Java 9のマルチリリースJAR(MRJAR)とは?仕組みとディレクトリ構造を解説
マルチリリースJAR(MRJAR)とは
マルチリリースJAR(multi-release jar、通称MRJAR)は、Java 9(JEP 238)で導入された仕組みで、1つのJARファイルの中に、複数のJDKバージョン向けに用意された同じライブラリのクラスを共存させることができます。つまり、ライブラリをMRJARとして配布すれば、古いJDK環境でも動作しつつ、新しいJDKではそのバージョンならではのAPIを活用した実装へ自動的に切り替えられるようになります。
MRJAR内のコードには、JDK 9でコンパイルされたクラスファイルが含まれており、これらのクラスはJDK 9以降で新たに提供されたAPIを最大限に活用できます。
従来のJARの基本構造
MRJARは、既存のJARのディレクトリ構造を拡張する形で設計されています。まず基本となるのは、すべてのコンテンツが格納されるルートディレクトリと、JARに関するメタデータを保存するためのMETA-INFディレクトリです。通常、JARには属性情報を記述したMETA-INF/MANIFEST.MFファイルが含まれています。
標準的なJAR内のエントリ構成は以下のようになります。
- jar-root
- C1.class
- C2.class
- C3.class
- C4.class
- META-INF
- MANIFEST.MF
上記のテンプレートでは、JARに4つのクラスファイルとMANIFEST.MFファイルが含まれています。
META-INF/versionsディレクトリによる拡張
MRJARでは、このMETA-INFディレクトリを拡張し、JDKのバージョン固有のクラスを格納できるようにしています。具体的には、META-INFディレクトリ直下にversionsサブディレクトリを作成し、その中にJDKのメジャーバージョン番号と同じ名前を持つ複数のサブディレクトリを配置します。
- JDK 9固有のクラス →
META-INF/versions/9ディレクトリ - JDK 10固有のクラス →
META-INF/versions/10ディレクトリ
- jar-root
- C1.class
- C2.class
- C3.class
- C4.class
- META-INF
- MANIFEST.MF
- versions
- 9
- C2.class
- C5.class
- 10
- C1.class
- C2.class
- C6.class
動作のポイントと注意点
この構造により、Javaランタイムは実行中のJDKバージョンに応じて適切なクラスを自動的に選択します。例えば、JDK 10で実行すれば versions/10 配下の C1.class や C6.class が優先的に読み込まれ、それより古い環境ではルート直下のクラスが使用されます。
なお、JARをMRJARとして認識させるためには、MANIFEST.MFに「Multi-Release: true」属性を宣言する必要があります。また、Java 8以前のような旧バージョンのJDKでは versions ディレクトリ以下が単に無視されるため、後方互換性を保ちながら段階的に新APIへ対応できる点がMRJARの大きな魅力です。
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