WordPressマルチサイトの導入方法:インストールと設定の手順を徹底解説
複数の企業サイトや学校のサイト、個人サイトを運営していて、それらに何かしら共通点があるなら、「サイトごとに個別管理するのは非効率的ではないか」と感じたことがあるはずです。そんなときこそ、WordPressマルチサイトが求めていたソリューションとなるでしょう。
2010年のバージョン3.0で登場したWordPressマルチサイトは、たった1つのWordPressインストール環境で複数のサイトを運用できる機能です。
本記事では、マルチサイト化したWordPressの構築方法を詳しく解説します。WordPressサイトの構築経験者にとってさえ、ハードルが高く感じられる作業ですが、心配はいりません。ステップバイステップのガイドに従えば、誰でも確実に進められます。
マルチサイトWordPressとは?
マルチサイトネットワークとは、同じWordPressインストール環境を共有する複数のサイトの集まりのことです。つまり、5つの独立したWordPressサイトがある場合でも、それらをすべて一箇所にまとめ、単一のダッシュボードから操作できるようになります。
例として、BBC Americaのウェブサイトを挙げてみましょう。同サイトはマルチサイトネットワーク上で運営されており、BBCの番組ごとに個別のサイト(マルチサイト設定では「サブサイト」と呼ばれます)を持っています。多数の独立したサイトを運営する代わりに、すべての番組を1つのサイト配下にまとめることで、管理が格段に簡単になっているのです。
通常のサイトとマルチサイトネットワークの違いを整理すると、次のようになります。
- 1つのサイト + 1つのWordPressインストール = 通常のWordPressサイト
- 複数のサイト + 1つのWordPressインストール = マルチサイトWordPressネットワーク
マルチサイトネットワークのメリットとデメリット
WordPressマルチサイトが魅力的である理由は一目瞭然ですが、すべての人に適しているわけではありません。ここで、マルチサイト利用のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
WordPressマルチサイトのメリット
- プラグイン・テーマの共有:テーマやプラグインは親ダッシュボードからインストールでき、ネットワーク全体のすべてのサブサイトで有効化して利用できます。
- 更新作業の効率化:スーパー管理者(Super Admin)は、すべてのサブサイトのWordPressプラグインやテーマを一度に更新できます。
- ダッシュボードの一元化:マルチサイトWordPressでは、単一のWordPressダッシュボードから複数のサイトを運営できます。テーマ、プラグイン、ユーザーまですべて一括管理できるため、数十ものサブサイトの管理も可能です。
WordPressマルチサイトのデメリット
- 互換性のないプラグイン:マルチサイト最大の課題は、対応するテーマやプラグインを見つけることです。多くのプラグインやテーマはマルチサイト環境に対応していません。
- 移行の複雑さ:移行作業は非常に複雑で厄介なプロセスになり得ます。マルチサイト全体を新しいドメインやホスティングへ移すことは可能ですが、個別のサブサイトだけを単独で移行するのは極めて困難で、対応しているプラグインもほとんどありません。
- 異なる構成のサイトには不向き:WordPressマルチサイトは、似たような機能を持つサイト群を構築する場合に最も効果を発揮します。しかし、目的がまったく異なるサイト群の場合、それぞれ別のプラグイン・テーマ・カスタマイズが必要になる可能性が高く、その場合はマルチサイトの有効化はおすすめできません。
重要:WordPressマルチサイトが登場した当時は、ウェブサイトを管理する良い選択肢があまりありませんでした。幸い、状況は大きく変わっています。優れた管理ソリューションをお探しなら、WP Remoteを検討してみてください。人気があり使いやすく、多機能な管理プラグインで、単一のダッシュボードから複数のサイトを管理できます。
メリットとデメリットを比較検討したうえで、WordPressマルチサイトの構築を決めた方は、以下の初心者向けガイドに従ってください。
WordPressマルチサイトネットワークのインストールと設定方法
ゼロからマルチサイトを構築する場合はステップ1から始めてください。すでに既存サイトがあり、それをマルチサイト化したい場合はステップ2から始めましょう。
注意:マルチサイトのセットアップでは、WordPressファイルを編集する必要があります。これはリスクを伴う作業で、わずかなミスでもサイトが壊れる可能性があります。既存サイトでマルチサイト化する場合は、事前にWordPressの完全バックアップを取得することを強くおすすめします。
ステップ1:WordPressサイトを構築する
まず必要なのは、ドメインとホスティングプランの購入です。初めて自分でサイトを作る場合は難しく感じるかもしれませんが、WordPressサイトの構築はそれほど難しくありません。学習に役立つリソースも豊富にあります。
サイトが稼働したら、いよいよマルチサイト環境への変換に入ります。
ステップ2:configファイルでマルチサイトを有効化する
このステップでは、configファイルにコードを追記します。configファイルには、ホスティングアカウント経由か、FileZillaなどのFTPクライアントを使ってアクセスできます。FileZillaはローカルコンピュータにインストールして使用するソフトウェアです。
ここでは、ホスティングアカウントとFileZillaの両方の方法でconfigファイルを編集する手順を紹介します。
方法1:ホスティングアカウントからconfigファイルにアクセスする
1. ホスティングプロバイダーのアカウントにログインし、cPanelに移動します。cPanelからファイルマネージャー(File Manager)を選択します。
2. ファイルマネージャーのページで、public_htmlフォルダを選択します。
3. public_htmlフォルダ内にwp-config.phpファイルがあります。見つけたら右クリックして編集(Edit)を選択します。

