織で発生した情報セキュリティインシデントの事例を観察することで、自組織の対策に役立つ重要な示唆を得ることができます。
インシデントレスポンス(対応)とは
インシデントレスポンス(IR)とは、サイバー攻撃やデータ侵害といったインシデントに対して組織がどのように対応し、その結果(影響)にどう対処するかを指します。データ侵害が発生した際には、検出、封じ込め、被害評価のための一連の手順を実行します。
インシデント対応計画(IRプラン)の重要性
インシデント対応計画とは、IT担当者や従業員がデータ侵害やサイバー攻撃などのセキュリティインシデントを理解し、適切に対処できるよう、対応手順を文書化し、フェーズごとに整理したものです。計画を確実に機能させるためには、定期的な更新と訓練の実施が不可欠です。
セキュリティインシデントの報告方法
インシデントが差し迫った脅威をもたらす場合は、ためらわず警察に通報し、法執行機関へ通知することが重要です。また、ITセキュリティインシデントについては、所属する部門や部署の窓口を通じて報告することもできます。早期の報告は被害の拡大防止につながります。
まとめ
セキュリティインシデントは、不正アクセスからマルウェア感染、内部者による漏えいまで多岐にわたります。NCSCやNISTの定義を踏まえて自組織のセキュリティポリシーを整備するとともに、インシデント対応計画を策定し、定期的な訓練を通じて備えることが、被害を最小限に抑える鍵となります。
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