高次元データにおける外れ値検出の課題とは?主要な3つのアプローチも徹底解説
高次元データにおける外れ値(異常値)検出には、低次元データでは問題にならない特有の難しさがあります。本記事では、高次元データでの外れ値検出における代表的な4つの課題と、それらに対応するための3つの主要なアプローチについて詳しく解説します。
高次元データでの外れ値検出における4つの課題
1. 外れ値の解釈
高次元データの外れ値検出では、単に外れ値を特定するだけでなく、その外れ値がなぜ外れ値とみなされるのかを説明する「解釈」を提供できることが求められます。
高次元データセットには多数の特徴量(次元)が含まれているため、根拠となる解釈なしに外れ値を検出しても、実務上あまり役に立ちません。理想的には、外れ値を顕在化させる特定の部分空間を示したり、オブジェクトの「外れ度(outlierness)」を評価したりすることで、ユーザーが外れ値の意味や重要性を理解できるように支援します。
2. データの疎性(スパース性)
検出手法は、高次元空間におけるデータの疎性に対応できなければなりません。次元数が増加するにつれて、オブジェクト間の距離はノイズの影響を強く受けるようになります。その結果、高次元空間内のデータは極めて疎(スパース)になり、距離に基づく比較が困難になります。これは「次元の呪い」と呼ばれる現象の一つです。
3. データ部分空間への適応
外れ値を適切にモデル化するためには、外れ値を特徴づける部分空間に適応し、データの局所的な振る舞いを捉えることが重要です。
一部の部分空間に対して固定の距離しきい値を使って外れ値を識別するのは最良の方法とは言えません。2つのオブジェクト間の距離は次元数の増加とともに単調に増大するため、しきい値の設定が次元によって意味を持たなくなるからです。
4. 次元数に対するスケーラビリティ
次元数が増えると、考えられる部分空間の組み合わせは指数関数的に増加します。すべての可能な部分空間を含む探索空間を網羅的に組み合わせ解析する方法はスケーラブルではなく、現実的な計算コストで実行できません。したがって、効率的な探索戦略が必要となります。
高次元データ向け外れ値検出の3つの主要アプローチ
1. 従来型外れ値検出の拡張
一つ目のアプローチは、従来の外れ値検出手法を高次元データ向けに拡張するものです。この手法は従来の近接性ベースの外れ値モデルを基を基盤としつつ、高次元空間における近接性尺度の劣化を克服するために、代替尺度を採用するか、部分空間を構築してその中で外れ値を検出します。
このアプローチの代表例がHilOutアルゴリズムです。HilOutは距離ベースの外れ値を検出しますが、絶対距離そのものではなく距離のランキング(順位)を利用する点が特徴です。具体的には、各オブジェクト o に対して、k近傍 nn1(o), ..., nnk(o) を求めます(k はソフトウェア依存のパラメータ)。そして、オブジェクト o の重みは次のように定義されます。
w(o) = Σi=1k dist(o, nni(o))
2. 部分空間における外れ値の探索
二つ目のアプローチは、複数の部分空間の中から外れ値を探索する方法です。この手法の大きな利点は、あるオブジェクトがはるかに低い次元数の部分空間において外れ値として検出された場合、その部分空間自体が「なぜそのオブジェクトが外れ値なのか」「どの程度外れているのか」を説明する重要な情報になる点です。
圧倒的に多い次元数を扱う高次元データのアプリケーションにおいて、この特性は非常に価値があります。
3. 高次元外れ値のモデリング
三つ目のアプローチは、高次元の外れ値専用に新しいモデルを構築する方法です。既存手法の単純な拡張ではなく、高次元データの特性を前提とした外れ値検出モデルを新たに設計することで、より精度の高い検出を目指します。
まとめ
高次元データにおける外れ値検出では、「外れ値の解釈可能性」「データの疎性」「部分空間への適応」「次元数に対するスケーラビリティ」という4つの課題を克服する必要があります。これらの課題に対して、従来手法の拡張、部分空間での探索、高次元専用モデルの構築という3つのアプローチが有効であり、目的やデータの性質に応じて適切な手法を選択することが重要です。
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