方法2:FileZillaからconfigファイルにアクセスする
1. ローカルコンピュータにFileZillaをダウンロードしてインストールします。このソフトウェアはローカルPCとサイトのバックエンドを接続するもので、パソコンからconfigファイルを直接編集できるようになります。
2. FileZillaを開き、ホスト名、ユーザー名、パスワード、ポート番号を入力します。これらの情報がわからない場合は、ホスティング会社にFTP認証情報を問い合わせてください。
3. 接続が確立されると、画面右側のリモートサイト(Remote Site)欄にフォルダ群が表示されます。その中にpublic_htmlフォルダがあるので選択します。

4. リモートサイト欄のすぐ下にあるのが「ファイル名」セクションです。public_htmlフォルダを選択すると、ここにwp-config.phpファイルが表示されます。
5. wp-config.phpファイルを見つけたら、右クリックして編集(Edit)を選択します。
手順3:マルチサイトを許可するコードを挿入する
編集を選択すると、wp-config.phpファイルが開きます。configファイル内から次の一文を探してください。
/* That’s all, stop editing! Happy blogging. */
そして、この「Happy Blogging」の文のすぐ上に、以下のコード行を追加します。
define(‘WP_ALLOW_MULTISITE’, true);
変更を保存(Save Changes)をクリックしてファイルを閉じます。実際のサイトでは以下のように表示されます。

これでサイトはマルチサイトネットワークに変換されました。WordPressダッシュボードにアクセスすると、左側にマルチサイトアイコンが表示されているはずです。

ただし、作業はまだ半分です。次はネットワークのインストールを行います。
手順4:ネットワークをインストールする
1. WordPressダッシュボードでツール(Tools)→ネットワーク設置(Network Setup)を選択します。ここからネットワークを設定していきます。
(a) まず、サブサイトのURL形式を決めます。site1.example.com(サブドメイン)とexample.com/site1(サブディレクトリ)のどちらかを選択できます。URL構造の選択がサイトの保存方法に影響することはないので、安心して決めてください。
(b) 次に、ネットワークのタイトルやネットワーク管理者のメールアドレスなどの詳細情報を入力し、インストール(Install)をクリックします。インストールをクリックすると、WordPressから2つのコードスニペットが提示されます。これらをそれぞれwp-config.phpファイルと.htaccessファイルに追加する必要があります。

手順5:wp-configファイルにコードを追加する
前のセクションで説明した方法でwp-configファイルを開き、最初のコードスニペットを次の行のすぐ上に挿入します。
/* That’s all, stop editing! Happy blogging. */
変更を保存をクリックするのを忘れないでください。実際のサイトでは以下のようになります。

手順6:.htaccessファイルにコードを追加する
続いて、2つ目のコードスニペットを.htaccessファイルに挿入します。configファイルと同様に、.htaccessファイルもファイルマネージャーまたはFileZillaから探せます。
方法1:ファイルマネージャーで.htaccessファイルを開く
ホスティングアカウントにログインし、cPanel > ファイルマネージャー > public_htmlフォルダ > .htaccessファイルの順に移動します。ファイルを見つけたら、右クリックして編集(Edit)を選択します。

【注意】.htaccessファイルが見つからない場合は、隠しファイルになっているためです。サイト設定を変更してファイルを表示させる方法は、関連記事「WordPressで.htaccessファイルを編集する方法」を参照してください。
方法2:FileZillaで.htaccessファイルを開く
FileZillaを開いてFTP認証情報を入力します。認証情報がわからない場合は、解説動画を確認するか、ホスティングプロバイダーに問い合わせましょう。
- リモートサイト欄に移動します
- public_htmlフォルダを選択します
- 続いてファイル名セクションに移動し、.htaccessファイルを探します
- 見つかったら、右クリックして編集(Edit)を選択します

ファイルを開くと、2つ目のコードスニペットに似たコードが記載されています。既存のコードを新しいコードに置き換えてください。変更を保存を忘れずにクリックしましょう。実際のサイトでは以下のようになります。

これでマルチサイトネットワークの準備が整いました!
マルチサイトネットワークに新しいサブサイトを追加する方法
ユーザーフレンドリーで評判の高いWordPressらしく、マルチサイトの操作も簡単です。サイト管理者はいくつかのシンプルなステップで新しいサイトやサブサイトを追加できます。
- WordPressダッシュボードで参加サイト(All Sites)を選択し、新規追加(Add New)をクリックします。希望するURL、サイトタイトル、サイト名、管理者メールアドレスなどの詳細を入力し(下図参照)、準備ができたらサイトを追加(Add Site)をクリックします。

- サイトは好きなだけ追加できます。すべてのサブサイトを確認したいときは、親ダッシュボードでサイト > 参加サイトを選択しましょう。
補足として、WordPress管理者ロールが割り当てられていたユーザーは、サイトがマルチサイトネットワークになると自動的にスーパー管理者になります。スーパー管理者はネットワーク上のあらゆるサイトを完全にコントロールできる点に注意してください。
注:バージョン4.5未満のWordPressサイトでは、ドメインマッピングの実装が必要です。これに対応するプラグインが各種あります。詳しくはMultisite Domain Mappingの記事をお読みください。
WordPressマルチサイトにプラグインとテーマをインストールする方法
マルチサイトへのテーマやプラグインのインストールは簡単です。通常のサイトとまったく同じ方法で行えます。
- 親ダッシュボードからプラグイン > 新規追加に移動し、プラグインを検索・インストール・有効化します。
- テーマをインストールして設定する場合は、テーマ > 新規追加に移動し、テーマを検索して追加します。
インストールしたプラグインやテーマは、すべてのサブサイトで有効化されます。プラグインやテーマはネットワークレベルで有効化・無効化できるのです。以上で、WordPressマルチサイトネットワークの設定は完了です。
まとめ
WordPressマルチサイトは、上手に活用すれば非常に強力なツールです。しかし忘れてはならないのは、WordPressの世界にはハッカーやボットが潜んでおり、サイトネットワークに被害をもたらそうとしているという現実です。シングルサイトであってもマルチサイトであっても、セキュリティ対策を確実に行う必要があります。
MalCareセキュリティプラグインがあれば、ハッカー、ボット、その他の脅威を気にかける必要はありません。WordPressセキュリティガイドも併せてご活用ください。
今すぐMalCareセキュリティサービスを試してみよう!
-
Yggdrasilネットワークとは?分散型メッシュネットワークの仕組みとインストール・設定方法を徹底解説
Yggdrasilネットワークは、分散型かつ暗号化されたメッシュネットワークの構築を目指すIPv6オーバーレイネットワークです。ネットワークを二分木の葉として扱うことでこれを実現しています。オーバーレイネットワークであるため、Yggdrasilはユーザー同士が安全に通信できる仮想プライベートネットワーク(VPN)としても機能します。 さらに、Yggdrasilは無料で比較的簡単にセットアップでき、幅広いプラットフォームで利用できる点も魅力です。安全でプライベートな接続を求めるユーザーにとって、強力な選択肢となっています。 メッシュネットワーキングとYggdrasilとは? Yggdrasil
-
WordPressにDisqusコメントシステムをインストールして活用する方法【導入手順を徹底解説】
コメントシステムは、ウェブサイトとユーザーのインタラクションを実現するために非常に重要な機能であり、サイトへのトラフィックを増やすためにも欠かせません。WordPressサイトにおいて、Disqusコメントシステムはコメントやディスカッションを活性化させるための最良の選択肢の一つです。Disqusには数多くの便利な機能が備わっています。主な特徴は以下の通りです。TwitterやFacebookなどのSNSアカウントを使って、訪問者が手軽にコメントへ参加できる。多くのコンテンツ管理システム(CMS)と互換性があり、ブログを別のプラットフォームへ移行する際もコメントを簡単に引き継げる。セキュリティ